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女神マナさん!!ヘタレ勇者に恋オチしました☆彡  作者: すみ いちろ
序章 プロローグ1 ~始まりの【自分】~
3/59

異世界【アースラッド】

 「?………マナさん…?」

 

 

 ………



 マナさんの大きなエメラルドグリーンの瞳に、見つめられて、僕ぁ、不思議な気分になってゆく……。


 少し前まで抱いていた高揚した気分は、何処へやら………。深く……深く……落ち着いてゆく……のが、分かる………。僕の心が……、本当に……、静かに……なって……ゆく………。



 「シュンタロさん…良いですか……?今から……、シュンタロさんに……、私の……、生まれた世界きおくのことを……少しだけ…お見せ致しますね……。いきます……ね………」



 マナさんが、僕に、静かに、そう言うと………、僕の額が、マナさんの額に、そっ…と、合わせられた………。


 

 「……っ!?」



 「シュンタロさん……目を…閉じて下さい……。大丈夫ですよ………」


 

 マナさんが、そう言うと、一瞬、ドキッ……と、したけれど……。

 マナさんの、ひとこと一言に宿っている、『ぬくもり』が……、僕の心を……再び……穏やかに……静かに……静かに……それは……、深く……深く……マナさんの故郷へと……導かれて……ゆく………。



 そして……………



 ………………



 ………



 暗闇に落ちてゆく……。


 

 体感時間にして……数分間……ともいえない……数時間……。

 

 

 目を閉じているはずの、真っ暗闇の瞼の向こう側に、小さな光が、見える…………。

 

 

 小さな小さな……暗黒に浮かぶ……天体……数多ある中の……その……ひとつが……、ひときわ、大きな最後になるであろう光を、一瞬……放ち……今まさに……消え入ろうと……明滅を……繰り返し……弱々しく……その……命の最期を……迎えようとしていた………。



 数千年……



 それは、人類の命により、計測された時間……。

 

 

 その…暗黒に浮かぶ…天体………の最期の……刹那は……悠大にして悠久……永遠とも思える時間ときを……過ごしていた……人類にとっては…………。

 

 

 ラピス……と呼ばれる……深く深く碧い広大な海洋……に包まれ、幾つもの文明が…、生まれた大陸……が、浮かぶ………………。



 ……



 【アースラッド】

 

 

 ……



 いつからか……どこからか……その起源は……古く……太古より……そう呼ばれ……存在していた……。神々を生んだ世界……。



 

 遥か深い海洋ラピスに浮かぶ大陸がひとつ『ルーラシア(黄金大陸)』のとある小高い丘より遥か高く……広大なる雲海にそびえ立つ……空に浮かぶ大神殿ラーマ……その内部に設けられた……小さな白い部屋『祈りの間』にて、聖女が、祈りを、捧げている……。



 透き通る白い肌に金色の髪が、風に靡き、大きなエメラルドグリーンの瞳が、そらを見つめ、輝いている……。


 

 ………



 「マナ……さん?」



 僕ぁ、俯瞰して、浮いている……ようだった……。


 そう……。


 これは、マナさんが、見せてくれている、マナさんの、世界きおく……。


 

 「お父様……っ!!」


 

 「おぉ…マナシス…どうしたのだ……」



 ガッシリとした体つき。金色のモジャモジャの髪の毛の下は、色白だが、掘が深く、幾つもの皺が、刻まれていた…。

 壮年だが、威厳と優しさに満ちた人物……マナさんのお父様…。

 マナさんは、父親に抱きつき、泣いていた………。



 「お父様…もう…嫌です…。世界が、崩壊してゆく様を……感じるのは……悲鳴が……苦しみが……私の心と身体を貫くのです………。痛みを伴って………」


 

 マナさんは、涙を、いったん、グッと、こらえて、それから……もう一度……話を続けた………。

 マナさん………。


 

 「お母様より、受け継いだこの力だけでは……私だけでは……この世界の崩壊を、完全に止めることは、出来ません………。世界は、いずれ、滅びます……。もう……幾許の時の猶予も……無いでしょう………。」



 顔を上げて、父親の顔を見上げるマナさん………。

 とても、辛そうだ……。

 涙が、マナさんの頬を伝って落ちる……。

 悲しい………。



 マナさんのお父さんは、優しい眼差しで、マナさんを、見つめる……。

 どこか、寂しげで、悲しげだ………。



 「世界の崩壊が、始まって以来、数千年……。人界に生まれた者達にとっては、文明の歴史に同じ……。世界は、崩壊の始まりに、伴い、世界の元となる『ちから』を、各処に、放出し始めた……」 


 

 「それらを、ワシとマナシス…お前の母さんとの、3人で抑え、世界の治癒を試みておったが…………。母さんが、亡くなってからは、ワシの力も衰え、お前に、任せきりになった……」



 

 ……



 なんだか、深くて、重い話だ……。

 世界の崩壊に、治癒……。

 なんとか、元どおりにしようとしたんだな……。

 でも、マナさんのお母さんが、死んでしまったのか……。



 

 「母さんには、異世界へと通ずる『力』が、あり、マナシス…お前も、その『力』を、受け継ぎ、扱える年齢になった……。近頃、神殿内の泉の水面や鏡面に、手をかざして、言葉コトバを映しておったのは……知っておる………。」



 

 ……………っ!!??



 マナさん……。

 


 マナさん……この世界から、異世界である僕の世界へ、繋がろうとしてたのか……。

 

 ありがとう……。


 マナさん……。


 でも、なぜ……?



 「はい……。ご存知でしたか……。お母様が、『力』を使って、異世界へと渡り、異世界の神々の中から、お父様【神王デウス】と結ばれたように……………私も…………異世界へと渡ります…………」

 

 


 「そして………【全界の救世主】………を、この世界へ連れて参らねばなりません………。それが、この世界の崩壊を止め、生まれ変わらせる唯一の方法なのですから……………」



 

 その表情は、力強く、一切の迷いは、断ち切られていた……。

 さっきまで、あんなに悲しそうに辛そうに、泣いていたのに………。

 マナさん、強いっ!!



 そして、マナさんは、僕の方を、振り向いて、ニコッと、笑った……。


 まぶしすぎる、その笑顔で……。



 ……


 

 …………って!?


 

 えっっっ!!??



 見えてるのっ!?




 「シュンタロさん…。お願いします……!!」


 

 神殿の白い大理石の床から……黄金の光を、放ち、マナさんが、フワフワと……浮いている………。僕を、見つめながら………。



 相変わらずも、優しく、神々しい、その笑顔で………。


 

 ………



 いつの間にか、異世界【アースラッド】へ、連れて来られてしまったようだ……。

 

 

 マナさん……不安だよ………。

 抱きついても良いですか?

 


 っていうか、【全界の救世主】って………何?

 それって………。



 マナさんの後ろで、お父様…【神王デウス】…が、その巨軀に、腕組みをして、威圧する………。

 邪悪な笑みを、浮かべて………ニヤリと、笑った…。



 



 



 

 

 



 





 

 


 


 



 




 

 


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挿絵(By みてみん)
― 新着の感想 ―
[良い点] マナさんの記憶……すごく切ないです。゜(゜´ω`゜)゜。 お母様も亡くなってしまって……ただ一人で頑張っていて……守りたい、この笑顔っ!! そして……シュンタロさんが見えていたんですね? …
2022/02/11 13:28 退会済み
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