表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/64

渡邉家の宮川さん

 マンション暮らしだった宮川さんは、結婚して一軒家に住んでいるらしい。

 私はスマホの地図アプリを開き、ルートを確認していく。

 その隣で、興味津々にその様子を見ている葉月さん。

「それはどのような仕組みで動いているのですか? 」

 と、目をキラキラさせて尋ねられ、私はそっと目を逸らした。

 ──わからないです。


 恐らく、スマホを使用しているほとんどの人が、正確な答えなど出せないだろう。

 皆【そういうもの】として使っているのだから。

 私は正直に

「私も詳しくは分からないですけど、電気で動いていることだけは確かですね」

 と答えた。


 それから私達は駅へと向かった。

 教えられた場所は、私のアパートから電車で二駅の所にある。

(駅かぁ。うーん、お昼時は混むからなぁ。どうやって、敵から葉月さんを守ろうか)

 むむっと眉を寄せつつ、私は周囲を警戒する。

 既にすれ違った人達が、こちらを見てはこぞって顔を赤らめていた。

 しかも、男女問わず。

「結奈さん、結奈さん。そこら中で走っている、金属の箱は何ですか? もしかして、乗り物でしょうか」

 ──そして、そんな視線に気づかない葉月さん。


 私は番犬のように「グルルル」と威嚇しつつ、駅へ電車へと歩みを進める。

 この分では電車についても聞かれるかもしれない。

 そう思って、あらかじめスマホの検索画面を開いていた私だが、意外にも電車は簡単に受け入れたらしい。

 よく考えてみれば、黄泉にも汽車が存在していた。


(電車と汽車って、動くエネルギー源が違うだけで、形は割と似ているもんね)

 とはいえ、現世には常世に無いものが沢山ある。

 葉月さんは人の多さに驚き、電子掲示板に驚き、アナウンスに驚き。

 終始落ち着かなそうにしていた。


「葉月さん、大丈夫ですか? 」

 駅を降りて、長く息をついた葉月さんを見上げれば、困ったような笑みを返してくれた。

「現世は凄いですね。人の多さも、電子機器の多さも。いかに桃源郷が栄えていなかったのか、よくわかりました」

「まあ、たしかに桃源郷は原始的なところもありましたけど、別段に不自由は感じませんでしたよ? 」


 そうフォローしつつ、私は心で訴えた。

 これ以上、桃源郷は発展しないでくれと。

 あの素敵な世界に電車が通ってしまったら、間違いなく雰囲気が台無しになってしまう。

 時代背景を壊さないよう、私には阻止する義務があるのだ。


 駅から徒歩五分ほどで、私達は住宅街に着いた。

 お昼を過ぎて間もない頃なので、まだ辺りは美味しそうな匂いが立ち込めている。

「えぇっと……あ、ここですね! 」

 私は【渡邉】と書かれた表札に足を止めた。

 住所も確認し、インターホンを鳴らす。

 またも葉月さんが不思議そうな顔をしていた。

(あっちではノックするのが普通だったもんね)


「はいはーい! 」

 直ぐにドアは開けられ、変わらない笑顔で迎え入れられた。

「久しぶりね、結奈ちゃん! あらまあ、綺麗になっちゃって! それに隣の子、彼氏さん? イケメンねぇ」

「そんな、綺麗だなんて! 宮川さんこそ変わらずお綺麗ですよ! あと、彼はその……友達? です」

 キャッキャとはしゃぐ宮川さんに、私は慌てて首を振った。


 だが、友達はなんか違う。

 恋人など、最早もはや恐れ多い。

 そう。私の中で葉月さんは、尊敬する師匠であり、片想いの相手なのだ。

 そこでふと、私は思った。

 葉月さんの中で私とは、一体何なのだろう? と。

(やっぱり、ただの弟子? それとも……)


 ちらりと見上げれば、人当たりの良い笑みを浮かべる葉月さん。

 恐らく、【彼氏】という言葉を知らないのだろう。

 僅かに首を傾げている。


「2人ともお昼はもう食べた? 」

 ワタワタする私と頭にハテナを浮かべる葉月さんに、宮川さんが尋ねた。

「いえ、まだなんです。これからどこかで食べようかなって思っていて」

「そうなの? じゃあ、うちで食べていきなよ! 丁度私達もお昼なのよ。少し多めに作っちゃってね。ほら、余っても仕方ないでしょ? 」


 私は葉月さんを振り返った。

 せっかくのお誘いを断るのは悪いし、何より久しぶりの宮川さんの手料理だ。

 正直、とても食べたい。

 けれど、葉月さんはどうだろうか。

 見知らぬ人の家でご飯を食べるのは、もしかしたら負担になるかもしれない。


 とりあえず何か返事をしないと、と口を開いたとき。

「お母さん、この人たちだれー? 」

「母さん、おなか空いた! 」

 リビングのドアが開いて、二人の子供が顔を出した。

 4、5歳くらいだろうか。

 ふたつまげの女の子と、その子と同い年くらいの男の子。

 どこか宮川さんの面影がある。

 もしかして──


「もしかして、お子さんですか? 」

 呆気に取られる私の代わりに、葉月さんが聞いた。

「ええ。舞花まいか風舞ふうまっていうの。双子よ」

「双子……」

 ぼんやりと呟けば、宮川さんは愉快そうに笑った。

「そっか、結奈ちゃんに言っていなかったもんね。驚かせちゃったかな? 」

「あっ、いえ、少しビックリはしましたけど。可愛いですね、2人とも」


 そう微笑めば、舞花ちゃんと風舞くんがニコリと笑い返してくれた。

「お姉ちゃん達もたべようよ! お母さんのごはん、とても美味しいんだよ! 」

「はやくー! 」

 可愛らしい声で招待され、私達は一も二もなく頷いた。


まだまだ現代ファンタジーの要素が足りないので、早く物語が進むよう頑張ります!

そして早くファンタジーを書きたい( °´^` )

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ