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キャベツおかわり

「キャベツおかわり、お願いしまーす!」



 上機嫌なタニシはキャベツをおかわりしようとしていた。こっちはダンジョンの物騒な話をしているというのに脳天気なもんだ。



「タニちゃんはよくたべるねえ。」



メイちゃんという子はタニシを見てニコニコしている。



「お前、まだ食べよるんか?もう、それくらいにしとけ。四個目やぞ。」



 何ぃ!知らない間に三個も食ってやがったのか。あいつめ、調子に乗ってやがるな。



「まあ、辛気くさい話はこれくらいにしとこうや。後から来た三人さんはまだ、なんも食うとらんやろ?」


「俺は腹など減っていない。一向に構わんよ。」


「あんたはそうかもしれないけど、あたしは食べるからね。師匠の店に来たからにはちゃんと食べてかないとね。」


「俺も食べたい。まだちょっとしか食べてないし。」



 俺は最初の前菜とかおつまみ的な物しか食べてない。話の最中、大半の料理はサヨちゃんが食べていた。しかもどこぞの犬と違って話もちゃんと聞いていて、ちょくちょく割って入ってくる。



「チッ、しょうがない。勝手にしろ。」



 このエルフイケメンはよっぽど食べることに関心がないのだろう。



「こいつさあ、ホント食べることなんてただの栄養補給ぐらいにしか考えてないのよ。時間の無駄とか言ってさ。ホントつまんないヤツなんだよ!」


「だまれ。効率よく頭を働かせたいだけだ。食事なんぞに時間を食われるのはまっぴらごめんだ。回数も一日一回で十分だ。」



 そういえば、竜帝討伐のときも夜以外は食べているところを見たことがない。いや、実際には食べてなかったんだ。今頃になってその謎が判明するとは。



「まあ、人それぞれ考えはあるっちゅうこっちゃな。ほなら、酒は飲むんかいな?」


「酒も飲まない。当然、思考が鈍るからだ。」


「酒もかいな!兄さんの健康志向は徹底しとるな。そやったら、こんなとこに呼び出してもうて悪いことしたな。」


「別に気にしなくていい。俺の同僚たちの縁の店だから付き合いくらいはするさ。」



 この店の店主の弟子、娘が同僚だから付き合ったってことか。逆に言えばそういうのがなければ来ないってことか。ファルちゃんを食事に誘うのはNGにしといた方がよさそうだ。



「そんなことよりも、ほれ!早うせんと、食べる物がなくなってしもうても知らぬぞ。」



 これ見よがしにサヨちゃんは言う。そう言いながら、すでに次のターゲットを手にしようとしている!



「ちくしょう!とられてたまるかあ!」


「ええで、ええで、どんどん食べてーや。ワシが奢るさかい。」



 食の覇権を巡る戦いが始まろうとしていた!



「じゃあ、あっしもキャベツ追加で!」


「おまえはもうええやろ!社員は対象外や!」


「しょぼーん!でヤンス。」



 タニシ氏、対象外だった。

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