目覚め!!【マナさん】って、初めて、声に出して、呼んでみたっ!!!
「シュンタロさん!!シュンタロさん!!」
遠くの方で、声が、聞こえる……。
マナさんっ!?
「良かったぁ……。目覚められたのですね……」
またもや、マナさんに、介抱されてしまった……。
真っ白い大理石のベッドに、寝かされ、先ほどまで、どうやら、マナさんが、祈りを、捧げてくれていたようだった……。
「ここは……?」
「私の、部屋……。『祈りの間』です………」
白くて、何も無い部屋…。
女の子の部屋…というより、神聖すぎて、何も、ない………。
心が、研ぎ澄まされて、深く落ち着いてゆく………。
大いなる何かと、対話しているような感覚……。
…………
「目が覚めて、良かったです。祈らせて、頂いてましたので、後は、シュンタロさんの意識が、回復するのを、ずっと、待っていました………」
「あ、ありがとう………」
なんだか…照れくさい……。
そういえば、ここに来るまで、怒濤の勢いで、ゆっくり、マナさんと、二人だけで、話す時間は、なかったな………。
神王デウスお父様も精霊王たちも、近くには、いない……。
「とりあえず、お父様と、精霊王たち………参加出来なかった者たちも、含めて、思念の伝達により、意識と情報を、共有し、あの場を、解散させました………」
「これを、シュンタロさんに、渡すよう、精霊王たちから……預かっています……」
それは、木の精霊王レグノスからは、木の実?種?のようなものを。
金の精霊王オーリオからは、金の指輪を。
無の精霊王アナスタシオンからは、漆黒のカード?固い板?のような名刺サイズのものを。
「それぞれに、とても強い加護の力を、感じます……。シュンタロさんと私の窮地を、救い、それぞれの力により、私たちは、導かれるでしょう……」
「それと………火の精霊王ファイガの火の剣神『フーコ』と、星の3大精霊王、風のヴェントラ、水のヴェネシス、土のテラからの贈り物、『星惑星』………これらに、更に、私の加護を、融合、組み合わせることで、ほぼ、この世界の全属性の加護を、受けることが、出来ます………」
火の剣神『フーコ』を、手に取ると……
「よ、よろし……く、で、すぅぅ……」
と、剣なのに、おずおずと、しゃべる……。
刀身、中央の、赤い大きな目玉を、ギョロギョロさせて、パチクリッ! と、不自然に、ウィンクする……。
憎めない……。
愛らしさすら、感じる………。
…………
「亡くなられては、困りますから……」
「シュンタロさんは、【全界の救世主】。この全界だけでなく、私にとっても、救世主なのですから………。全力で、守らせて頂きます……」
そ、そうなんですかっ!?
うおおおおっ!!
なんか、やる気が、満ちてきた!!
いえいえ!!マナさん!!僕が、必ず守ってみせますからっ!!
しかし、【全界の救世主】って?
マナさんは、ニコッと、笑い、言葉を、続けた………。
おっと……心の声、分かるんだっけか………。
「ふふっ………。【全界の救世主】とは、私の『力』を、増幅させる人物のことです。亡きお母様にとっては、お父様が、そうでした………」
「お互いの『魂』と、呼ばれるものを、共鳴させあい、高め合う……。ひいては、その『力』によって、この世界の全てが、救われるとされ、その名が、与えられました………」
心の声、だだ漏れの、僕に、丁寧に、答えてくれる、マナさん……。
「まだまだ、お話し出来ていない事が、多いのですが、今は、私の影…【ヴェガ】を、追うのが、先です……」
「シュンタロさんの夢に出て、生命エネルギーを、奪っていった者ですから………」
そうだったのかっ!!
あのとんでもなく、魅惑的な黒い悪魔のような女性……。
あれが、マナさんの影…。
なんて、こった!!
まさか、夢の内容、全部みられたの!?
あんなことや、こんなことも…………。
「それは、さておき、おそらく、私より、先に、シュンタロさんに、コンタクトを取り、生命エネルギー=(イコール)『力』を、奪うつもりだったのでしょう…………しかし………」
「『力』とは、『影』………。アナスタシオンの、言っていたシュンタロさんの『影』のことですが………」
「影とは、元来、本人のもの……。自分自身の影を見つけ、出会い、統合されることで、更なる成長を、遂げます…。それは、神であっても、人であっても、同じことです………」
「レグノスが、言っていたように、『トレンド』もしくは、『影刈り』などと、称し、他人の影を、吸収することも可能ですが、あまりに、リスクが、高く、逆に、影に、呑まれる可能性が、あります………。それは、自分自身の影であっても、同じことです……」
「そして、おそらく、【ヴェガ】は、シュンタロさんの生命エネルギーの一部=(イコール)『影』を、奪っていったものと、考えられます………」
僕は………。
「そう……なんだ…………」
と、だけ言って、下を、見て、つぶやいた………。
「あのさっ!何が、なんだか、分からないんだけどっ!!」
「今まで、ノリノリで、話あわしてたけど、これから、僕ぁ、どうなるの!?元の世界は!?オヤジや、オフクロも、死んで、僕一人だし、会社も、仕事も、どうでも、良いけど、これから、何が、始まるの!?でも、マナさんのことは、好きだよ!!大好きだよっ!!」
マナさんって、呼んでしまった………。
しかも、告白したみたいになって、しまった…………。
いや、したんだ………。
「ごめんなさい…………」
あああっっ!!!
うおおおっっっ!!!!
フラれた!!!フラれてしまった!!!人生において…何回目だっ!!!?
これだけは、慣れない………。
つらい………。
「いえ、そうではなくて、シュンタロさんを、巻き込んでしまったことです……」
そうか………。
そうだったのか………。
良かった………。
良かったよ………。
僕ぁ、胸を、なでおろす………。
「僕の方こそ、ごめんなさい………。取り乱しちゃって………。これからは、マナさんって、呼んで、良いですか?」
僕が、そう、聞くと………。
「良いですよ………。何回も、シュンタロさんの心の中で、シュンタロさんに、そう、呼ばれてましたから………。ありがとう………。異世界のシュンタロさんが、声に出して、言葉にすると、やはり、力が、宿りますね…………。この世界では、希薄になってしまった力…………。今や、誰もが、忘れ、失いし力………」
そう、言って、僕と、マナさんは、笑いあった…………。
マナさん、ありがとう………。
いつまでも、こんな、時間が、続けば、良いのに………。