到着!!
とてつもない衝撃だった…。
と、同時に僕は『死』の快楽で昇天しきってしまっていた…。
「大丈夫ですかっ!?シュンタロさん!!シュンタロさん!!」
未だ目が虚ろで、倒れこんだ僕に駆け寄ったマナさん。
パチパチと何度か頬をたたかれる…。
「…ッウ!!…だ、大丈夫で、すよぉ…。ッウ!…イテテッ!」
目を覚ますと心配そうに僕の顔をのぞきこむマナさん。
朧気ながらボンヤリとマナさんの顔がみえる…。
生きてもう一度マナさんのお顔を拝めるとは、なんと幸せなことだろう!!
濡れたズボンを気にする素振りもみせず、しっかりと両の足で立ってみせる…。
フルフルフル…。
ワナワナワナ…。
腰から下がガクガクしている…。
僕の心と身体を貫いた『死』の快楽がいまだ余韻をひいていて、足に力がうまく伝わらず立てない…。
しかし、死ななかった…。
「シュンタロさんが生きてて良かった。7大精霊たちと私の加護があるから、大丈夫だとは、思ったんだけど…」
いやいや、突然ですよ。
手を握ってくれたので嬉しくなった瞬間駆けだしてお空へダイブ!!ですからね……。
しかし、僕が『死』の恐怖を感じた刹那、身に付けた精霊王たちから貰った各種魔導具たちが一斉に『魔力』を全解放展開させ虹色のエネルギーを解き放ち、僕を包みこんだのは感じた……。
ただ、落下してゆく速度は、そのままだった……。
それが、この惨状。
森の奥深くなのに巨大なクレーターができてしまった。
「マナさんは、大丈夫?」
「ええ!大丈夫ですわよ!!」
元気いっぱいのマナさん。なんか、しゃべり方少し変わったような気が…。
「それにしてもマナさん。その…白いワンピース姿じゃ、森への探索とか、しづらいんじゃないんですか?僕のもそうですけど…」
「僕のも白くて薄い上下の布の服なんだけどさ…。あ……」
マナさんが一瞬僕の白いズボンのシミに目をやる…。
「フフッ…良いですよぉ。じゃあ、シュンタロさんに似合う服装と装備を今から召喚しますね…」
「どうやって?」
「お楽しみ!」
そういうと、マナさんは、嬉しそうに、僕の周囲を回りながら歌い出した…。
「幾万の森の精霊たちよ。この森で育まれし命たちよ。あたたかなる恩恵を裸の主にお与えください…。荒らされたこの地にかつて以上の豊穣と繁栄をもたらすことをお約束しますぅ…」
歌?っていうか祝詞に近い響きだな…。しかも、裸の主って…。
すると…。
ズズズズズ…。
ズオゴゴゴゴゴゴゴオォォォォォォ…。
たちまちクレーターが隆起し、大樹が一斉に覆い茂る…。
あっという間に、もと以上の大森林に成長した…。
「さ、行きますわよ!!」
また、マナさんは、僕の手を引いて歩きだした。
心なしか、浮いている…。
うっすらと、金色に光り輝いて…。
その光りは、そのまま僕の身体を覆って歩いているのにフワフワと前へと進むことが出来た…。
これも、マナさんの力か…。
ていうか、僕の服は?薄汚れた白の上下の布の服。
下に至っては尿で濡れたまま…。
ここはロアナールの大森林…。夜の寒帯地方で相当寒い…。
服は?ねえ、服は…? マナさんだって寒くないんだろうか…?
しゃべる炎の魔剣フーコを抱きしめ、燃えない程度に温度調整をしてもらいながら歩く…。
フーコ…ごめん…。
「そ、粗そうをし、したのは、だまっててあげますぅ~!!」
と、甲高い声で、ぎこちなくしゃべるフーコ…。大きな一つ目玉でウインクをパチクリッ!!
「え?」
と、振り返るマナさん…。
夜の大森林に、魔剣フーコとマナさんの声が、木霊する…。




