それから。①
──再び、走り出しました。
完結を目指します!! m(_ _)m
断崖絶壁をくり抜いて造られた石造りの鬼族の住居群──。
──その中でも最上階に位置するこの場所は、もといた鬼族たちの礼拝堂にもなってたようで、その奥には台所やお風呂なんかもある。
洞窟のような岩壁に幻想的に灯されたランタン──その炎や『岩風呂』に流れるお湯は、羅那、ピオーネ、マナさんの魔力で生成されたものみたいだけど、どうやら魔力で自然の力を借りて、もといた僕の現実世界と近い暮らしが出来るようだ。
「へっくし!! うぃー、なのら……」
「どうしたの? フーコ? 風邪? 剣でも風邪ひくの?」
「うー。そうじゃないのら……。ファイガからの召喚の呼び出しが」
「行かなくて良いの?」
僕は、魔剣フーコにお風呂場の見張りをお願いして、ついさっきランタンの炎の灯された『岩風呂』から上がって来たばかりだ。
と言うのも、僕が着ていた服をこれまでの冒険で──、僕自身が恥ずかしい粗相をしてしまったせいで、とっても汚くしてしまったから、羅那、ピオーネ、マナさんには先にお風呂に入ってもらって、後から僕が入ることにしたんだ──。
──けどその前に、僕は現実世界でマナさんと出会い異世界に来てからというもの、不眠不休で色んな出来事に巻き込まれて、疲労が限界に達して気絶してたみたいで。
「ファイガは旧敵との見栄の張り合いで、私を呼んだだけなのら」
「ふーん。そうなんだ」
疲労で気絶してた僕を回復させようと、羅那、ピオーネ、マナさんが僕に魔力を分け与えてくれたのは良いんだけど──。
──魔力を分け与える行為は、自身の魔力の消耗と引き換えに、気持ちが高揚して高まるというか何と言うか、その……ピオーネから聞いたんだけど、とっても気持ちが良くなるらしい。
それで、感情の抑制が収まらなくなったピオーネが、僕と一緒にお風呂に入るとかなんとかで、最初に騒ぎだしのをキッカケに、力でピオーネを阻止しようとした羅那が暴れて、その二人の間にマナさんが仲介に入って。
なのに、騒ぎが収まったかと想ったら、三人とも僕と『混浴』する方向で、ランタンの灯るこの洞窟のような脱衣場の暗闇の中で、目を光らせたように合意してて。
「誰も来なかったよね、フーコ?」
「うむ。しかしながら、三人の邪気は幾度も感じられたのら。そのたび、私の剣気による無言の圧で追っ払ったのら!」
僕は、ツルツルと光る石の床に置かれた竹のような素材で編まれたカゴの中から、もとの世界でいうタオル地のような布を取り、岩肌に灯るランタンの炎を背に、身体を拭きながら魔剣フーコへと尋ねた。
タオル地の布の下には、マナさんが魔力で生成したとみられる僕の新しい服が、綺麗に折りたたまれて用意されてあった。
(ありがたいんだけどな──……。羅那やピオーネ、マナさんと混浴なんてしたら、鼻血噴いてまた気を失っちゃうよ……)
──そう、心の中で呟きながら僕が顔を上げると。
「あ!」
「にゃにゃ!?」
会話して油断してた僕と、一つ目玉のフーコの目に、羅那、ピオーネ、マナさん三人の片目が、ランタンの炎が灯る岩壁の隅で、暗闇から覗き込むようにして見ていた。
「ふにゃーっ!! しっし!! シュンタロはまだお着替え中なのら!!」
「ま、まあまあ、フーコ。だいたい着替え終わったから良いよ」
ドタバタ! ガシャン!──と、岩壁の暗闇の向こう側で、僕の視界からは見えない場所で、慌てて立ち去る羅那、ピオーネ、マナさんと思われる三人の足音と、何かがテーブルから落ちたような物音がした。
「見られたのにゃ」
「見られたよね……」




