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お前はもう抵抗したって無駄!

「グオオオアアッ!!」



 砂男が悲鳴を上げる。この技では止めを刺すのは難しいだろうけど、周りを一片に攻撃するにはこれしかない。



「おのれええ!お前は勇者だったのかあ!」



 勇者とは気付いていなかった?ということは、こいつもそれなりの強さではあるようだ。やっかいなのは間違いなかった。



「こうなったら、仕方ない!最大の秘技その2、ハードロック・ボディ!」



 ヤツは元の人型に戻り、周囲の砂をありったけ、かき集め始めた。



「硬くなれば、剣ではダメージを与える事は出来ん!剣の方が折れてしまうぞ!」



 大量の砂を集めてはいるが、体格はそのままだ。さっきの砂嵐とは逆に密度を凝縮して体を硬くしているようだ。それはつまり……。



「さあどうする!お前には勝ち目がないぞ!どうすることも出来まい!」



 まだ俺を倒してもいないのに、勝ったつもりでいるようだ。まあ、でも、俺ももう勝ったつもりでいるけどな!



「うわー、勝てないわ。どうしよう。……霽月八刃!」



 砂男、いや、今は岩男か?岩男を剣で一閃した。



「無駄!無駄よ、無駄!無……駄?」


「うん!お前はもう抵抗したって無駄!」



 全身に亀裂が入り、ボロボロと崩れていく。そして、砕けた破片も砂に戻っていく。



「ふう。コイツがバカで良かった。一カ所にまとめたら俺が有利になるに決まってるじゃないか。ずっと砂のままで攻撃してきたら、ヤバかったかもな。」



 気付けば、部屋の奥に転送門が出現していた。コレに入れば次に行けるだろう。でも、アイツらを待たないと行けない。



「むう。これは勇者殿に先を越されたようだ。」 



 噂をすればなんとやら……、侍がこの部屋に入ってきた。相変わらず、無傷のようだ。コイツにダメージを与える手段はあるんだろうか?



「ケッ!俺が最後か!」



 ファルちゃんが次にやってきた。侍と違い、少し疲れているようだ。魔力を使いっぱなしだっただろうな?



「なんでお前が一番乗りしてんだよ?……しかも、主まで倒しやがったのか!」


「いやー、最速攻略したんで!まあ、最短のショートカットルートを見つけたもんだからさあ。」



 ただ単に罠に掛かっただけだが、最短だったのは間違いない。罠に掛かることこそが近道だったッ!



「まあいい。次に行くぞ。」


「良いのか?次はまたやっかいな物が待ち受けているかもしれぬぞ?」


「それって、どういう……?」



 侍がらしくないことを口走った。何だ?何があった?いや、何があるのかと言うべきか?



「アンタ、どういうつもりだ?」



 ファルちゃんも侍の言動に違和感を感じたようだ。やっぱり怪しい。



「覚悟は出来ておるのかと聞いておるのだ。何があっても拙者は知らぬぞ。」


「怖じ気づいたか?」



 ファルちゃんはそう言うが多分違うだろう。侍の言葉は俺たちに向けられている。



「何があるって言うんだよ!」


「……行けば、わかる。拙者の覚悟はもう、出来ておる。」


 侍は俺たちに背を向けて転送門に入っていった。

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