「りゅうさ」
「なんだコレは……!?」
俺たちは次の迷宮にやってきた。それぞれの迷宮で内装が様変わりするのは毎度の事だったが、今回はさすがに度肝を抜かれた。
「砂が水みたいに流れてるんだけど!」
「こういうもんは流砂っつうんだよ、バカ。」
「いちいち、バカにすんなよ。ホントに思ったこと言っただけなんだから。」
「そういうのをバカって言うんだよ!」
「つまらぬことで論争ばかりしておるな、お主らは。」
端から見ていた侍にまであきれらてしまった。だってしょうがないじゃないか。ファルちゃんが俺の言うこと成すこと噛み付いてくるからな。
「こんなのどうやって進むんだ?進もうとしても流されるだけだぜ。」
流れているとハッキリわかるぐらいの速さで流れている。じゃあ何か?泳ぐのか?船で渡るのか?
「決まっておるであろう。ただ突き進むのみ。」
侍は流砂を物ともせずにヅカヅカと突き進んでいった。しかも流れに逆らっている。なんか……自然の摂理に逆らってない?ほ、法則が乱れる!
「おいおい、おかしいだろ。」
「俺も行くぞ。」
続いてファルちゃんも流砂に足を踏み入れた。でも、足は砂に沈むことなく、砂の上に普通に立っていた。お前は浮く系か!
「何だよ、それ!砂に浮いてるぞ。」
「こんなもん、地属性の魔法で無効に出来るんだよ。」
「ずるいぞ!俺にも使ってくれよ。」
「断る。だいたい、これは自分にしか効果がない。それに加え、地属性の魔法は得意じゃねえ。不得意属性だからよ、他人にまで効果を与えるほどの魔法は使えない。」
「なにぃーい!」
「自分でなんとかしな。」
「できるかー!」
「知るかよ、ボケ。」
これからどうしろと?魔法も使えないのにどう進めばいいんだ!ま、まさか、泳ぐしかないのか?
「行こう!行くしかない。」
思い切って足を流砂に踏み入れてみた。
(ズブズブ……。)
「ん?なんとか行けそうか?」
意外と流れに逆らえそうだ。これなら……、
「突入だ!」
両足とも入れてみた。ぐぐ。行けるか、行けるのか?でも次第に違和感が……。靴の中に砂が入ってきた。
「うへえ、気持ち悪ぅ!」
砂が入ってきて、足が動かしにくくなってきた。あっ……、
(ザバアッ!)
しまったああ!足がもつれて、転んでしまったあああ!いかん、このままだと流されてしまう!
「ぐわわわああっ!!」