一体見たら、百体いると思え!
「て、テメエ!まだ生きてやがったのか!」
ダイヤ野郎は何事もなかったかのように、平然としている。粉々になったはずでは?
「生きているとも。まさか、私を殺したとでも思っていたのか?言ったはずだ。私は永久に不滅であると。」
今度はまた違う場所から現れた。ワープしたのか?……いや、違う!二人いる!
「そもそも、私が強者を我が迷宮に招き入れている理由とは何か?あるとき私は思いついた。迷宮を作り、定命の者どもをおびき寄せ、戦わせることを。」
驚くべき事に三人目が出てきた。どっから湧いてきた?
「ときに蠱毒の法というのを知っているか?東方に存在する呪術をベースにし、強者同士を競い戦わせ、生き残ったものから魔力を抽出する。死ぬまで戦いに没頭させるために寿命では死なぬよう細工も行った。素材というものは鮮度こそが重要なのでな。」
こうもなぜ魔術師とかいうヤツらは人間を物扱いするのだろう?全部がそうとは言わないが、一定数そういうヤツがいるのは確かだ。エルちゃんに如何わしい実験をしてたのもいるし。
「最初に作った僕どもは残念ながら何人かは倒されてしまったが、忍者、侍等という珍妙な者どももやってきた。そやつらを代わりに手駒とした。」
侍は知ってるが、忍者、アイツも元々部外者だったのか。アイツだけ何か異質だったからそういう理由だったのか。
「ときには魔王もやってきた。立てこもった挙げ句、迷宮ごと封印されておった。見かねた私は封印を解いてやったりもした。そうまでしてお膳立てしてやったにも関わらず、人間どもに敗北しおった。憐れな奴よ!」
一言言うたびにダイヤ野郎の数は増えていく。一体何人いるんだ?
「そういえば忘れておったわ。あの魔王の死に間際に入れ知恵を囁いてやった結果、面白いことをやりおった!褒めるようなところはそれぐらいしか見当たらぬ。」
「……!?」
エルちゃんは見るからに表情を曇らせていた。彼女の母ちゃんとエルちゃん自身を不幸に陥れたのは、コイツが遊び半分でやったことが原因だったとは。
「許さねえぞ!人を何だと思ってるんだ。」
「パゴア、パゴア!定命の者如きが口を挟むものではないぞ。もっと我を畏れ、敬え!貴様らがすべきことは私の前に屈服し、跪くことだけだ。そうすれば、我が配下に加えてやらんでもない。」
「そんなことするわけないだろ!」
「ほう?この状況でそんなことが言えるのかな?」
そう言った途端、一斉にぞろぞろとダイヤ野郎が出てきた。
「本体がどこかにいるんだろ?そいつを倒せば、お前なんて終わりだ!」
「本体?何を勘違いしている?ここにいるのは全て私自身だ。全部倒したところで、体は無限に生み出す事が出来る。今まで蓄えた魔力は膨大にあるのだからな!」
「うるさい!だったら、その魔力が尽きるまで倒し続けてやる!」