表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【総合ページ】勇者参上!!~東方一の武芸の名門から破門された俺は西方で勇者になって究極奥義無双する!~  作者: Bonzaebon
はぐれ梁山泊極端派Ⅱ【 第4章 沈黙の魔王と白い巨塔】  第2幕 K'(ケー・ダッシュ)
1099/1128

第425話 そういえば、タニシどこ行ったん?


「ケンオウって、もしかして、あの? ”不死鳥の騎士”に出てくる人のことか?」


「そうじゃ。こちらの国の歴史には疎いそなたにしてはよく知っておったのう?」


「この前、聖歌隊の演目として公演されていたのを見たことがあるから、知ってるんだよ。」



 やっぱそうなのか。この国の歴史上でケンオウと言ったら拳王しかいないということなのだろう。ただ、わかったのはいいがそんな人まで蘇らせていたとは! カレルですら十分手強いのに、剣豪勇者に加えて拳王みたいなレジェンドまで加わると余計に最強無敵の軍団感が増してしまうな。



「てか、なんで鬼と拳王が戦ってるの? 鬼って逃げていったはずだよね? 俺との戦いで消耗してるはずなのに?」


「酔狂な者の事は理解できぬが、強者の気配を感じて引き寄せられてきたようじゃ。まるで獣じゃ。いや獣とは呼べぬか。獣は引き際くらいはわきまえておるからのう。やはり只の狂人だろうて。」



 あちゃあ。怪我してるのに無理して参戦してきたのか? 学院に現れたときもそんな経緯だったとか、エルが言ってたな。自分がどんな状態だろうと臆することな突っ込んでくるという習性。蚩尤一族とは一体……。



「拳王は伝説に違わず手強い相手じゃった。若い衆はみんなやられてしもうたわ。」


「ちょっ! みんなやられてしまったのかよ!」


「案ずるな。致命的な傷を受けたり、命を落としてまではおらぬ。みな意識を失っておるだけじゃ。」



 俺が鬼と拳王に気を取られている間に、クロエさんやメイちゃんがロッヒェン達の治療に当たっている。俺としたことが……。仲間が傷付いているのをそっちのけで敵に気を取られてしまうとは情けない。命に別状がなかったから良かったものの、そうでなければ手遅れになっていたかもしれないのだ。クロエさん達に感謝しなければ……。



「ぬう!? 今までいなかった者達が一同に会しておる! 何故だ?」


「チッ! うちの大将が余計な横槍を入れやがったんだ! 何の相談も無しに別の場所に転送しやがったんだ。」


「”魔”の者の誘いというわけか。良かろう。お手前を見せてもらおうとしようか。」


「一旦休戦でいいな? 興が冷めちまった。」


「良かろう。他の(つわもの)が現れるのを待つのも一興なり。」



 鬼も事態の異常を察知して、停戦を承諾したようだ。いくら戦闘狂とは言っても、勢力の違いはあれど全部が敵みたいなもんだからな。自分の立場くらいは弁えているようだ。あと、拳王ですらこの展開は予想していなかったようだな。ハリスは独断でこの事態を引き起こしたと見える。



「配下の者にすら知らせていない策略……。(ハリス)め、こちらの手勢を手強しと見て、急な作戦変更したのかもしれぬな。」


「あのまま個別に相手していても敵わないと思ったのかな? でも、あっちはカレルとかを温存してるんだし、こっちが押してるようにも見えないけどなぁ?」


「誰も犠牲者が出ていない所を見ると、アイツ(ハリス)も焦り始めてるんじゃないか? カレルはまだ倒せてないとはいえ、箱のオッサンとかを倒してるんだ。こちらを甘く見すぎていたから急な方針転換でもしたんだろうよ。」



 サヨちゃんやファルの分析は正しいのかもしれない。確かにこちらの戦力がさほど削れていないのだし、有利に進めていると考えても良さそうだ。一同を集めて戦いに差し支えるような事態を起こせば魔王側に有利となるかもしれない。鬼もいる上に犬の魔王もいる。処刑隊だってこちらの味方とは言い切れないので、同士討ちさせるような策略を講じてくる可能性もある。



「タニシ達、犬の魔王のパーティーがいないのが気になるな。アイツらは敬遠されちまったのかな? 同盟関係のなさそうな感じだったし……。」


「序列順位はハリスの方が上とはいえ、犬の魔王が従う義理はないからな。昔から何度も代替わりしていても、個別に行動したがる傾向にあるのが犬の魔王だ。双方の実力には大差ないから、転移の魔力に抵抗したのかもしれん。」



 ここに来たのは偶然を装っているけど、個別の方向に進んでいたのに同じタイミングで同じ場所にたどり着くなんて不自然だ。サヨちゃん達は明らかに転送されて来たんだから、俺たちも知らない間に転移の罠にかけられていたんだろう。けど、サヨちゃんやファルが探知できない程の魔術をかけるなんて相当だな。ここがハリスのテリトリーだからある程度有利に働いているのかもしれない。



「ようやく敵さんのお達しが来たようだぜ。」



 ファルの声に触発され上を見上げてみれば、いくつもの紙切れが宙を舞って降ってきていた! これはハリスがメッセージを送るときに使ういつものアレだ! 手近に落ちてきた紙を手に取り、その内容を確認した。



《レディース、アーンド、ジェントルメン! お楽しみなようで何よりです! そろそろ皆さんも退屈してきた所だと思いますので、ファイナル・アトラクションでオモテナシしたいと考えております!! お・も・て・な・し!! 裏はあるよ? なんちて!!!》



 毎度毎度、この妙なテンションはなんとかならないんだろうか? ひたすら相手をバカにしているとしか思えない。それはともかく、やっぱりとも言うべきか? アッチはそろそろ決着を付けたいと考えてるみたいだな……?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ