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女神マナさん!!ヘタレ勇者に恋オチしました☆彡  作者: すみ いちろ
第一章 ~飛び出せっっ!!!異世界(アースラッド)降臨編 ~
32/59

階段の先…。



 満月に照らされた…切り立つ断崖絶壁。


 暗い岩肌に沿うように掘り込まれた…果てしない階段。


 続く…その先。



 直下に広がる…夜のロアナールの大森林…を足もとに見下ろしながら…。


 

 魔剣フーコ…が、闇の中で赤く燃えている…。


 

 羅那ラナの身体が、フーコの炎…に照らされ、美しく揺れている…。



 羅那ラナの背中を見つめながら…僕の手に、いつの間にか…マナさんの手が、握られていた…。



 

 んん…っ!?マナさん…っっ!!!!???



 

 けれど…。


 マナさんは、静かに…前を歩く羅那ラナの背中を…見つめている…。


 

 

 一段一段…昇っては…。

 月光に揺れる…羅那ラナの背中…。




 魔剣フーコを、闇の片手に灯して…羅那ラナが、満月を見上げた…断崖絶壁の頂上…。



 その最上段へと続く…階段。


 最後の一段…を、登り切って…。

 静かに口を開いた…羅那ラナ




 「着いたぞ…」



 

 人が、通るには、あまりにも巨大な門。

 

 とてつもない重量感の見てとれる…その重々しくも禍禍しい分厚い黒い門…。



 

 その門…を、魔剣フーコを片手に…軽々と開ける…羅那ラナ



 

 ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…。


 ズゴオオオォォォォォン…。




 空間…。



 

 大聖堂を想わせる…天井世界…。


 

 惑星をかたどる…宇宙…の煌めき…。


 

 魔剣フーコの炎…が、漆黒の闇を…青い原初の炎の世界…に変えた。


 

 紺碧こんぺきに輝く…『ラピスラズリ』の宝石が、大聖堂に見てとれる…空間全体に隙間無く…散りばめられている…。


 

 宇宙を模した…壁画が、広がる小宇宙…。

 


 どこまでも…果てなく続く…本物の宇宙のように…。

 




 「さ…、適当に休んでくれ…」




 そう言って…。

 羅那ラナが、魔剣フーコの炎で『祭壇』に火を灯してゆく…。



 『天地創造』を想わせる…世界…が、暗闇の大聖堂の空間内部に浮かび上がる…。



 

 僕は…。


 そう言えば…と、想い出す。


 確か…15才のころ…。


 両親とともに見た…この場所…に、よく似た場所。


 偶然か…運命…か。

 今…、僕は…15才に戻ってる…。



 同じく…。

 隣に立つ…15才くらいの少女なのに大人びた身体つきの…マナさん。


 確か、【ヴェガ】も…そんな感じだった。

 少女なのに…大人。



 加えて…あの青年は、僕?

 

 …【ヴェガ】が、【刹那セツナ】とか言ってた…『影』のような『武人』…のような男…。





 『祭壇』に炎を灯す…揺れる羅那ラナの姿に見とれながら…。 炎の明かりに照らし出された…マナさんの姿を見る…。



 

 マナさんも…何か…想っているようだ…。


 

 

 

 「羅那ラナの一族は、【ヴェガ】に滅ぼされました…」




 !?




 そ…そうなんだ…。


 

 

 突然のマナさんの発言に…。


 心の中の声を言葉に出来ず…。

 そのまま…僕は、「ゴクリ…」と、息を飲み込む。



 

 羅那ラナの背中が、震えている…。




 「そうだ…」




 言葉少なく…。

 羅那ラナが、ここに来て初めて…僕とマナさんに…振り返る。




 ふと…。

 横を見る…。

 


 『祭壇』の炎に照らし出された…マナさんが、いる…。

 

 

 毅然きぜんとした表情のマナさんが…。

 …やさしく静かに…語り出した…。




 

 「遥か昔…。『闇』に覆われた【世界アースラッド】を、お母様…【女神】が、救いました…。その時、闇から『影』が、生まれ…。【『光』の本体】と【『影』の分体】が、遠く引き離されました…。そして…。【魔力質量】の重い『影』ほど、遠く…離れ…。果ては、【虚無世界ゲヘナ】の底無き場所へ…」




 

 と…。

 マナさんが、言いかけて…。

 羅那ラナが、閉ざしかけていた口を…開いた…。


 

 魔剣フーコの炎が、赤々…と…燃え、羅那ラナの美しい身体を照らしている…。




 

 「アタシが、誰だったのかは、知らない…。記憶が、無いんだ…。自分自身が、『人』だったのか…?『魔物』だったのか…?それさえ、分からない…。長い時間ときが、経ち…アタシたち『影』は…鬼族オーガに…なった」


 



 せきを切ったかのように…続けて語り出す…羅那ラナ

 

 頬に涙が、伝い落ちてゆく…。

 羅那ラナの怒りの表情が、…『祭壇』と魔剣フーコの『炎』…と、ともに燃えている…。





 「ある時…仲間内から狂い始める者が、出た…。『影』…魂の暴走…。おそらく、何処かにいる本体…『光』…もう一人の自分が、この【世界アースラッド】から消えたからだ…。原因は、分からない…。ただ、その混乱に乗じて【ヴェガ】が、現れた…。奴は、その左手で、全てを奪った…。幼い姿のアタシを残して…」





 祭壇を一心に見上げて…。

 …握っていた…僕の手を離し…スッ…と、目を閉じて祈る…マナさん。



 

 !?




 マナさんの胸もとが、青く光る…。


 と、同時に…。

 僕のポケットに入れた…【スター惑星ブループラネット】が…青く光っている…。



 

 沈黙の中に祈りを捧げていた…マナさんが、静かにささやく…。

 



 

 「【超巨神ギガント土人形ゴーレム】を操っていたのは、羅那ラナだったのね…」



 

 

 マナさんの言葉を聴いた…羅那ラナが、静かに…魔剣フーコ…を、降ろす…。




 「すまない…。【魔力まりょく】が、激しくり減り…アタシは、…幼女の姿になった…。【ヴェガ】と遭遇した時もそうだ…。仲間と【魔力】を奪われて…」

 



 

 羅那ラナの背中の後ろの『天地創造』を模した『祭壇』が、闇の中…『炎』…と、ともに揺れている…。





 「シュンタロさん…。決めました…。お母様が、残してくれた…マナシスの…【スター惑星ブループラネット】と…。【『風』のウィンドラ】【『水』のヴェネシス】【『土』のテラ】…3人の精霊王たちが、生み出した…シュンタロさんの…【スター惑星ブループラネット】…。2つを合わせて…新しい【世界アースラッド】を創ります…っっ!!!!!!」




 

 『光』と『影』が、再び…『調和』…されるように…と、まるで、願いを込めたかのように…。

 僕…マナさん…羅那ラナの3人が、歩み寄る…。




 「アハァ~ン…♡アタチぃ~もぉ~…いるのぉよぉ~…♡」




 顔を見合わせた…3人の真ん中で…。

 ピョンコピョンコ…魔剣フーコ…が、跳ねる。



 

 「お腹減ったぁ~…のぉ~…らっっ!!!!!」




 ふ…フーコ…!!!!???

 ご…ご飯…食べれるのぉ…っっっっ!!!!!!!!????




 「ぐうぅ~…」




 何処からともなく…3人の内の誰かのお腹から…。

 空腹音が、鳴り響く…。




 

 

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挿絵(By みてみん)
― 新着の感想 ―
[良い点] マナさんってお姿15歳くらいの少女なのですか!?(;゜∇゜) ムチムチお姉さまなイメ………うにゃ。 ラナの一族はヴェガに………そうだったのですねm(_ _)m うーん…シリアスなので…
2021/09/08 00:31 退会済み
管理
[良い点] うーん、説明の漢字が多いとこを読み飛ばしすぎたか…設定についていけない不覚ぅ_| ̄|○ フーコもお腹空くんやね!
2021/09/08 00:01 退会済み
管理
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