メシア現る!
「はい、これで大丈夫。」
私の石化は解除された。バジリスクを不思議な助っ人さんが排除した後、メイちゃんの回復を待ってから、石化を解除してもらった。
「これでお二人の体調は万全となったかな?」
「はい。おかげさまで。助けて頂いて、ありがとうございました。」
助っ人さんは不思議な出で立ちだった。声は男の人なのははっきりわかるけれど、あまり見かけないような服装をしていた。服装だけじゃなくて、不思議な黒いお面をつけてる。狐かな?どこか東洋風な感じがする。
「礼には及ばないよ。このダンジョンから生還できたら、そのときで良い。」
「わかりました。そのとき改めて……。」
どうして私たちを助けてくれたのか気になる所だけど、戦っていた時に口にしていた、“あること”がすごく気になる……。
「あの……、もしかして、流派梁山泊の方ですか?」
そう、勇者様と同じ事を言っていた。戦技一0八計とはっきり言っていた。勇者様は剣だけど、この人は槍。剣以外の技もあるって勇者様が言ってた。
「彼から聞いていたか。如何にも、私は君が勇者と呼んでいる男と同門だ。……とはいえ、彼は破門された身だがね。」
「知っているんですか!勇者様のこと?」
「知っているも何も、私は彼の師の親友だ。彼は私にとっても、弟子の様な存在だ。」
勇者様を知っている!ここに来たのは勇者様に会うため?私たちを助けてくれたのは何故なんだろう?
「あの、こんなことをお聞きするのは失礼かもしれませんけど、何故私たちを助けてくれたんですか?」
「ははは!おかしなことを聞くな?君は。」
確かにおかしなことを聞いてしまったかもしれない。でも、勇者様の口からも聞いたことがない人に助けられたので、不思議だった。
「梁山泊を追放されてから、ずっと遠くから彼を見守っていた。今まで表立って助けなかったのは、彼の成長を見届けたかったためだ。」
勇者様を見守ってくれていた。追放されて流派から見捨てられたって勇者様は言ってたけど、そうじゃない人もいたんだ!
「今回、君たちを助けに来たのは、彼自身が行方不明になってしまったからだ。本来ならば、彼が助けに来るべきなのだが、今は非常事態だ。私はあくまで代理人としてここまで来たと思ってもらえば良い。」
「ゆ、勇者様に何かあったんですか!?」
勇者様の身に何が?本当にそうなら、早くなんとかしないと!勇者様に何かあったらどうしよう!
「安心し給え。彼はそれほど柔な男ではないよ。彼は君たちと同じく、賊の卑劣な罠にかかってしまったのだよ。君たちとは違う場所に飛ばされてしまったらしい。」
「ええっ!?」
勇者様も危険な目に?余計に心配が募ってきた。
「だからこれから助けに行くのだよ。手掛かりはこの迷宮の奥底にあるらしい。」
この迷宮にそんな秘密が?封印されていたのは、それを隠すため?
「そういえば、ファルさんから聞いたことがあります!所在不明の幻のダンジョンがあるって!その手掛かりが立ち入り禁止エリアの先にあるみたいなんです。」
メイちゃんはファルさんから何か聞いていたみたい。でも、勇者様の居場所とそれがどう繋がるんだろう?
「その所在不明の迷宮に飛ばされた疑いがあるのだ。確信があるわけではないが、その可能性に賭けるしかないのだ。」
「わかりました。行きましょう。その手掛かりを探しに!」
行くしかない。確実にそこにいるとはかぎらないけれど、勇者様を助けに行かないと。
「そういえば、名を名乗っていなかったな。私は槍覇のヘイフゥだ。以後、よろしく頼む。」