咆哮…
「で…、でんめぇぇぇ…。シュンタロがらぁぁ…っっ!!!!離れぇやがれぇぇぇ…っっっ!!!!!!!!!!」
『鬼神』羅那の足の爪先が、地面に触れた直後…。
爆音と土埃とともに…羅那が、消え去る。
「どぉぉぉぉぉぅ…らぁぁぁっっ!!!!!!どぉぅらどらどらどらどらどぅらぁぁぁぁぁぁぁぁ…っっっっっっっ!!!!!!!!!!!!!!」
『鬼神』羅那の咆哮と、繰り出す『剛拳』。
羅那の『スキル』【極金剛力】による『爆風』が、辺り一面の景色を夜の『空間』ごと吹き飛ばす…っっっっ!!!!!!!!
ドゴゴゴオオォォォォォォォォォーン…。
何枚もの強固な『岩壁』をブチ抜き…。
『蟲魔王』【スコルピオーネ】が、両腕を顔面に『クロス』させたまま…『十文字』に『岩壁』に、めり込む…っっっ!!!!!!
パラリ…。
『岩壁』から、割れた岩石の破片が、落ちるとともに…。
細身の『蟲魔王』【スコルピオーネ】…の、釣り合わない大きな『胸もと』…が、ハラリ…。揺れる…。
「フフ…。全ての打撃をかわしたというのに…。『風圧』だけで、この凄まじい『破壊力』。賞讃に値するわね…」
美しい『真紅』の『口唇』…。
月夜に艶やかに紅く輝く『光』に、一体…どれほどの『魂』が、犠牲になったんだろう…。
余裕の微笑みを口もとに浮かべ…そのまま満月に『キス』するように…僕へと視線を送る…『蟲魔王』【スコルピオーネ】…。
「ウフフ…。シュンタロ様…。この鬼娘より私…『蟲魔王』【スコルピオーネ】…の方が、『愛しがい』のあること…とくと、ご覧にいれましょう…」
またもや、『ミノムシさん状態』になって転がっている…。僕…シュンタロ…に…。
まるで、『天使』のように…その『息吹』を、僕に『投げキッス』する…『蟲魔王』【スコルピオーネ】…。
出したい時に出せない…。僕じゃなくて羅那を守ってほしい言うこと聴かない僕の何かの植物のような『ツル』に、雁字搦めにされ…自分で自分の身動きが、取れなくなった…僕…シュンタロ…。
(僕じゃない…っっ!!!!!!!守りたいのは、羅那なんだ…っっっ!!!!!!!!!)
まだ、『麻痺毒』で、上手く喋れない僕の心の中の声が、空しく響き渡る。
『ミノムシ』の中で…。
しかし…。
『蟲魔王』【スコルピオーネ】に受けた『経皮吸収性の麻痺毒』が、指先から僅かに痺れを無くし…弱まっているのが、分かる。
これは、【木の精霊王レグノス】から貰った【世界樹の実】を…僕が、飲み込んで得た…『新たな能力』…なんだろうか…。
「ふざけんじゃあぁぁ…ねえぇぇぇぇ…っっっっっ!!!!!!!」
けたたましく響き渡る…。
闇夜を引き裂く…月華の足もとで…。
羅那の声より速く…。
『岩壁』もろとも…『蟲魔王』【スコルピオーネ】…の艶やかな『肢体』に、突き刺さる…『脚』。
羅那の『音速』を超える『蹴り』が、『蟲魔王』【スコルピオーネ】の『ミゾオチ』に、『直撃』…っっっ!!!!!!!
貫いた…。
かのように、見えた…。
「フフ…。触れましたわね…」
口もとから、紅い血液が、…ツーッ…と、流れる氷のような微笑…。
その微笑みを崩すことなく、難なく羅那の美しい『肢体』を、その『美脚』ごと片手で掴み…地面に叩きつける…『蟲魔王』【スコルピオーネ】…。
「ぐぶぅぅ、がはっっ…!!!!」
地面に叩きつけられる際に、『受け身』を取ったであろう羅那の背中と胸が…揺れて…たまらず、嘔吐する…羅那。
「き…、気持ち悪ぃ…。吐き気が、する毒蠍野郎だ…。お前に、叩きつけられた『衝撃』じゃねぇ…。ぐっ…、ど…毒が、回…る…」
「あら…。さっそく、お気に召して頂けたようですわね…。私『特製』の『経皮吸収性麻痺毒』。『鬼娘』の貴女でも、解毒するには時間…かかるかしら?」
『致死毒』では無いものの…。
その場に倒れ込み…動けなくなる…羅那。
いや…。『麻痺毒』とは言え、『臓器』にまで及べば、充分…『死』に至る…。
『鬼』は、『毒耐性』が、『強い』ような…『蟲魔王』【スコルピオーネ】…の物言いだったけど…。
『蟲魔王』【スコルピオーネ】が、羅那を仕留めるには、充分すぎる状況と時間…。
加えて…マナさんも、魔剣フーコ…も、いない。
「ら…、羅那ぁぁぁ…っっっっ!!!!!!!!!!!」




