森の出来事…。
マナシスは、シュンタロの心の声が、聴こえるのです。
その夜…。
静寂に包まれた、ロアナール地方の大森林。
到着後の…よもや…の事態。
僕の…おもらし…の発覚。
まさかの出来事に、僕と…マナさん…そして、魔剣フーコの空気が、凍りついていた。
どうやら…夜の寒帯地方の寒さのせいでは、ないらしい…。
「あ…あの…シュンタロさん…。私、向こう向いていますので、そちらに、お着替えください。あの…私…その…どなたかの生理現象を目にするのは…初めてでして…。あの…その…。よろしければ、お…お着替え…私が、お…お手伝い致しましょうか…」
ふおぉぉ…!!
何言ってるんだい…っっ!!
マナシスさん…っっ!!
は…恥ずかしすぎる…。う…嬉しすぎる…。あぁ…。
ひとしきり僕は、仮想宇宙空間を彷徨った後…ふと、我にかえり、今という現在の時間軸に再び帰還する…。
時間にして、コンマ数秒。僕は…もう…マナさんと手をつなぎ一緒に生活していた。
は…っっ!!
目の前で…マナさんが、恥ずかしそうに…もじもじ…している。
「いやいや…っっ!!ぼ…僕ひとりで、着替えれますから…っっ!!あ…ありがとうございます…っっ!!大丈夫です…っっ!!…って、服…っっ!!?」
気がつくと…。僕の目の前に綺麗に畳まれた服が、用意されている。
「うふふ。私が、作りましたの。シュンタロさん…気に入ってくださると嬉しいのですが…」
ふおぉぉ…っっ!!
着ます!!着ますとも…っっ!!着させて頂きますとも…っっ!!喜んで…っっ!!!
植物の素材から作り上げられた服。もといた世界の服に近い感じが、するんだけど…。雰囲気が、独特…。
「シュンタロさんが、もといた世界の服と…こちらの世界の人型の種族が身につけている服をアレンジ致しましたの。うふふ…」
こ…これは…っっ!!凄い服…なんだ。
いやしかし、人型の種族か。
やっぱり、この世界にもいるんだな…。
「はい。こちらの世界では、強大な魔力を持つ者が、います。私が、シュンタロさんと一緒にいる限り、私の加護で、シュンタロさんを、お守り致しますが、万が一…私と離れてしまった場合…私のシュンタロさんへの加護が、弱まります…」
…私のシュンタロさん… !!!!?
ふおぉぉ…っっ!!
あ…あたまが…まっしろ…に。
いやいや、待て。しっかりしろ。シュンタロ…。
「そういった時…。シュンタロさんの身につけている、今の装備品…精霊王たちの魔導具が、お守り致しますが…最後の砦として、このお洋服を着ていてください。私の想いが、シュンタロさんを守ります…」
!?
…ってことは…。最悪、僕が、丸裸で拉致られる可能性が、ある…ってことぉ…っっ!!?
うおおぉぉ…っっ!!!!!
嫌だ…っっ!!離れたくない…っっ!!!!
僕のマナシスさん…っっ!!!!!
僕へのマナシスさんと精霊王たちの加護が、弱まれば…後ろから…プスリ…なんて刺されることも…あるんだ。
お…お風呂に入れない…っっ!!!!!
だ…ダメだ…。何があろうと脱げない…っっ!!!!
いや…。それは、もといた世界でも同じ…か…。
「そうですね。それ故…やはり、シュンタロさん自身を鍛える必要があります。肉体が強化されれば、飛躍的に私どもの加護の力も高まります。精霊王たちの魔導具を自在に使いこなせる練度と、戦闘技能の向上、及び…シュンタロさん自身の魔力…すなわち、魔法を身につける必要性が、あります…」
ぐおおぉ…っっ!!
な…なんか…。大変なことになって来た…な…。
い…いや…。覚悟は、していたさ。
けれど…。大丈夫…だろうか…。
「そこで、私マナシスから、シュンタロさんへ提案が、あります!!【木の精霊王レグノス】から種を、もらいましたね?それは、【世界樹の種】です。この世界最大最強の樹木。例え、魔王…魔神であっても容易に破壊出来るものではありません。シュンタロさん…その種…飲んでください…!!」
ふへ…っっ!!?
…っていうか…やっぱり…いるんだ…。
強大な力を持つ者。魔王…魔神…。
ぐ…っっ!!
そ…そうだ。種…た…ね…と、あった…。
「ん…?なんか…この種。マナさん、僕のいた世界のクルミに似てるんだけど。大きすぎない…?」
僕が、不安げに、マナさんの顔を覗きこむと…。
マナさんが、にこやかに言う…。限りない笑顔で…。
「飲んでください…♡」




