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其の五

暇つぶしならぬ時間潰しのつもりで、少しでも読んで頂けたら嬉しいです。



勢いよく封印の札を剥がした。すると今までビクともしなかった重厚な扉が人1人通れるほどの隙間が開いた。


「今ならまだ間に合うかも知れないわよ」


そう言って由貴は扉の向こうに入って行った。

突然開いた扉に元クラスメイト達は驚いていた。祭りでは此処に悪霊を封じていてそれを鎮める為に何時も御子神が祝詞を唱えていたのは見ない知っていた。


「な、なぁコレってヤバくね?」


「はぁ何?ビビってんの?」


「イヤ、ビビってねえけど此処にはその、化物を封じてるって言うじゃん?」


「じゃあ何で御子神はあの中に入ったのよ?結局、悪霊だの化物だの居ないから入ったんでしょう?ほら行くよ!」


女生徒の勢いに負け、ゾロゾロと扉を潜って入って行った。薄暗いが外の松明のおかげで目が慣れるまで時間は掛かったがボンヤリと全体の輪郭が見えてきた。

扉の中は広さはテニスコートぐらい広さで中央の奥に由貴と知らない女が喋っていた。

横に居る女は誰かは知らないが由貴を見つけた女生徒は地面を踏み鳴らしながら近づいて行った。


「あれれ?御子神さんもう逃げないのかな〜?てか誰?その人」


「…もう一度だけ言うわ。もう帰りなさい。そうすれば死ななくて済むわ」


「…ブフッ。アハハハ!何そのセリフ!?やだ怖ーい」


女生徒が笑い出すと周りも釣られて笑い出した。


「考え直すつもりはないの?」


「ハ〜…たがらさぁー、いつまで上目線で語ってんだよ!」


女生徒は由貴に向かって手を伸ばした。しかし由貴に触れる前にその手は隣に座っていた女に止められた。

最初はイラつき、手を振り解こうと思ったのだが女の手が異常に冷たい事に気づく。

すると何かは分からないが全身に寒気が走った。

手を振りほどき、掴まれた手を摩る。


「アンタ…何なの?」


ガンッ!とさっきまで開いていた扉が閉まり、外から入り込む松明の火の光すら遮断され、何人かの女が悲鳴を上げた。

シンッと静まり返り、スマホのライトを付けて辺りを照らす。

閉まった扉に男が数人でこじ開けようとするがビクともしない。

すると急に叫び出す人が現れた。


「うああ!」


「何何何!?」


「誰今叫んだの!?」


「おい今はフザケンナよ!」


「ぎゃあああ!!」


「今度は誰だよ!」


いきなりの悲鳴に驚きパニックになっていた。

だが、彼らはまだ気づいていなかった。叫びと共に人が一人消えてる事に。

異様な雰囲気に卒業生達は生唾を飲みこみ、スマホのライトで辺りを照らす。

すると1人の視界に何かが横切った。


「な、何か居る!今いた!」


「何かって何だよ!」


「ああああ!!」


「ユウキ!?」


「何なんだよコレ!?」


さっきまで由貴を虐めていた連中は未知の恐怖に怯えていた。由貴の前に居る女生徒も異様な雰囲気を感じとり、原因は由貴あると理由も根拠も無かったが、確信していた。


「アンタ…何やったのよ!?」


視線をゆっくりと由貴に向けながら聞いた。由貴は座ったまま、見上げる様に女生徒とを見ながら答えた。


「私は何もしていないわ。地獄に入って来たのは貴方達の方よ」


「じ、地獄って!意味わかんない!兎に角、辞めさせなさいよ!」


「何故?」


「な、何故って、皆んな怖がってんじゃん!」


「私も貴方達にされた事は凄く怖かったわ」


「アレは…単なる冗談じゃない!本気な訳無いじゃん!」


女生徒は息を荒げながら叫んだ。確かに最初は強引に事を進めようとしたがノリが悪い御子神の責任も有ると本気で思っていた。

すると、いつのまにか、叫び回っていた卒業生の声が聞こえなくなっていた。

由貴が止めてくれた。そう思ってスマホのライトで辺りを照らした。しかしライトが照らしたのは洞窟内の剥き出しの岩肌だけだった。

卒業生の姿は何処にもなく、薄暗い洞窟の中で自分の息遣いだけが良く聞こえていた。


「そう、冗談だったの。なら私は許すわ」


「ほ、本当!?」


「ええ。私は嘘をつかないわ」


女生徒はホッとしたのか腰が抜け、地面に座り込んだ。良かった。コレで家に帰れると安心した。

引きずるよな音を立てて、閉まっていた扉が開き、外から松明の火が洞窟内に射し込む。

立ち上がって扉に向かって歩き出す。扉に手を出して、出ようとするが、身体が前に行かない。ふと肩に違和感を感じてゆっくりと肩に視線をやると綺麗な手が肩を掴んでいた。

肩から伝わるのはあの女の冷たい手だった。


「な、何で?」


『私…笑えない冗談は嫌いよ』


「ギャア!」


女生徒は髪を掴まれ、引き倒され、ズルズルと奥へ引きずられていく。

抵抗はしたが、とでも少女が出せるとは思えない凄まじい力で、時折、頭からブチブチと髪が引き千切れる音が聞こえる。

由貴は引きずられていく女生徒の横を通り過ぎ扉へと歩いて行った。


「助けて、御子神さん!御子神さん許してくれるって言ったじゃん!お願い助けて!」


由貴は扉から出て、惚れ惚れするよな笑顔で答えた。


「大丈夫ですよ。彼女は話せば分かってくれます。だからーーちゃんとあの世で冗談でした、と言うんですよ」


その言葉が最後に誰も触れていない筈の扉が1人でに閉まっていく。


「え?え?ヤダヤダヤダ!お願い助けて!ごめなさい!イヤ!閉めないで助けてお願い!」


大きな音を立てて扉は閉まり、引き裂かれるよな叫び声が聞こえたが直ぐに静かになった。


一瞬の静寂の後、閉まっていた扉が開き、霧の様な白い靄が扉から漏れ出す。

由貴は壁に掛けてある松明を持ち、ジッと待っていた。

するとゆっくりと中から色白の美しい少女が歩いて出てきた。

歳の頃は18歳ぐらい。ほんの少し赤みがかかった髪と、燃える様な真紅の目。

黒い着物に、格式高い草履には鼻緒部分に目を惹く模様が刺繍されていた。


「どうかしら?久しぶりの外は?」


『そうね…出ても未だに洞窟だから余り実感は無いわ』


千都世の表情は変わらなく、辺りを一瞥してから由貴に視線を戻す。


「それで、この後どうするの?もう貴女は自由だし、私を殺した後は世界中の人間でも殺すの?」


かつて、京にて安倍晴明と戦い、退治するのは無理と判断され、その恐ろしい力を後の世に放たれない様に政府と繋がり、千年も封じられてきた悪霊。

由貴とは扉越しではあるが仲良くしてきたつもりだが、人を呪い殺す為に産み出された悪霊だ。

封印を解いた時から由貴は殺される覚悟を決めていた。


『そうね…』


千都世は一言呟くと由貴に近づく。そしてスッと右手を挙げて由貴のおデコにデコピンをした。


「いったーい!」


痛そうな大きな音が鳴り響き、由貴はおデコを抑えて涙目になりながら叫んだ。


「何するのっ!痛いじゃない!…もしかしてコレが平安時代に行った祟り?」


『貴女、もっと賢いと思ってたけど…私の勘違いかしら』


由貴は涙目で犬が唸る様な声で千都世を上目使いで睨んでいた。

千都世は溜息を吐いて由貴を抱きしめた。

突然の事に由貴の頭は?で埋め尽くされていた。


『ようやく会えたわね』


「…うん。ねぇ、私の事、殺さないの?」


『殺さないわよ。由貴が聞いていた伝承は殆ど間違っていないわ。でもね、蘆屋道満を殺してから千年も経てば、恨みなんて…ほんの少し、私のナカの人達が五月蝿いだけで、私の恨みは殆ど消えてるわよ』


「そうなんだ。じゃあこれからどうするの?」


『そうね〜。ねえ由貴、貴女やりたい事は無いの?無ければそれを探す旅をしましょうか?』


突然の申し出で由貴は呆然とした。ついさっきまで死ぬ覚悟を決めていたのに、と。

しかし、千都世の封印を解いた時からもはや代々受け継いできた役目も無く、自分の居場所も此処には無い。

だからこそ、徐々に頭の整理がつきはじめた頃には、千都世の提案は由貴にとって凄く魅力的にみえた。


「良いね。どうせもう此処には居られないし。私、してみたい事、いっぱい有るの!」


『なら、付き合ってあげるわ。それと安心しなさい。旅の途中は、此処から出してくれた礼に私が由貴を守ってあげるわ』


「それは心強いね。それじゃあ善は急げって事で私の家に…元、私の家に行って荷物の準備をしに行こうか」


『分かった。それじゃあ行きましょうか』


こうして、御子神家始まって以来の最強霊能者、由貴と。

本来なら日本三大怨霊に入ってもおかしくない程の力を持つ悪霊、千都世の奇妙な波乱万丈の旅が始まった。





一方その頃。由貴が千都世の封印を解いたと同時に、御子神家の屋敷では仏間の仏や霊牌が全て震えだし、粉々に砕け散った。

そして山から溢れ出る邪悪な妖気を感じ取った者は、怯えだし、屋敷内は蜂の巣をつついたようにパニックになっていた。

暫くして松に召集をかけられ、何時もの人物達が勢揃いして話し合いをしていた。


「な、何じゃこの邪悪な気は!?」


「や、山から溢れ出とるぞ!も、もしかして」


老人達は元は松の付人。多少の霊感が備わっている為、事の重大さに狼狽えていた。


「静まれい!」


上座に座る松の声に騒いでいた者が皆黙り、松に視線を戻す。


「どうゆう事かは知らぬが、封印が破れたのかもしれぬ。だが封印されてから千年も時が経っておる。いくら悪霊と言えども我が御子神と由貴の力を合わせれば儂らに敵うまい」


「おお!そうじゃ!御子神家始まって以来の神童と言われた由貴がおる」


「そうじゃあ!それに若い者も御子神家には劣るが力ある者が多く居るわい」


「よし!ならば直ぐにでも人手を集めるのじゃ!」


松が膝を叩き、再度注目を集めて撃退の準備を整える様指示を出すと直ぐさまに散り、各々の傘下の霊能者を呼びに走り出した。


そこからの行動は早く、洞窟に続く階段辺りに結界を貼り、松を筆頭に烏帽子を被った正装の男達と巫女服の若い女から老人までもが経を唱え、どんどん近づく妖気に緊張を高め、階段の先を睨む様に見ていた。


「き、来よった!」


山から降りて来るのは由貴と、もう1人、力の弱い者が観るとただの黒い靄にしか観えなかったが松だけはハッキリと観えた。


「あ、あれはどういう事じゃ!?」


松の目には由貴と悍ましい程の邪悪な妖気を放つ悪霊と仲睦まじく話しながら降りてくる由貴の姿だった。







面白い、続きが気になる。という方は良ければ評価お願いしますm(__)m


拙い文章なので良ければ「こうしたら面白い」「こうしたらもっと良い」というアドバイスもお待ちしてますm(_ _)m


返信等は遅れる事がありますのでご了承ください。

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