表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【総合ページ】勇者参上!!~東方一の武芸の名門から破門された俺は西方で勇者になって究極奥義無双する!~  作者: Bonzaebon
はぐれ梁山泊極端派Ⅱ【 第4章 沈黙の魔王と白い巨塔】  第2幕 K'(ケー・ダッシュ)
1034/1092

第360話 もう一つのデーモン・アーマー


(あの人物はこちらと同じ鎧を装備しています。猿の魔王(サナ・ウォーリア)由来のコアの反応あり。要警戒の相手です。)



 猪の魔王(ガノス)のコアがオレの脳裏に語りかけてくる。間違いない。あの鎧はデーモン・アーマーだ。デーモン・コアの力を利用し我がものとし、擬似的に超人的な戦闘力を発揮するものだ。


 デーモン・コアを使用する関係上、滅多に存在するものではない。現在、倒された魔王の物でもない限り、製造する事は出来ない。羊の魔王が奪取したと言われる猿の魔王のコアが確実に利用されていると見て間違いないだろう。



「へえ。おもしろいわね。こっちの変態が作った物をコピーしたなんて。案外簡単に作れる物じゃないかしら?」


「ムキー! 馬鹿おっしゃイ! アれは私の研究、血と涙の結晶ナのでス! マネサれるホど簡単じゃあーりマせんヨ!!」


「よく見りゃあ、センスは違うな。あの男の鎧の方が洗練されたデザインだ。」


「ムキー! クやしいデスよ!!」



 今オレが着ている鎧はミヤコがデザインを改変したものだからいくらかはマシになっている。元のは悪趣味すぎて意味がわからなかった。兜に覗き穴が付いていなかったのが最たるものだ。



「向こうのは普通に開け閉め出来るようになってるじゃん。やっぱ、あの死体フェチおじさんのセンスがおかしかったんだよ。」


「おい、言われてるぞ、おじさん!」


「ムッキー!!」


「ホント、変態は世の中の常識を知らなすぎるのよ。下等よね。」



 鎧の能力で外界の情報を魔術的に解析した物を直接脳に出力する方式を取っていた。おかげで目が潰れたり暗闇であっても視界が確保できるという仕組みだったが鎧自体が壊れてしまえば無意味な機能ではあった。


 現在のデザインでは切り替えが簡便化され、フェイスガードの開閉でそれぞれのモードを使用できるようになった。要はミヤコみたいな小娘にオプティマのセンスは劣っていたのだ。



「鎧は同じだという事はわかった。お前は一体何者だ?」


「……知りたいか?」


「当たり前だ。似たような装備を使っている奴をこれから倒すんだからな。今後オレがどれだけ優れているかということの引き合いくらいには名を使ってやるさ。」


「……名は知らぬほうが良い。きっとお前は後悔する事になる。」



 不気味な男だな。多くを語る事を望んでいないようだ。もう一人は侍の因縁の相手なのだから、この中の誰かの縁者の可能性がある。それとも、過去に存在した名のある戦士の誰かなのは間違いないだろう。



「後悔? 勘違いしてるんじゃあないぜ! お前が後悔させる前にオレがお前を後悔させてやるよ!!」


「……愚かな小僧よ。」


「ほざけ!!」



 ふざけた口を塞いでやるために、オレは最速で相手を斬り伏せにかかった! 高速で間合いに飛び込み袈裟懸けに剣を振り下ろす! 首を取った、と確信したにも関わらず、ギリギリで相手の盾に防がれた。斬りかかる前には何も手に持っていなかったのに、だ。



(ゴギャン!!!)


「小僧にしては中々の力だな。いや、その鎧を使っているのだからその程度は出来て当然かな?」


「何を偉そうに!」



 剣を一旦引き、振り返りながら遠心力を利用して真横に薙ぎ払う! 今度はその場で真上に跳躍して躱した。何の事前動作もなしで回避行動をしたのだ! そう思った直後に真上で何かが閃くのを視界ギリギリで感じ取った!



(ズドォン!!!)


「ギッ!?」



 跳躍回避からの剣の打ち下ろし! オレは本能的に危険を感じ取り、とっさに剣を水平に構えて攻撃に備えたのでなんとか防いだ。だが、体全体に衝撃が伝わるほどの重い一撃だった! ガードできていなければ、確実に頭を割られていたはず。



「よくぞ防いだ。いや、これも鎧のお陰かな?」


「なめるな! これはオレの力だ!」


「だと、いいがな。」


「殺す!!」



 オレの心は相手への殺意で塗りつぶされた。なめた態度が気に入らない! オレを明らかに見下したようなやり口。オレを本気で怒らせに来ているのは間違いない。ならば、死を以って償わせてやるまでだ! 徹底的に剣撃で押して押して、押しまくる!



「自暴自棄としか思えぬ戦いぶり。これでは最早剣技とは言えぬ。」


「偉そうな口を利くなと言ってるんだ!!」



 相手に手を出させないよう、膾斬りにしてやる勢いで挑むが全て軽くあしらわれてしまっている。まるで全ての攻撃を読まれているかのように感じる。動きの速さなら引けは取らないはずなのに!



「お前はその鎧を使いこなせていない。」


「なんだと! お前に何がわかるっていうんだ?」


「ただの身体能力向上のために使っているのみだ。」


「何を言う! オレはお前よりも前からこの鎧を使っているんだ! この世の誰よりも早いうちからな!」


「愚かな小僧よ。お前は知らぬのだ。その鎧と私の鎧はある組織の装備の模倣品でしかないのだ。」


「何を言っているんだ……?」



 オレを舐めた上に飛んだでまかせを言うとは! ふいにオプティマの方を見てみたら、何やら青ざめた顔をしている。何か思い当たるフシでもあるんだろうか? 他に似たような物があるはずはない。デーモン・コアの数は限られているはずなのだから……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ