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女神マナさん!!ヘタレ勇者に恋オチしました☆彡  作者: すみ いちろ
第一章 ~飛び出せっっ!!!異世界(アースラッド)降臨編 ~
20/59

回想…【風魔刹那】…。

 


 「…情けない…男…だ…」



 【虚無世界ゲヘナ】に生息する【食魔植物ウツボカズラ】のツルで雁字搦がんじがらめにされ…身動きの取れない…目の前の男を見て、そう…思う。

 

 ここに来る前…。

 漆黒の部屋…。

 と…女…。

 

 【ヴェローナ=ガラテア】の【魔力解放】による【時空間魔法】…。【創造異空間ワスレラレタキオク】…。



 異空間…暗闇の記憶…漆黒の空間の中に浮かぶ幾つかの扉。

 【呪いの鍵】を【解錠アンロック】して開けられた…小部屋。



 暗黒が…、広がる小宇宙の中に置かれた…テーブル…椅子…ベッド。



 この世界アースラッドに生きる者たちの魂を結晶化して、女…ヴェローナ…が、創り出した…水晶のような球体…。



 その中…に、映る者たち…。

 したる興味は、無かった…。


 

 光と影…。存在を異にするもの…。その結びつきは…切り離すことが、出来ない…。

 例え離れても…この世界アースラッド彷徨さまよう…。



 本来…離れるはずのない…光と影…。

 この世界アースラッドでは…お互いが…お互い…を、探し…求め合う。

 

 仲間…というのなら…この女…ヴェローナ…も、そうかも知れない…。



 答え…というものが、水晶に映し出される…。



 「自分には、興味が…無いの…?」



 問いかける…ヴェローナ…の瞳の奥に映し出される…自身の姿…を、見つめる。

 

 妖艶とも見てとれるヴェローナの滑らかな流線形が、俺の口元へと滑り込む。



 自身の感情の起伏より、女…ヴェローナ…の身体の凹凸おうとつを感じる。



 何よりも…目の前の…熱い心音が…記憶よりも確かに…ヴェローナの感情の一部として伝わる。



 「さて…。刹那セツナ…。そろそろ…行きましょうか。捕らえていた鬼族オーガの子ども…『影』が…とっても役に立ったわ…。私から与えられた膨大な【魔力】を存分に解放して…ね…」



 女…ヴェローナ…の…『光』とも呼べる…『マナシス』…。


 無傷で抵抗レジストされることなく…自身の優位性を保ちながら…自我を、統合させる…。


 つまり、『光』である『マナシス』を、『影』である『ヴェローナ』が、乗っ取る。【融合魔法フュージョン】。



 『光』と『影』…。

 会えば分かるとされながらも、お互いを直視することは、目を背けたくなるほどに、決意と覚悟…それ以上に、勇気の要ることだと…聴く。

 なぜ…か…俺自身が、そう言っている…。

 自身に秘められ…隠された…『力』…が、より一層…水晶球に、映し出される…情けない男…を、目の前にして…静かに、叫ぶ。



 「会ってみたい…」



 オーガ一族を一瞬で、闇に葬り去った…ヴェローナ…。


 一族の集落に漂う『魂』と、その『影』の全てを吸収して…。


 幼い鬼子オーガを洗脳…【呪い】を施し…捨て駒の『影』として『マナシス』の『力』を削ぐために、放った…。

 『闇』と『土』の属性を持たせて…。



 


 今…。

 目の前の…情けない男…を見て思う…。



 「さて…。どうしたものか…」



 命は、取らない。

 

 なぜならば、『光』を失った『影』…つまり、俺自身が、魔物…あるいは、魔人と化して暴走するからだ…。

 この幼い鬼子オーガのように…。

 

 それ故に…あくまで、統合…融合させるのが、目的だ…。


 が、それ以上に、今は…この男…『シュンタロ』…を、見て…面白いと、感じている…。




 隣立つ…『影』…ヴェローナは…『光』の『マナシス』を見て、恍惚とした表情を闇に浮かび上がらせ…口唇くちびるを紅潮させている…。




 やはり…。

 この世界アースラッドには、興味が、無いが…。

 目の前にいる…このシュンタロ…には、興味が…ある。




 シュンタロの隣に、突き刺さる…魔剣が、炎を噴き上げる。 

 赤く照らし出された…目には見えない…俺自身の感情が、より一層…激しく燃え上がる…。



 








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挿絵(By みてみん)
― 新着の感想 ―
[良い点] 『光』と『影』……出会いし時。 ううむ、興味深いですな~m(_ _)m わくわく… 刹那とブェローナのふたりの雰囲気もよいですなぁ~…
2021/08/24 08:09 退会済み
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