ウーーーーッ、ワナッ!!
「お次はどんな場所だ!」
意を決して次なるダンジョンへとやってきた。さっきと同じで隔離された場所のためか、雰囲気がまるで違っていた。共通してるのはダンジョン内が普通に明るいということぐらいか?
「城の中みたいになってるな。」
前の場所は洞窟の中の古代遺跡みたいな場所だった。今度は石材を規則正しく組み上げて作った感が漂っていた。前よりは新しく見える。実際はどうかわからんけど。
「さっそく、参るとしよう。」
お面の人は率先して先を進んでいった。百年もさっきの場所に籠もっていたんだから無理もない。きっと鬱憤を晴らしたいに違いない。
「さてと……、」
続いて足を踏み出した、そのとき、前にいたお面の人の姿が消えた。
「き、消えた!?」
何が起きたのか!いきなり消えるなんて何事だ!罠か?敵か?突然のアクシデントに思わず身構えた。
「バカ!よく見ろ!」
ファルちゃんが注意を促す。お面の人が消えた地点をよく見ると、穴が空いていた。落とし穴か!
「速攻、死んだか?お面の人!」
思わず穴の側に駆け寄り、のぞき込む。お面の人は何事もなかったかのように立っていた。
「フフ。この程度では死なぬ。」
こちらを見上げながら、お面の人は言う。ホントに平気なようだが、もしかして、罠はよけるより、受け止めて耐えるタイプなんだろうか?何も気にせずに歩いてたし。
「どうする?上ってこれるのか?」
結構高さがある。しかも掴まれる様な物はなにもない。でも、一応聞いてみた。
「この先に通路がある。むしろ、それぞれの道を進むのも、また一興とは思わぬか?」
一興て!楽しんでやがるのか、この野郎!ふてぶてしすぎるぞ、ブドー仮面!
「百年仕込みの根性は大したものだな?」
ファルちゃんめ、うまいこと言いやがって!籠もってたり、主とかダンジョンそのものを無力化しているあたり、化け物じみている。
「じゃあ、そうするか!」
「お互い、どちらが先に主の居場所に到達出来るか競い合おうではないか。」
遊びか!生きるか死ぬかの試練でそんなことするハメになるなんて。
「まあ、いいさ。ヤツのお手並みを見せてもらおう。……それに、アイツが俺たちの味方と決まったわけじゃない。」
「……?」
ファルちゃんは意味深な事を最後に小声で付け足した。うん、まあ、確かにあやしいけど。
「では気を取り直して……、」
落とし穴を飛び越え着地した瞬間、横から何かをぶつけられ、そのままぶっ飛んだ。しかも、壁に叩きつけられると思ったら、壁がなかった。
「何やってんだ、バカ野郎!」
ファルちゃんの罵りを聞きながら、俺は下に落下していった。また、落とし穴か……。