表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【総合ページ】勇者参上!!~東方一の武芸の名門から破門された俺は西方で勇者になって究極奥義無双する!~  作者: Bonzaebon
はぐれ梁山泊極端派Ⅱ【 第4章 沈黙の魔王と白い巨塔】  第2幕 K'(ケー・ダッシュ)
1090/1093

第416話 ゲイリーが来るゥ(狂う?)ーっ!!


「むっ!? 貴公は……。」


「裏切り者の意気地無しに成り代わり、参上いたしましたぁん!」



 我が友、オリバーとの決着がつき胸を撫で下ろした瞬間、オリバーの体に異変が生じた。身に付けていた装備品が弾け飛び、体格が別人に変化した。彼の部下達も同様だ一様に皆、オニオンズに変化してまったのだ。そして、オリバーであった個体のみが少し容貌が異なっていた。頭の部分に”108”というタトゥーがある。これは確かロアに弟子入りしていた、あの男と同じだった。



「確か、ゲイリーと言ったな? ロアの弟子を名乗っていた……。」


「正解ィ! さっすが、エドちゃん! 勘がよろしいようで! ご存じゲイリーこと、タイプ108でぇすっ! ゲイリーが来るゥ(狂う)ーっ!!」



 タトゥーだけではない。見た目も猿の魔王と戦った時の彼の容姿に酷似している。見た目は他の人間からしたら些細なものかもしれないが、纏っている雰囲気が違うのだ。だからこそ一目見たとき、フィーリングで即時にわかったのだ。とはいえ、口調は別人の様に変わっている。こんな道化の様な態度を取る男ではなかったはずだが……。



「オリバーはどこへ行った? 肉体は奪えても魂までは奪えはしまい?」


「オリバーちゃん? あんな役立たずは退場させました! 俺っちの養分となったのです。スタッフ一同で美味しく頂きました♡」


「彼の魂を汚したと言うのか!」


「言い方を変えれば、ラーニングしたとも言う! 能力を取り込みました!!」



 オリバーは彼に吸収されてしまったというのか? 肉体を乗っ取り自らの物にしただけでなく、その能力、技すらも取り込んだと? それが度の程度の物なのかは定かではない。実際に見てみなければ何とも言えないからだ。だが、どのような物であれ警戒する必要はあるな。



「ふひっひ! そういえば、アンタ、師匠に一回負けてたよね? だったら楽ショー!! 俺っちが勝つぅーっ!!!」


「私がかつてロアに負けたことを言っているのか? 確かに私は負けた。だがあの時の私とは違う。」


「ぶぶーっ!! でも、負けた事実は消えましぇーん!! お前は負け犬なのは一個も変わってましぇーん!!!」


「……。」」



 彼の不躾な態度に思わず閉口してしまった。ロアから不躾な男だとは聞いていたが、随分と敵対心を煽るものだ。だがこんな事で腹を立てていれば、相手の思う壺だ。冷静さを奪った上で自分のペースに引きずり込む。この手の人物の常套手段だ。



「貴公が引き続き私の相手をすると言うのであれば、喜んで引き受けよう。友人の無念は私が晴らす。」


「無念を晴らすぅ~? いやいや、アンタが残念・無念な結果になりますからぁ~! 残念、負け犬の恥の上塗り斬りっ!!」



 ゲイリーは手にしたオリバーの槍を薙ぎ払ってきた! 急だとはいえ、腰の入っていない攻撃など私には通用しない。とっさに間合いを離し、剣を構え直す。これを開戦の合図だと私は解釈することにした。相手を入れ換えた上での第二ラウンド開始だ!



「よく避けまちたねぇ? 負け犬のクセに! でも……甘いよ? 俺っち、流派梁山泊だからね? さっきのがただの攻撃だとか思ってない? 違うからね?」


「ムッ……!?」



 自らの鎧を見てみれば……そこにはうっすらと切り傷が走っていた。ほんの僅かだが穂先が触れていた? いや、違う。私は確実に回避した。間違いはない。ただ……可能性があるとすれば、あの流派の技だろう。確か遠当て、斬撃を飛ばす技があったはずだが、それを使用したと言うのだろうか?



「ふひひ! 戦技一0八計、落鳳波!! 武器を選ばずとも技を使える辺り、俺っちってやっぱ天才だわ!!」


「槍で剣の技か。本来の武器以外では使うべきではないと思うのだがな?」


「他流派のクセに物言いしないでくれるぅ? 天才は武器を選ばないのよ!!」


「本来最適な使用法で用いた場合は予期せぬ事態を巻き起こす原因となる。これは武器に限らず、人の作った道具全般に言えることだ。痛い目を見たくなくば、やめておくのだな。」


「敵にセッキョーかよ! 負け犬のクセによう吠えるわ!」



 彼は基本的に剣技しか使えないのだろう。オリバーから知識・能力を奪ったとはいえ、まだ使いこなせる水準に達していないのだろう。それに体に染み付いた癖というものがある。能力的に違う技術を使えるのだとしても、よく使っている武器の使い方が癖として出てしまうものだ。おそらく彼自身もこの事実には気付いていまい。



「俺っちの天才ぶりに跪くがいい!! どうりゃぁっ、有隙の征(ゆうげきのせい)!!!」


(しゅばばばっ!!!!)


「ムムッ!」



 有隙の征(ゆうげきのせい)……確か、目にも止まらぬ連撃で攻め、相手の体勢を徐々に崩す技だったな。ロアは滅多に使わないが、彼自身が鍛練をしている際に型だけは見たことがある。なるほど、高いレベルで彼の流派の技を体得しているようだな。ただ、使用しているのは槍という点を除けばの話だが。



「ふひひ! 手も足も出ないだろぉ? このまま蜂の巣みてえに穴だらけにしてやるぅわぁ!!」


「果たして、そんなにうまくいくかな?」



 やれやれ、困ったものだ。こんな姿をロアが見たら、彼はさぞかし落ち込むことだろう。技の型はよく再現していると思うが、彼の精神性を何も学んでいない。外面の強さの部分しか学ぼうとしなかった結果だとも言える。これは是非とも私が正してやらねばなるまいな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ