賢者の手解き。~血となり骨となる~
「つまり、私は一生、闇の力に取り憑かれたままということですか……。」
私はデーモン・コアの後遺症について説明を受けていた。デーモン・コアは勇者様の手によって破壊された。でも、体にはその影響が残っているみたい。
「うむ。コアは取り除かれたが、そなたは生まれたときから闇の力に浸食されている。最早、体の一部となっておる。」
そう、私は小さいときから、体にデーモン・コアを持っていた。これからも忌まわしい力に人生を左右されることになるのかな?
「じゃが、安心せい。どういう訳かは知らぬが、他人に感染させる力は持っておらんようじゃ。」
例え、そうだったとしても、私はこれからどうやって生きていけばいいんだろう?私に何が出来るんだろう。勇者様の足手まといになってしまいそうで恐い。
「闇の力は自身の魔術にも影響を及ぼす。そなたは闇魔法しか使えぬという事じゃ。」
そんな力しか使えないなんて!勇者様の側にいるのはふさわしくない。やっぱり、私には勇者様に着いていく資格なんてない。
「闇魔法は死霊術と並んで、禁呪法に指定されておる。じゃが使わぬわけにはいかんじゃろう?それに邪悪な目的で使うわけではない。堂々と使えばよい。」
それでも、何か後ろめたさが、罪悪感を感じてしまうと思う。何か割り切れない。
「罪悪感を感じるか?それを無理にやめてしまえとは言わん。そう考えられるだけでも、そなたはまともな感性を持っておるのじゃ。」
まとも……なのかな?まだ、自分には実感が湧かない。
「失敗、後悔、罪等、後ろめたい過去は誰しもが持っている。悪いことも良いことも、その全てが今のそなたを形作っておる。“血となり、骨となっている”のじゃ。胸を張って生きてゆくのじゃ!」
“血となり、骨となる”。これって、勇者様にも言ってた。勇者様はこの一言に救われたって話してた。……それじゃ、私もずっと落ち込んでなんかいられないよね。