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其の九

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翌日。



「…おはようございます」


「「「お、おはよ〜」」」


昨日の地縛霊の除霊の事で由貴と三人は、寝不足なのだが民宿の退室時間が迫っており、無理矢理にでも目を覚めさせる。

たどたどしい手つきで荷物をまとめ、料金を支払いに受付に向かう。


「おはようございます。昨日はよく眠れましたか?」


「ははは、まぁよく眠れましたよ」


「そうでしたか。ここの民宿は良く幽霊が出ると評判でねぇ。オカルト研究会の人達が喜んで来るんですけど、眠れたと言う事はお客様見れなかったのね」


運が悪かったわね。と女将さんは言うが、由貴は早く言えと心の中で言った。


「では料金はーーー」


「あー…後ろの三人の分も一緒でお願いします」


「え!?いやいや由貴ちゃん、そら悪いわ」


「せやで、ウチらはちゃんとお金用意して来てるし」


三人は仲良くなったとは言え昨日知り合いになった、しかも自分達より歳下の女の子に出してもらう何て悪いと思い、口々に遠慮の言葉を使う。

由貴は由貴で汚れた金なので、どうせなら昨日楽しませてもらった恩返しに使いたかったので目線で千都世に合図を送る。


『一度言い出したら聞かない頑固な部分があるから、遠慮せずに出してもらいなさい』


「「「ひゃあ!?」」」


突然背後から聞こえた声に三人揃って悲鳴をあげ、またもや揃って背後を振り向くも何も見えない。

しかしもし見えていたら自分達の目の前にいる千都世を見たら失神しているのかもしれなかった。


「毎度おおきに。またのお越しをお待ちしております」


「「「あっ」」」


三人が驚いている間に由貴は支払いを済ませ、店の外に出ていた。やられたと思いながらも先程の声の事もあるので由貴にお礼だけ言った。





「せや、由貴ちゃん。いつお爺ちゃんのトコに行くん?」


「…えっ?」


由貴はそう言えば昨日そんな事も言ったなと思い出し、どうするかと言い訳を考えていたが上から順に茜、奈美、沙織が畳み掛けてきた。


「いや、せやから、お爺ちゃんのトコ行くんやろ?ウチら見送りに行くで」


「せやな。幽霊を祓ってもらって上に旅館のお金まで出してもらいーの。それで、ほな、さいなら。とか薄情にも程があるわ」


「うんうん」


親切心から言ってくれてるので嘘をついてる自分の心が痛い。だからと言って親族皆殺しにして、今は家なき子です。とか言えら筈もなく、助けを求め、千都世を見る事にした。

千都世はしょうがないわね。という風な顔をして再び三人の背後から喋りかけた。


『少し、良いかしら?』


「「「…」」」


今は街中という事もあり、悲鳴をあげる事はなかったが口を一文字にして三人は固まっていた。


『昨日、由貴の力を貴女達も見たでしょ?由貴はその力を使って幽霊に困ってる人を助ける仕事をしているのよ』


「「…」」


「ゴーストバスターの属性まで追加された」


奈美はだけは若干まだ怖がりつつも軽口を返す程には慣れ始めていた。

茜と沙織は軽口を返した奈美を目を限界まで開いて見ていた。


『そういう訳だから由貴はまだこの街に居るわよ。他の仕事が残ってるから。言いたい事はそれだけよ』


千都世にそう言われ、声が聞こえなくなり、三人はホッと一息ついた。


「何か由貴ちゃんの守護霊に話しかけられるのが慣れてきた自分がおるわ」


「ウチもやわ」


「せやな」


「えっと、そういう訳でまだ祖父の家には行かないので」


「そっか、ほなまた遊べるな」


「それはええな!由貴ちゃん巫女服着てくれへん?」


「アホ言いな!由貴ちゃん困るわ!」


何時ものように奈美の事をツッコミ、黙らせる沙織。三人はそろそろ家に帰らなければならないので、由貴の電話番号を聞いたのだが、由貴はスマホを持っていなかった。

お約束のように、嘘!?から始まって、やっぱお嬢様や、とか言われた。

取り敢えずスマホは買うつもりだと言い、紙に書いた電話番号を貰い、三人とは別れた。


『初の友だちね』


「…うん」


千都世の問いに由貴は少し顔を赤らめて答えた。

それは嬉しい事なのだが、本格的にこれから先どうするかを考えなくてはいけない。

村を出る前に遅かれ早かれこうなる事は分かっていたので、ある程度のプランは出来ていた。

まぁそのプランも余り気乗りしないモノなのだが、今のままでは、家を借りる事も出来ないし、ケータイすら買えない。仕方なくプランを実行する事に決めた。


「じゃあ千都世、例のプランを実行しましょうか。貴女に頼りっぱなしなのは申し訳ないのだけれど」


『構わないわよ。それに、何だか正義の味方っぽくて良いじゃない』


「以外と俗世に染まってるわね」


そう言って、千都世を先頭に歩きながら人気の少ない路地裏などをグルグルと周り始めた。

千都世は時折止まって、目を閉じて意識を集中させて、また歩き出す。

すると暑い時期にも関わらず長袖でマスクと帽子を被った、如何にも怪しい男がいた。


「千都世、アレなの?」


『たぶん間違いないわよ』


千都世に確認を取ると、男がこちらに向かって歩いてきた。


「君、こんなとこで何してるの?」


人の良さそうな顔で男は由貴に話しかけてきた。

由貴は当初の予定通り、怪しまれないように演技を始めた。


「ここに来ると良い物が有ると聞いて来たんです」


「ふ〜ん。誰から聞いたの?」


男はしきりに辺りをキョロキョロと見回しながら聞いてきた。


「学校の友達から」


「成る程ね、まぁ初回だし最初は五千で良いよ」


「はい、五千円です」


「毎度」


由貴はお金を出すと透明なパッケージに入れられた白い粉末の粉を渡された。

そこで由貴は確信して、作戦を実行する。


「それでは次に他の売人の居場所を教えて下さい」


「…は?何言うてんねん糞ガキ。舐めた口きいとったら攫うぞ?あん?」


売人は、突然豹変した由貴に一瞬驚きはしたものの、所詮は高校ぐらいのガキが言う事と、瞬時に判断して、脅し文句を言った。大抵のガキは少し凄んでやればビビって黙り込むのだが、目の前にいるガキはビビるどころか笑っていた。

売人はその態度が気に入らないので悪党よろしく、暴力に出ら事にした。


「お前、俺が冗談で言うとお思とんかい。ほな一発痛い目に合わしたら」


売人は拳を握り、威圧感を出しながら歩いていると何かに足を掴まれ、前のめりに倒れた。

反射的に足元を見ると白い手が赤黒くなった地面から無数に生えていて、爪が食い込む程に売人の足を掴んでいた。


「ああああ!?」


叫ぶ売人に構う事なく、無数の手はどんどんと足を引き、売人の足は地面に沈むように引き摺り込まれていく。

売人は半狂乱になって暴れるがとうとう下半身までもが地面に沈んでしまった。

しかし何故かそこで手は沈めるのを辞め、売人は半泣きになりながらも状況を把握しようと必死だった。


「な、何やねんコレ」


「小さな地獄までの入り口みたいなものですよ。それより他の売人の居場所を吐く気になりましたか?」


「は、はあ!?そんなもん言える訳ないないやろ!早よ出せや!」


売人は自分の目の前にいる子供のせいだと思い、再度恫喝するも冷たく見下ろされ、千都世、と言うと手が動き出し、売人を引き摺り始めた。


「ま、待ってくれ!言う!言うから止めてくれ!」


売人がそう叫んだのは首から下が地面に飲み込まれてからだった。


「そうですか。何処です?」


「ハァ、ハァ。〇〇と〇〇に居るわ。俺が知っとんのわそれだけや!」


「ありがとうございます。最後に二つ質問があります。薬の元締めは何処ですか?」


「そ、それは…」


言い淀む売人に由貴は立ち上がり、ゆっくりと手を挙げる仕草をすると微動だにしなかった手が震えて動き出す。


「わ、分かった!言うから!〇〇組や!ホンマや!信じてくれ!」


「ありがとうございます。それでは最後の質問です。子供に今までどれくらい薬を売りましたか?」


「わ、分からん。ガキはアホやさかい、一度ハマったら金なんてナンボでも持ってきょる。せやから最初は安く売りつけて、友達を紹介したら安く売りつけて抜けれんようにしたから…たぶん10人以上やと思うわ。な?知っとる事は全部話したから助けてくれ」


由貴は売人の言葉を聞き、踵を返して通りに向かって歩き出した。

後ろで約束が違うだの言っているが、声が五月蝿いので手を挙げて静かにしてもらった。

人通りの少ない表通りに出ると千都世が地面からスッと出てきた。


「お疲れ様」


『大した事はしてないわよ。はいこれ』


千都世は売人が持っていた財布の中身の現金を由貴に渡した。中身を確認すると30万円近く入っており、それだけ薬を使用している人が多いのだなと思い顔を顰めた。


『あんまり思い詰めなくていいわよ。元はと言えば、してはいけない事に手を出す人間が悪いのだから』


千都世の言う通り、未成年がタバコを吸い、酒を飲む。

その次にシンナーを面白半分で試してエスカレートしていき最後には大麻や麻薬に手を出す。

過程はどうあれ自分の意思で選んだのだから哀れむ必要はないと千都世は言った。


「そう…ね。取り敢えずは売人が言ったトコは今日中に回れると思うから行きましょうか」


本当は、今日1日で終わる予定だったが、売人の言葉を思い出し、今日中に他の売人も片付けたいと思った。千都世の言う通り、確かに薬に手を出すのは自己責任だが、誰かが正してやれば道を踏み外した子も、元の道に戻れる筈だと。誰しもが悪に染まる訳では無いと由貴は信じている。


『…本当に甘くて優しい子ね』


由貴の心の内を読んだ千都世は浮遊しながらクスクスと笑い、内心を見抜かれたと感じた由貴は、千都世から顔を背けて残りの売人の居場所に足を進めた。


『あら?照れてるのかしら?』


「違うもん!もう千都世と喋ってあげないっ!」


『ふふふ』


その後は千都世が由貴の機嫌が直るまで宥めて続け、それが終わる頃にはこの街いた売人は一人残らず姿を消した。

元締めのヤクザは売人が売上金を持って逃げたと判断し、いない人間を探し始める事となった。


因みに、街では新たな噂が広まった。

人気の無い路地裏から男の断末魔が響き、その後にモデルと間違う程の美人が路地裏から出てくると言う。






守護霊「由貴たん。何があろうと守ったるで!たとえ風呂場、トイレの中、スカートの中!」


千都世「(̿▀̿̿Ĺ̯̿̿▀̿ ̿)̄…もうオメーの守護席ねぇから」


守護霊「アッハイ…」

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