『命』…っっ!!!!!
「シュンタロ様…。『最期』…に。わ…、私…の想い…。聴いて…くれます…か…?」
「な…っっっ!!!!?????」
な…、何を言うのか…。
口から…『血』を流し…。
『大地』に、横たわり…『満月』を仰ぎ見る…『蟲魔王』【スコルピオーネ】…。
目の前で…。
抱き締めた…。
僕の腕の中で…。
『蟲魔王』【スコルピオーネ】…が、『息』…を、引き取ろうとしている…。
「さ…、『最期』…に。わ…、私…のこと。【ピオーネ】…と、呼んで…くださいませんか…?」
ぴ…、【ピオーネ】…。ピオーネ…。ピオーネ…。
「ピオーネ…っっ!!!!!!ピオーネ…っっ!!!!!死んじゃダメだっっっ!!!!!!!ピオーネ…っっっっっ!!!!!!!」
どうすることも…出来ない。
無力な僕の…。
『最期』…の、『言葉』掛け…。
【ピオーネ】…は、羅那…の『核撃』のような『蹴り』を喰らって…死ぬ。
例え…生きても…。
『裏切り』で、『蟲魔神』【ベルゼバベル】…に、殺される。
もしも…。もしも、僕に…『力』…が、あったのなら…。
【ピオーネ】…を、助けて…ください…。
いや…。
助ける…っっ!!!!!! 助ける…っっっっ!!!!!!!
【ピオーネ】…を、『助ける』…っっっっ!!!!!!!!!!!
「しっかりして…っっっ!!!!!!!ピオーネ…っっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
【魔力集中】…。
もしも…。もしも…、『僕』…に、【魔力】…が、あったのなら…。
目の前の…。
【ピオーネ】…を、救うことが…、出来たなら…。
【魔力集中】…。
ピオーネ…は、もう…。
羅那を殺そうとした…【ピオーネ】…じゃない。
『僕』…を、連れ去ろうとした…【ピオーネ】…じゃない。
【ピオーネ】…は、…ピオーネ…は…。ピオーネ…は。
【ピオーネ】…は、『変わった』…んだ…。
【ピオーネ】…は、『生まれ変わった』…んだ…。
「ピオーネ…っっっっ!!!!!!ピオーネ…っっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!」
【魔力集中】…。
研ぎ澄ます…。
僕の『精神』の中に…。
【ピオーネ】…の『体内映像』…が、流れ込む…。
『破損箇所』…。『欠損箇所』…。
【ピオーネ】…の体内に流出した多量の『血液』…を、『僕』の『身体』から『生えた』…『管』のようなもので、『吸引』…。
直ちに、『植物繊維質』…で、『臓器』の『破損箇所』…を、『縫合』。
『欠損箇所』…の【ピオーネ】の『細胞』…を、僕の『樹液』…で、『再生化促進』…。
さらに…。
『植物繊維質』から、『代用』として作り出した『仮の臓器』を…【ピオーネ】…の体内に、『移植』…。『縫合』と『適合化』…を、僕の【魔力】…で、繰り返し補う…『手術』。
【ピオーネ】…の、『鼻』から『口』から…。
『僕』…の『身体』から『生えた』…『植物のような何か』…が、『無数』…に、入り込む…。
『不足』した『酸素』を【ピオーネ】…の『体内』…に、送り込み…。
【魔力電極】…にて、【ピオーネ】…の、『心臓』…へと、『電気ショック』…のような…『再生』の『負荷』…を、かける。
『僕』…の『脳内』…に、流れ込む…。『救急救命室』の『設備』…のような『画像』…。
『メス』…は、使わずとも…。
【ピオーネ】…の、『体内』の『細部』…に至るまで…。
僕の『細胞』…と…【ピオーネ】…の『細胞』…が、『連結』…してゆくのが、…分かる…。
「【ピオーネ】…っっ!!!!!ピオーネ…っっっっ!!!!!!」
なんとか…。
一命は、取り留めている…のか…。
【ピオーネ】…は、目を閉じて…静かに呼吸している…。
だけど、予断は許されない。
満月の夜空を仰ぎ見る。
その時…。
『一筋』の『流れ星』…。
「じゃない…っっっっ!!!!!!??????」
キュウゥゥゥゥゥゥ…。
ドゴゴオォォォォォォ…ン。
『火花』のような『星』の『エッジ』を『スノーボーダー』のように『月夜』に…瞬かせ…。
『シュプール』…を、描きながら…。
『夜空のゲレンデ』…に、『華麗』な『弧』…。
『夜のロアナールの大森林』…に…。
『煌めく』【魔剣フーコ】…に、乗った…【マナさん】…が…っっ!!!…っっっっ!!!!!!!!!
「シュタ…っっっっ!!!!!!」
『K点超え』の『スノージャンパー』のように…、両腕を広げて…。
マナさんが、『華麗』に『着地』…っっっっ!!!!!!
「ズゴオオオオォォォォォ…ん…。ぐへっっ…!!!!!!」
『華麗』に『魔剣フーコ』…から飛び降りた…『マナさん』に対し…。
深々…と、『地面』…に、突き刺さる…フーコ…。
「シュンタロさん…。このお方は…、『旅』のお方ですの…?」
え…?
い…、いや…。
マナさんなら、すべて知ってるかと、想ったんだけど…。
「ち、違うんだ…。こ、このヒト…は、ぴっ…、『ピオーネ』…って、言うんだ…。瀕死の状態…で、倒れてて…」
な…、なぜか、焦りながら…。
しなくても良い…言い訳を…。
やましいことが、あるわけじゃなし…。
い…いや、知られて困る…ことも。あ…、あったな…。
「…っ!? この者は…、『蟲魔王』【スコルピオーネ】…っ!!」
マナさんと…僕との間…に。
『不穏』…な『空気』…が、流れる…。
い…、いや…。
分かって…っ!!分かってよ…っっ!!!マナさん…っっ!!!!
すべて…察して…って、上手く…説明…出来ない…。
「ぐおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ…。んぴぃ~…♡」
羅那が、目覚めたら…。
さらに…。
さらに、さらに…。ややこしい…ことに。なるぅぅぅ…っっっ!!!!!!!!!!!!!!
た、助けてぇ…っっ!!!!!!
魔剣フーコ…さん…っっっっ!!!!!!!!!
「ぐへぇぇぇ~…。シュ…シュンタロぉ…のぉぉ~…。新しいぃ…恋人ぉぉぉ~…♡♪」
「え…?」
マナさんが、氷のような…真顔で、僕…に、振り向く。
い…いや…。
状況…っ!!状況…を、見てぇぇ…っっっっ!!!!!!!!!!
「シュンタロぉぉ~…。マナシスぅ…来たからぁ~…。もう~…安心ん~…♡」
あ…。あぁ…。
フーコ…さん…。
も…、もう…一個、前の台詞…で、言って欲しかった……。




