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【総合ページ】勇者参上!!~東方一の武芸の名門から破門された俺は西方で勇者になって究極奥義無双する!~  作者: Bonzaebon
はぐれ梁山泊極端派Ⅱ【 第4章 沈黙の魔王と白い巨塔】  第2幕 K'(ケー・ダッシュ)
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第414話 兎の魔王の秘密、バラしちゃいます!(それでも勝てるとは言ってない)


「武器その物がコアだったとか、冗談みたいな展開じゃねえかよ。」


「心臓みたいだからって弱点とは限らないんだぞ。むしろ強みだから武器にしてるのさ。」



 確かに盲点だった。俺はコイツと戦っていたときは如何にその武器を使わせない様にするかということに主眼を置いて戦っていた。強敵に強みを発揮させない様にするのは定石だからな。


 だが、それが返って弱点から遠のかせる形になっていたのは失態だった。その盲点を利用して俺をハメてこなかったからよかったものの、普通なら騙し討ちを食らって命を落としていたかもしれないのだ。コレは俺の不覚と言う他ない。



「知ってるか? こういうのをやってるのはオレだけじゃないぞ。ラゴースも同じ事してるぞ。」


「兎の魔王……ラゴース・ザ・ヴォーパルか。」



 別名、”血風の殺戮者”とか言うヤツだな。歴史上、あまり表舞台には出てきていないようだが、圧倒的な戦闘力を誇る魔王として知られている魔王だな。十二魔王の内の序列第二位、実力No.2、魔界最高の剣士と名高く、他の魔王とは桁違いの強さだというが……。ヤツの剣、”鋭利なる兎歯(ヴォーパル・ソード)”は魔界最高の業物と伝説では謳われているが、まさかそれもデーモン・コアその物だとはな。



「いいのか? 味方の機密情報をバラしてしまって?」


「いいよ、別に。知ったところで、アイツには誰だって敵わないよ。ましてや人間の勝てる相手じゃない。オレら下の魔王ですら敵わないんだぞ。」



 魔王軍の四天王といえば、滅多に表には出てこないが桁外れの強さを持っている事で有名だ。(ポジョス)(ギャロ)は歴史上、人類に多大な被害を与えた事はよく知られている。


 世界中にその爪痕があちこちに残っている。そいつらでさえ、四天王の下位クラスでしかない。上位の(ラゴース)やトップにいる(ラット・キング)なんかは、神に匹敵する力を持っているとも言われている程だ。つまりは弱点を知ったからといってどうにもならないと言いたいんだろうな。



「ちぃくしょう!! 痛いじゃないか! 死んだフリからの不意打ちとはド卑怯な真マネしてくれるじゃないかよぉ!!」


「それはそっちが先にやろうとしていた事だろう? よからぬこと、やましいことを考えているから出し抜かれるんだぞ。」


「むきぃ! 言い訳は許しません!!」


「言い訳しようとしてるのはお前!」



 タマネギ頭は(タンブル)の不意打ちを受けたにも関わらずピンピンしていた。上半身の半分程度を欠損したはずだが……元に戻っている。服装、鎧に関してはそのまま損傷したままだが、体は何事もなかったかのように修復している。


 妙だ。さっきも短時間で砕けた手を再生していた。ほんの少しの間目を離していたうちに、だ。再生したというにはあまりにも早すぎるんだ。なにかトリックがあるに違いない。その謎を解かねばヤツと延々戦い続ける羽目になるだろう。どうにかしてその謎を暴かねば……。



「卑怯だわ! 二人がかりなんて卑怯だわ!! 今すぐに改善を求める! どっちかが死ぬべきなんじゃないですかね? 誠意ってモンを見せる必要があると思うんです?」


「何が誠意だ。誠意もクソもないようなヤツが言うな。誠意を見せてほしいんなら、テメエも傷の再生方法を公開するんだな!」


「だが断るゥ! 卑怯なのを何とかしないと許さないんだぞ?」


「何が断る、だ! 調子に乗るなよ!」


「……ヒント。部品はそこらに転がっている。」


「ああっ! クソ犬めが、余計なことを言うなぁ!!」



 なるほど? 部品とは即ち、奴らオニオンズの雑魚の死体の事を指しているに違いない。要はアレを再生の手段に使っていると解釈してよさそうだ。奴らは人造人間(ホムンクルス)、個体差あるとはいえ同じ部品で出来ているからこそ継ぎ接ぎで体の傷や欠損から瞬時に回復できるのだと考えれば、辻褄が合う。


 再生するにはどうしたって時間がかかる。散らばっている部品を使えばお手軽且つ瞬時に回復可能って魂胆か。やってくれるぜ。仮初めの生命だからって舐めていたが、ゴミにはゴミなりの使い方があるって事なんだろうな。してやられたぜ。



「ああ、そういうことだったのか。道理で雑魚を無駄死にさせてやがったのは、予備部品として使うためだったのかよ。」


「ああーっ! バレちゃったじゃねーかぁ!! クソ犬のせいだぁ!!!」


「馬鹿なの? 黙ってたらバレてなかっただろ。そのヒントは大当たりって自分で言ったようなモンだから、断頭台にバレたんじゃないか。」


「じゃあ、こんな物は焼却しないといけませんね。私が魔術で燃やしておきます。」


「私も手伝うヨ。」



 そうとわかって、手際よく動き始めたのはヘイゼルだった。仲間内で炎系魔法を使えるのはあの新入りの嬢ちゃんだけだ。全く助かるぜ。何故か犬共の仲間のタヌキもどきも手を貸している。着火剤代わりに枯れ葉を魔法で増殖して燃焼しやすい様に援助している。女ってのは決断してからの行動が早いもんなんだな。



「ああ! チクショウ!! なんで俺っちの邪魔ばっかり!! 卑怯千万、バンババン!! チェックメイト状態じゃないか、これはぁ!!!」


「雑魚どもと連携してたらもう少しマシな展開になってたんじゃないか? 身から出た錆だ。観念するこった。」



 再生のトリックは暴いた。後はヤツ自身を血祭りに上げるだけになったな。こうなったからには奴に勝ち目は少なくなったと見えるが、なんだか胸騒ぎがする。まだ何か隠し球を持っているような気がしてならない。いちいち大げさに振る舞っているのはそのカムフラージュに過ぎないのでは、と俺は思う……。

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