永久に脱毛
「お前らはここにいてくれ。俺はちょっと加勢してくる。」
ファルさんは勇者様達を援護するために敵の方へ向かっていった。
「私たちも援護に入ったほうがいいんじゃないですか?」
「大丈夫だよ。あいつらに任せときゃいいのよ。」
「そうじゃ。任せておけば良い。下手に加勢すると却って犠牲者を出しかねんからのう。特に妾はな。」
戦いの経験が豊富なお二人が言うなら間違いないんだろうけど、なんというか、なにか嫌な予感がするのはどうしてだろう?
「大丈夫だよ、エルちゃん。ファルさんは強いから!」
「ファルだけ?ま、そりゃそうだよねえ。メイの一押しだもんねえ?」
「ジュ、ジュリアさん!」
「ほほう?そなた、あの生意気なエルフに惚れておるのか?」
やっぱりそうなんだ!来る途中メイちゃんと色々お話したけど、ファルさんの話がしょっちゅう出てきたし。
「やったぜ!コッチは女ばっかりだ!」
突然、入り口のほうから声がしてきた。なんでこんなところから人が?魔物もたくさんいたはずなのに、どこに隠れていたんだろう?
「どこからでも湧いてきおるのう。まるでアレじゃ。」
「なんだい、お嬢ちゃん?お兄さんが聞いてあげるからハッキリ言ってごらん?」
「ほう、言わねばわからぬとは所詮は痴れ者じゃのう?ゴキブリども!」
「こんガキゃあ!ぶっ殺すぅ!」
先頭の人が武器を抜いてサヨさんに斬りかかろうとした。一歩踏み出したとき、その人の顔に火が付いた!
「うわっちゃちゃあ!?」
その人は熱さに耐えかねて地面を転げ回った。
「一体、何をしたぁ!」
「ふふん。そやつの顔をよく見てみるがよい。」
言われた人は倒れた仲間を立たせて、顔をのぞき込んだ。何かを確認したその人は顔を引きつらせながら、再びこちらに顔を向けた。
「ま、眉毛が片方無え!?」
本当にカミソリで剃ったみたいに眉毛がなくなっていた!しかも、火傷をしていないみたい。それだけを燃やすなんて……。物凄いコントロール力!並みの人じゃこんなことできないよ!
「どうじゃ?これで多少は男前になったであろう?」
「チクショー!なんてマネしやがるんだ!」
「頭おかしいぞ!人間のすることじゃねえ!」
人間じゃないのはあっているけど、一般の方にそれは禁句です。
「ほう?そなたら、望むのであれば、全身を永久脱毛してやってもいいのだぞ?」
そんな脅し方聞いたことないよ……。
「チクショー!こうなったらヤケだ!プランBをやるぞ!」
「おう!あれな!」
そう言って、いそいそと準備をし始めた。鎧とか服を脱ぎ始めた。き、着替えるのかな?でも脱ぐ必要の無い下着まで脱ごうとしてる!
「きゃああああ!いやーっ!」
思わず私は手で自分の目を遮りながら、悲鳴を上げてしまった!もうイヤ!何が起きたの?
「これぞ、プランB!真っ裸ーニバル!!」
「本当にバカの極みじゃな。」