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【総合ページ】勇者参上!!~東方一の武芸の名門から破門された俺は西方で勇者になって究極奥義無双する!~  作者: Bonzaebon
はぐれ梁山泊極端派Ⅱ【 第4章 沈黙の魔王と白い巨塔】  第2幕 K'(ケー・ダッシュ)
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第389話 セキュリティガバガバじゃないですか?


「じゃあ、最後はコレだ! コレでもダメなら、私は負けを認めよう! これっきりだ!」


「ここまでのヤツも自信の逸品ばかりやったとか言ってへんかったか? ホンマにコレで最後やろな?」


「当たり前だ! 男に二言はない!」


「なんか嘘くそうて、しゃらへんわ。」


 オッチャンの最後の方の文句は訛りが強すぎて言葉の意味がよくわからなかったが、とにかく箱おじさんが胡散臭い、という意味合いな感じがした。ここまで言われて後がないというのに、箱おじさんは一向に最後の問題を出そうとしなかった。なんか考え込んだり、うなったりで、今まで以上に出し渋っている。


「はよせいや! いつになったら出すねん!」


「焦るな、怒るな! 最後の仕上げと準備に手間取っておるのだ! ちょっとくらい待っててもいいだろう!」


「そんなん言うてるヒマあったら、ちゃっちゃとせい!」


「ああ……もう! せいっ!! これが最後の問題だ!!」


(ズズゥン!!!!!)



 なんか今までよりもひときわ大きい箱が出てきた! なんか箱と言うより小さめの小屋みたいなサイズ感である! コレを果たして宝箱と呼んでいいのだろうか? いや待てよ?


 金庫とかお宝の保管室とかって意味でならありなのか? 建物とは別の材質で作ってより強固に守りを固める事もあると聞いたことがある。タニシの実家にはそういうのがあると言っていたのを思い出した。



「なんかエラいごっついのが出てきよったで。」


「フハハ! どうだデカいだろう? もちろん見た目だけではないぞ? 中の構造も……おっとこれ以上言ってしまうとネタバレになってしまうな? 以上!」


「まあええわ。何が出てこようと解除して行かなしゃあない。アンタの最後の挑戦状に受けて立ったるわ。」



 オッチャンは早速作業に取りかかった。今までのように罠とかの確認とかをせずにドアみたいになっている蓋の解錠を始めたのだ。見たところ、扉には鍵穴らしき物が見当たらないにも関わらずだ。代わりに数字の書かれた背の低いドアノブのような物体が付いている。扉にオッチャンは耳を当て慎重にそれを回している。専門知識とかないから何してるのかさっぱりわからない!



「ほう! 潔いな罠は最初からないと踏んで鍵の解錠に取りかかるとはな!」


「知らへんとでも思うたか? ワシゃ、副業で鍵開けの仕事もしとるねん。最近は商売人が金銭の管理に金庫を導入してるとこも多いからな。たまに開け方忘れたり鍵無くしたりで泣きついてくる客も多いねん。せやからこういうのは慣れとる。開けるのは知識と勘がいるさかい、罠なんてセキュリティは必要ないんや。」


「むむう! 私が生きていた時代は最新式の鍵だったというのに現在は量産されていたのか! コレは迂闊だった!」



 向こうは最新式のつもりで出題してきたようだ。でもやっぱり過去の人間なので今のご時世には詳しくないようだ。いつも俺の目線で戦いを見てきたカレルとは大違いだ。


 カレルが死んでから何年も経っていないからというのもあるが複製人間(クローン)のクオリティにも差があるみたいだな。まあこんな変態とカレルが同列で扱われるわけないか。あっちは明らかに俺を倒すための本命だろうしな。



(カション!!)


「ほれ、開いたで。」


「おのれ! 第一関門をあっさりと突破されてしまった! でもまだ最初の一つにすぎない! まだまだ解錠には至らないぞ!」


「何重にも鍵がかかっとるんやな。まあそれは予想の範疇やから問題ないで。」



 鍵の開いた音がして扉が開いたと思ったら、中にまた扉が付いていた。何重にも扉と鍵が続くんだろうか? 二人の口ぶりからするとそれは間違いなさそうだ。俺がコレに取り組んでいたとしたら、この時点で心が折れてしまうかもしれない。というか一つ目すら開けられずに終わるかもしれない。



「何個かかってようが、落ち着いて開けていけばどうということもあらへん。」


「くうう! こうも簡単に開けられていくとは思いもしなかった! 悔しい! でも最終関門はどうかな?」



 オッチャンは次々と開けていき、どんどん先へ進んでいった。箱おじさんもそこは想定外だったのか悔しがっている。解錠を何度もしているうちに何か別の仕掛けが出てきたためか、オッチャンは手を止めている。相変わらず鍵穴がないのは同じだが、今度は回して開けるヤツとも違う様だ。何やら文字が書かれたプレートの様な物が扉に付いているのだ。



「ふはは! 今度こそはわかるまい! 私の考えた最強のロックシステムだからな!」


「さよか。まあでも、見ただけでなんとなくわかるような気がするわ。」


(ぴ、ぴ、ぴ、ぴ、ぴ、ぴ、ぴ、ぴ、ぴっ!! ガチャ!!)



 自信ありげに箱おじさんは構えていたが、オッチャンはその様子をよそに文字盤を指で触って解除に成功したようである。何が起きたのか? 意味はわからなかったが文字盤の上の空白部分には”ULTRABOX"という文字列が表示されていた。箱おじさんの名前じゃないか? これは鍵の解除と関係があるのだろうか?



「何故だぁ! 扉の解除暗号(パスワード)が何故わかったのだぁ! 私が必死に考えて設定したのにぃ!!」


「勘や。文字列、しかもAからZまで一文字ずつ並んでてやで、なんか何も書いてないところがあったら文字打ち込んだら解除できるかな、て思うてん。そしたら合っとった。しかもアンタ、こういう所に自分の名前使うとかあり得へんやろ? さっきのダイヤル鍵の数字かて推測しにくいモンを選ぶのが基本なんやで? セキュリティの基礎からやり直した方がええんちゃうか?」



 なんだかよくわからんが箱おじさんはあり得ないミスを犯していたらしい。合い言葉的な物を打ち込んで解除する鍵だったようだが、普通はバレにくい言葉にするところを自分の名前にしてしまったようだ。なんという凡ミス。それじゃ謎を解くとか以前の問題だよなぁ……。


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