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【総合ページ】勇者参上!!~東方一の武芸の名門から破門された俺は西方で勇者になって究極奥義無双する!~  作者: Bonzaebon
はぐれ梁山泊極端派Ⅱ【 第4章 沈黙の魔王と白い巨塔】  第2幕 K'(ケー・ダッシュ)
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第371話 き、斬れてな~い……!?


「本当にそのような文言が書かれてるんですの? なんという破廉恥な……。」


「多分若気の至りに違いないのニャ。若いときは多少痛々しいことでもかっこいいと思えるものなのニャ。」



 うわああっ! なんかドン引きされているぅ! あんな美人にそんな目で見られること自体、大きな失態だ! しかも、そこの猫! 擁護しているつもりなんだろうけど、余計な解釈を付け加えて更にオレが痛々しい人間だと誤解させているぅ! 



「なんだ? あの少年、どこか頭がおかしいのではないか?」


「花束の次は破廉恥な文言の書かれた刀剣とは……。」


「一体、何をしたいのか皆目検討がつかぬ。」


「ひょっとして、あの少年かわいそうな者なのでは……?」


『ザワザワ……。』



 なんか敵方からもおかしがられている! しかも同情する流れにまで発展している! 刀覇ともあろうものが武器のせいでここまで屈辱的な扱い受けるなど誰に想像できるのだろう? いや、ミヤコちゃんやあの化けタヌキはこうなることを狙っていたのかもしれないいぃ!



「ちくしょー! もうどうにでもなれ! この場にいる全員を始末すればオレの恥はなかったことにできるんだぁ!」


「落ち着け少年! そのように破れかぶれで戦うのはよくないぞ!」



 こうなれば戦うしかない! 妙な文言が書かれているとはいえ、花束の状態から元に戻ったのだ。少なくとも相手を斬ることはできる。先程までのように斬ってもお花畑…な状態からは解放されたのだ! いくら恥ずかしかろうと、それは他人が存在しているからであるので、全て叩き斬ってしまえば解消されるのだ!



「喰らえ樹大招風!! うおおおおっ!!」


「駄目だ! やめろといっているのに止まることを知らないのか!」


「なんという技だ! まるでつむじ風そのものだ!」



 それ見たことか! 刀に書いてある文言に気を取られているから、オレが技を繰り出す猶予を与える羽目になったのだ! 刀がどうあろうと戦技一○八計を繰り出すことは可能だ。なまくら刀であっても十分に相手を制する力をもっているのが梁山泊の奥義なのである!



「ええい! いかにつむじ風のようであろうと、相手は槍にリーチの劣る刀剣でしかないはずだ!」


「我々の槍を以てすれば止めることなど容易である!」



 相手方は次々と槍を突き入れてくる! だが奴らの思っているほど技を止めるのは容易ではなく、攻撃は弾かれる一方であった。当然だ。この技は攻防一体の技である。相手の生半可な一撃など剪定した上で敵を切り刻み殲滅する技なのだ! 安易な対抗策などもろとも切り捨てる対多数に適した奥義なのである!



「うわぁ!」


「ぎゃっ!」


「ぐふっ!」


「くそっ!」



 断末魔と共に次々と斬った手応えが腕に伝わってくる。多数であろうと、切っ先の長い槍であっても、オレの技に成すすべなく次々と倒れていった。やれお花畑、やれ○○カスなど揶揄しておるからこんなゴミのように切り捨てられるのだ! どのような実績のある精鋭であろうと油断という二文字の前では無力な存在となるのがよくわかったであろう!



「斬った! 手応えあり!!」


「す、スゴいニャ! アスチュート隊の人を全部やっつけてしまったニャ!」


「彼らのような精鋭を倒してしまうなんて、まだあどけない少年のしたことだとは到底思えませんわ。」



 フフ! そうであろう! 凄いであろう! やっとオレの腕の素晴らしさに気付いたようだな? まだ子供だと侮っていたから敵は無様な醜態を晒すこととなったのである! だが約一名、顔をニヤつかせたままの者がいる! フェイ! 何か文句があるのなら早く言え!



「あれれ~? おっかしいぞ? 人を斬ったはずなのに血が出てないぞ~?」


「そ、そんなはず……!?」



 敵の男たちは倒れている。だが、どこにも流血の痕がないどころか、傷が見当たらないのだ! おかしい。刀で斬った感触は確かにあったというのに! これでは峰打ちと変わらぬではないか! 峰打ちなどした覚えはない! オレは敵を斬って捨てたはずなのだ!



「き、斬れてな~い!」


「なんか、ナマクラでも掴まされたんじゃないの?」



 そんなはずは……って、なんだこれは! 刀が突然光だし、書かれていた破廉恥な文言が消失して美しい女性の書かれた装飾が露になっていく! それだけではない! 今気づいたが、刃がない! 刀にあるべきものがないのだ! 刃が研磨されたように鋭さをなくしてしまっていうるのだ!



《えーと、○○カスのバカに伝言。》


「はっ!? 何、頭のなかにミヤコちゃんの声が……?」


《アンタに少し反省を促すため、あのアホ勇者の剣みたいな、刃のない刀になる様に細工をしておきました。これで下手に人を斬ったり、殺したりできなくなると思います。ウチやシャンリンから許しが出ない限り、この効果は継続すると思っておいてください。以上。》


「ほうぁ!? なんか巧妙に刀への細工がされてたっぽい!」


「は? 何言ってんの、若? 頭おかしくなったんでない?」


「ちょ!? 違うから! オレだけにしか聞こえない伝言が自動再生されたんだよ! 本当だからな!」


「またまた~?」



 そりゃないよ、ミヤコちゃん! 怒らせたのは多分オレが悪いと思います! でもこんな仕打ちはないんではないですか! これじゃ許してもらえるまで峰打ちしかできない体になってしまったじゃないか!


 でも、恥ずかしい文言は一時的なだけで良かった。なんかよく見たら刀の彫刻……スゴい美人じゃないか? この刀の出自と名前に配慮してくれたのだろうか? しばらくはコレをオレの嫁だと思うことで気を紛らわせるとしよう……。

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