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NO:1

『では、始めよう』


画面越しに伝わる緊張感。

俺は拳をギュッと握り締め、頬を伝う汗を感じていた。

この感じ……そう、俺は求めていたものはこれだ。


『さて。新入社員を紹介しよう。【NO8エイト】だ』


俺の事だ。

真ん中のでかい椅子に座っている―と言っても暗く、人影しか映らないが“社長”は俺の事を指差す。

一斉に周りが俺のほうへ視線を送る。その光景に一瞬、ドキッとしたが俺はニコリと微笑み自己紹介をする。


『初めまして。エイトです』


素早くキーボードで文字を打って送信。俺が打った文字が画面上に映し出される。

……それにしても打ちにくい。キーボードが打ちにくい。なんとかならいないものなのか、この機械は。

俺の手首に巻きついている、この機械は最近発表されたばかりの“感情・心・伝”約してKKTケーケーティー

なんでもテレビ、パソコンに繋げて会話をするとその人の感情が分かるらしい。だから笑ったりしても分かるってわけさ。

これを使って俺たちは会議をしているのだ。

なんとかならいものかと、KKTをいじっているとピンポンと音がして画面上に文字がでる。


『エイト君。一応、言っとくけどKKTをいじったりしたりしてると即、“怒られるよ”?』

『うん、そうだね。やめたほうがいい』

『どういう事ですか?』


社長ではない、誰かが俺に対してなにかを言ってくる。

すかさず俺は返信してなぜか聞く。

……だが俺が出した言葉で途切れた。周りの皆の雰囲気も何かが違う。

―なにがって?なにかさ。


『あ〜、えと。つまり、ね。適切に言うと“死ぬ”って事』


は!?

死ぬってどういうことだ?

驚きを隠せないまま、直に違うだれかが書く。


『違う言葉で言うと、“絶交”。あ、分からないか。つまり……』

『なにも断りなしに解いたら“殺す”て意味さ。分かる?』


殺す。

その単語に俺は背筋が凍るのを感じた。

な、なんだよ。ただKKTを外したぐらいで死―


『君の今の感情丸見え。殺すって事に怯えてる』


ッ―!

分かってしまっている。今の俺の気持ちがこいつら達にバレてる。

じゃあ、社長にも―


『まぁまぁ。暗い事は置いといて。私は【NO5ゴトー】だよ』

『そうだね、ゴトーの言うとおりだ』


ゴトー……の一言で空気が変わった……

なんでだ、なんでこんな奴がこんなところに居るんだ。


『所詮、表だけの付き合いだしね』


先程とは一変してゴトーが冷たく言い放つ。おそらく、俺の感情を読み取ったのだろう。

ああ、この機械がうざったい。これ程までに自分の感情が視えてしまうのだろうか。


『だから“無”が必要なんだよ』


無……。

俺はもしかして……もしかして……

この先をいおうとした時、誰かが引きとめた。


『おっと。この先は言わないほうがいい』


心がズキッと痛んだ。

痛い、痛い。何時いつぶり?こんなに痛むのは、何時まであっただろう。


『では、本題に入ろう』


社長がクルリと椅子を一回転させ、俺達に背をむけた。



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