プロポーズ 2
自分の存在価値に目覚めたルーラが、クリストファーに向ける眼差しも変わっていきます。自分でも気付かなかった気持ちを受け入れたルーラは、彼女自身の花片を開かせ始めました。
「リュポン。王宮へ頼む」
「畏まりました」
執事に指示をなさって、何やら返った合図に、リント伯爵が覚悟を決めたように仰いました。
「ルーラ!私の花嫁に成っては貰えないだろうか?!」
わぉ!びっくり!
見事な薔薇の花束と、チョコレートの包みを差し出して仰る、リント伯爵のお顔は、冗談でも悪戯でもなく、真剣そのものでした。
「フィアンセとは申しましたけど…いきなりプロポーズですの?!」
私がこう言ってしまっても、自意識過剰では有りませんでしょう?!
「えっ?!あっ!いや…そうじゃ無くて…」
仰りながら、手にした薔薇の花束と、チョコレートとご自分の台詞を顧みられたのでしょう、項垂れて終われました。
「マリーエ・ローランサンのファッションショーの花嫁?!グランドオープンフェスタの?!」
「そう…駄目かな?!」
頂いた花束に顔を半分埋めて、なんて素敵な事に成ったのかしらと、知らずに微笑んでしまう口元を隠しました。
「…やっぱり…私が花婿役なんて気が重いよね…とにかく君に謝罪することが出来たんだ。今日はそれで良しとしなきゃ」
王宮の車寄せに着くと、先に降りられたリント伯爵が私の側のドアを開けて、花束を抱えた私に手を貸して下さいました。
「今日はお時間を頂いて有難う」
「『花嫁』お引き受け致します」
「ほんとに?!」
…あら…安堵と供に向けられた笑顔が、なんて嬉しそう…ずうっと見ていたいかも…
「はい。オルデンブルク公爵に直訴迄致しましたもの。カーライツの継子として務めさせて頂きます」
「有難う!詳しい事は改めてお報せします。宜しくね。ルーラ!」
仰りながらクリストファーは、私の方に右手を延べられました。握手をお求めなのだと思って、差し出した手の指先を捉えられると、優雅な所作で口付けられました。
「では、失礼申し上げる」
…これは…ショーへのプロローグなのでしょうか?!
頂いた花束の薫りが、私を現から夢の世界へと誘うのでしょうか?!
我を忘れて見送る私は、ローラに声を掛けられている事に気付かず、佇んだままでした。
お読み頂き有難うございました!
女の子がレディに変わる、花開く様ほど美しいものは無いと思うんですけど…何だか、物語の趣旨が変わっちゃってますかしら…




