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【総合ページ】勇者参上!!~東方一の武芸の名門から破門された俺は西方で勇者になって究極奥義無双する!~  作者: Bonzaebon
はぐれ梁山泊極端派Ⅱ【 第4章 沈黙の魔王と白い巨塔】  第2幕 K'(ケー・ダッシュ)
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第442話 呉越同舟どころの騒ぎじゃない!


「茶番は終わりか、魔王とやら?」



 エルとエピオンが親との親との対決で決着を付けてホッとしたのも束の間、業を煮やした(トウテツ)が不満を漏らし始めた。ヤツからすれば、無理矢理戦いを中断させられ何の縁もない人間の戦いを見せられる羽目になったのだ。ヤツは蚩尤(シユウ)一族、戦い以外の一切を絶って生きている様な連中なので我慢が限界に来てしまったのだろう。



「おうおう! 相当ご立腹じゃねえか? お待ちかね。俺らが次の相手だ。」


「待たせたな、鬼よ。俺の腕の治療に手間取っていたのでな。後回しとなっていたのだ。」


「うぬらは……!?」



 今度は誰が出てくるのかと思っていたら、ムーザが拳王を伴って姿を現した。拳王もいつの間にか姿を消していたと思っていたら、怪我の治療をしにいっていたようだ。どうやらプリメーラとの戦いで負傷させられていたらしい。


 その事実にはビックリしたものだが、たった今、剣豪勇者と一緒に出てきたことでその衝撃が上書きされる結果になった。伝説の存在がセットで出てきたのだ。ハッピーセットどころじゃない。食べ合わせ厳禁の欲張り過ぎな組み合わせで出てきたのだ。しかも鬼に対してそれである。食べ物だったら三日三晩胃もたれしそうな組み合わせなのだ。



「ムーザが出てきたとあれば、拙者が相手をせねばなるまい。」


「むう? うぬは?」


「お主が鬼であるな。場面が違えば、出来ればお主と手合わせしたいものだが……。」



 ムーザがいるんなら、侍が出てこないはずがない。これでどいつもこいつも戦闘狂だらけの対決が実現してしまいそうな気配だ。ムーザと拳王はハリス陣営だからなんとか協力関係は成立するんだろうが、侍と鬼なんて成り立たない組み合わせである。ハリスはその事実も狙ってそういう采配にしたのかもしれない。



「構わぬぞ。うぬら三人をまとめて相手をするのもまた一興よ。」


「欲張ってんじゃないぞ! そんなになるんだったら袋だたきにして速効退場してもらうからな!」



 三人相手でも構わないと言い出す鬼にムーザが抗議する。いくら何でも舐めすぎだからだろう。本調子じゃない鬼ではあの三人のうち誰か一人を相手にするだけでも精一杯な感じがする。それくらい俺との対戦前と差を感じるのだ。


 少し毒が抜けて、普通に強いだけの人間に近くなっているのに気付いていないのか? そんなに無理してまで虚勢を張り続けないといけないルールでもあるんだろうか? 戦闘民族のルールは理解出来ません!



「む? これはまた魔王からの伝言では?」



 また例の紙が降ってきた。なんとなく何も説明なしに次の戦いをおっ始めるのかと思いきや、恒例の運営からのお知らせが舞い降りてきたのだ。紙を手に取り早速内容を確認する。やっぱりというか最初は一戦目が惨敗に終わったことに対するお気持ち表明だった。



《子を倒すなら親を出すのは鉄板、親孝行暗黙ルールで子は負けるのは必然、とか言ってたの誰? どっちも負けるとか! くそぅ! 役立たず共め! こうなったら地獄の敵味方、弱肉強食大乱闘必須の組み合わせでやったるかんね! しかも希望通りの対戦をさせると思うなよ! あべこべの不本意対決させてやるよ! コレ、運営の特権なのよね!!》


「意味わからん。何コレ?」


「知るか。魔王なんぞの思考なんか知りたくもないな。」



 俺とファルは愚痴をこぼすが、周りの人々も大体そんなリアクションを取っている。紙面の内容に気を取られていると急に部屋の中央部分の床が陥没を始めた! 床が、鬼や侍達のいる場所の部分だけ窪んでいってるのだ。しかもご丁寧に二組に分断される形になった。侍と拳王、鬼とムーザといった組み合わせになっている。



「なるほど。そういうことか。」


「なんか、あまり関わりのない組み合わせになってしまってるぞ!」



 ハリスの腹いせであべこべな組み合わせになった。これで不本意な対決をさせて自分の機嫌を落ち着かせようという魂胆なのだろう。そのままタッグバトルでも問題なかったと思うのだが、何か企みが裏にあるんだろうか? わざわざ二組に分ける必要なんてある? しかも不本意な組み合わせで?



「魔王の狙いはわからぬが、拙者は一向に構わぬ。闘技場、伝説の覇者が相手とあらば、誠、光栄の極みなり!」


「見たことのない風俗の戦士だな? 未知なるスタイルの戦士と戦うのもまた一興か。」



 侍と拳王は早速対戦を承知してそれぞれ準備に入っている。極東の剣士と拳闘競技の覇者という本来あり得ない組み合わせだ。どちらもお互いの戦闘スタイルに興味が湧いているのだろう。しかし、反対側の二人はどうだ? 今も名の残る歴代の勇者とローカル戦闘民族の戦闘狂という組み合わせである。



「何だよ? ライバルとの決着が付けられると思ったら、鬼退治ってか? そんなの今時流行んないんだよ。」


「うぬも”勇者”と呼ばれる輩のようだな。気質があの男と似通っている。我と戦うに値するか見定めさせてもらおうか?」



 なんかノリがかみ合っていない。下手したら、目の前の相手そっちのけで本来の相手の元へ向かってしまいそうな気配すらある。どうするんだコレ? 魔王は何か妨害阻止する手段を持ってるんだろうか? 奴らも相当な実力者だから簡単にはいかないと思うぞ?

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