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不確定名“きみょうなもの”

「おせーぞ。何してたんだ。」


「いやあ、あのアホ犬が寝坊してきたもんで。」



 ファルちゃんはイライラしている。ちょっと遅くなっただけなんだが。



「言い訳してんじゃねえ。だいたい、今からやろうとしてることの意味を考えろ。そんな考えが通用する場所じゃねえんだぞ。下手すりゃ死ぬぞ。」


「ええ~!?」



 相変わらずお堅いなあ。多少は心にゆとりがあった方がいいのでは?



「ホラホラ、喧嘩してる暇があったら、さっさと行くよ。変なところでエネルギー使ってんじゃないの!」



 ジュリアが仲裁に入ってきた。確かにこんなところで体力、精神力を消耗してもしょうがないな。


「姐さん、ところでアイツら、いっつもこんな仲悪いんか?」


「さあのう。以前の一件では妾は行動を共にしていたわけではないからのう。彼奴ら自身もほんの少しの間しか共闘しとらんはずじゃ。」



 言われてみればそうだ。ファル、ジュリアとはほんの三、四日程度しか一緒じゃなかった。むしろ今となっては、エルちゃんの方が一緒にいた期間が長い。



「まあ、そのわりにはよう喧嘩しとるわ。むしろ、それは逆に仲がいいということの裏返しなのではないのか?」


「ま、せやろな。“仲良く喧嘩しな”とも言うからな。」


「誰が仲良しだ!」



 俺とファルちゃんは同時に同じことを言った。思わずお互いに顔を見合わせ、即、にらみ合いになった。



「なんだ、コラ!」


「真似したのはそっちだろ!」


「コラコラ、もうやめーい。」



 ますます、加速しそうになるところで、ジュリアの仲裁が再び入った。



「そろそろ行くかのう。皆のもの、準備は良いか?」


「おう!いつでも行けるぜ!」



 参加メンバーは、サヨちゃん、エルちゃん、ゲンコツのおっちゃん、ファルちゃん、ジュリア、メイちゃん、そして俺の計七人だ。



「糸も持ったしな!」


「糸か。まあ、それも基本やけど……、」



 おっちゃんは何か言いたげだった。そして、懐から何か取り出した。履き物のような“きみょうなもの”が出てきた。



「ナニソレ?お守りみたいなヤツ?」



 なんか観光客用のお土産として売られてそうな、そういう感じのものだった。



「まあ、昔はそういう意味合いもあったらしいけどな。これは実用品や。“帰還”の魔法が使えるアイテムや。他に石とか骨のヤツもあるで。」



 そうなのか。タニシはそんな話全然してなかった。色々とアイツの情報には穴があるな。



「基本、ダンジョン入ったら、何が起こるかわからへん。色々、予防線張っとくのが一番なんや。」



 やっぱ、ベテランは言うことが違うなあ。


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