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コールネーム   作者: みすみいく
14/19

TIME

 本格的にグランドオープンフェスタの準備が大詰めを迎え、クリストファーが責任者としての覚悟を決める時が近付いていた。

 彼の自覚が次代を切り開く条件と成っているのだったが…

 ローゼンブルク・リゾートに辿り着いた私を、クリストファー様がお出迎え下さいました。

 艶やかな黒髪の巻き毛に、碧の瞳。

 碧の瞳はお父様譲り、お母様はきっと、豪奢な黒髪も艶やかなお美しい方で有られたことでしょう。

 16歳という少年と大人との境目特有の刹那とも言うべき華やかなご様子です。


 流石は碧の貴公子の後継で有られる。

 オルデンブルク公爵の継子で有られるにも関わらず、現在は母上様のご実家を継承なさって、リント伯爵を名乗って居られます。


 「ローゼンブルク・リゾートへようこそ、そして、この度はご助力を賜りまして有難うございます」


 そこが以前はこの方のお祖父様の居城であった、ホテル・シュロス・ヴィントのガーデンテラスで有ると思えば、単なるリゾート施設では無くて、本物の王国に招かれて居るのだと思えるのです。

 ほぅ…っと、感嘆の溜め息を付いた私に、とてもホテルの職員では無かろうと思える方が、お茶をサーブして下さいます。


 「マダム・マリーエ。ご紹介致します。此方は、この度私の執事として仕えてくれる運びとなりました、レオノール・リュポン。ホテルのマネージメントも兼務させております。お見知りおき下さい」

 「リュポンと、および下さい」


 そう言って此方へ笑顔を向けたその方は、物腰の柔らかな、それでいて、スミレの瞳も美しい存在感の有る人でした。

 まぁ、本当に何処から見つけておいでなのでしょう?!

 どんな施設も、これ程、綺羅星のように美しい方々が揃っているところは他には無いでしょう。で有れば、コンセプトは「真実」と言うところでしょうか。


 「リュポン、此方は父の恩人のお一人で、マダム・マリーエ・ローランサン。幼い頃からだが、この方がスタイリストとして就いて下さって居なければ、どうなっていたか…」

 「どうなっていたかと、仰いますと?!」

 「うん。父上は装いというものに全く関心が無いのだ。お立場からも困った事態だったのだがな」

 「で、そのことに伯父上の婚儀の直前になるまでお気づきでなくて、困り果ててマダムにお願いしたんだそうだ。それ以来ずっと見て頂いている」

 「さようで」


 微笑みを浮かべて相づちを打たれるところを見ていると、以前の公をよくご存知の様です。

 本当にあの方の背景には、言い知れぬ物語が幾つも潜んでいそうです。

 

 予想以上に設備の建設は順調でした。

 三年前、映画のロケ地となった先代の公爵の終の棲家で有った館が、苔むした、うち捨てられた廃墟であったことすら想像も出来無くなっていました。

 車寄せに続く前庭は、通常のフォーマル・ガーデンに加えて、白薔薇のみを組み入れた独自のデザインが施されています。


 「素晴らしいわ!ローゼンブルクですもの、薔薇のお出迎えが無くては」

 「ショーはホテルの広間での舞踏会を経て、教会でのウエディングで締めようと準備を致しておりますの。で、で、ございますが、クリストファー様。ウエディングドレスを召して、花嫁をお勤め頂ける方がおいででしょうか?!」

 「え?!」

 「父上様よりお聞きでは無かったでしょうか?!」

 「リゾートの責任者であり、メインホストを務めることは承知しております。ですが…花嫁?!…と言うのは?!」

 

 まぁ、なんてこと。この方も、ご自分の価値に疎くていらっしゃるのだわ。


 「ショーのラストを飾るウエディングドレスをお召し頂く…適任者がおいでで無ければ、モデルに務めさせることも出来ますのよ?!」

 「ルーラ・シオン様では?!」

 「リュポン!」


 あらあら、執事とご当主で有られても、ケインさんとお父様とでは様子が違っていました。此方はまるで生徒と教師の様な…


 「映画に出演なさっておいでだった双子の姫君でしたわね?!確か2の姫」

 

 言うと何だか決まりの悪そうなお顔をなさって、視線を外してしまわれます。


 「はい。カーライツ伯爵の養女と成られることがお決まりで、リント伯爵には奥方候補の筆頭でいらっしゃいます」

 「公のお兄様のお嬢様ですものね。生き写しのようにお美しい…」


 姫君のお名を出された執事さんを、チラ…と睨むと、ふうっと溜め息を付かれました。お従妹の姫君は余りお好みでは無いのかしら?!それとも、何方か、他に決まった方がいらっしゃるのかしら?!


 「…判りました。シオンには私から話をします。父がこの後、王宮へお越し下さるようにと申しております。ではよしなに。私はこのまま内務省へと戻ります。リュポン!王宮へとお伴せよ」

 「畏まりまして」


 アウル様にお目に掛かれば謎が解けるでしょうか?!リュポンさんがクリストファー様を見送られて戻って見えました。


 「…おいでの少し前にトラブルがございまして、失礼を致しました。オルデンブルク公の元へとご案内致します」


 新しく着任なさったばかり…それだけの事情では無さそうです。

 其れにしても…このリュポンと言う方も、黒髪にスミレの瞳がとても美しい。このままスクリーンに登場しても不思議では無いほどでした。


 美しいものを眺めるのは何よりの癒やしですもの、やはり、正攻法で参りましょう。

 お読み頂き有難うございました!

 次代への引き継ぎが行われる話しなんですが、なんせ未だ若い2人なので遅々として進みません。

 今暫くお付き合い下さいませ!

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