其の二
ここから現代パートです。
楽しんでいって下さいm(_ _)m
20××年、日本某所。夏。
日本でも有数な山間にある田舎村。年々年寄りが増え、辺りにろくなスーパー等の店も無く、村に来る人も少なくなり、所謂限界集落と言われる程の小さな村だった。
今では小学校は中学生と共同で使われ、生徒数も合わせて数百人しか居ない。
しかし不思議とこの村はいつまでたっても人が居なくならないと市は首を曲げていた。
しかし田舎村ではあるが知る人ぞ知る祭りがあった。
此処には年に一度変わった【破魔祭り】が開催される。
内容としては夜店が開かれる普通の祭りと何ら変わりは無いのだが、変わったいるのは祭りの締めだ。
村で代々役目を受け継がれている【御子神家】の神主、または巫女が数十人のお供に付け、山にある洞窟の奥に祝詞を唱えてながら一人で入って行き、約一時間程、中で祓いの祝詞を唱えるそうだ。
因みに山には【御子神家】以外の立ち入りは厳しく禁じられており、山の周りには何時も村の年寄りが巡回する程の厳重さだ。
「由貴。中の様子はどうだった?」
「問題有りません。お婆様」
祭りの終わり、広い部屋に大勢の人が座り上座に座った厳格な雰囲気を持った老婆【御子神 松】が、今年も巫女を務めた【御子神 由貴】に聞いた。
由貴は正座したまま一言喋るとそれ以上は喋る事なく黙っていた。
「そうか、まぁあの化物が早々に消えるとは思えんがな」
「そうですな。ですが化物でも消えれば儂らに入る金が無くなるでの。化物様々じゃわい」
上座に座る松に喋りかける老人達。
この村は極秘で国から多額の援助を受けている。その金の殆どは下卑た笑いをしている老人達に入る事になっている。
「そうだな。皆今日も一日御苦労だった。ささやかだが飯と酒を用意した。堪能していってくれ」
松がそう言って手を叩くと襖が開き、中居が盤に様々な料理を乗せ運び、老人達に酌をしてもてなした。
「ん?由貴、まだ居たのか?話は終わりださっさと行ね」
由貴は頭を下げて部屋から出て行った。
その後、六畳人前の部屋に戻ると布団とタンス、小さな机に制服。
部屋にあるのはコレだけだが、中学三年生にしては余りにも殺風景だと言えるだろう。
巫女の服を脱いで白絹の寝間着に着替え終わると襖の外から声が掛かる。
「由貴様、御食事をお持ちしました」
スーッと襖が開くと小さな机に料理が置かれた。
老人達が食べていた豪勢な食事とは打って変わり、由貴のは所謂、精進料理と言われる質素なものだった。
「食べ終わりましたら何時もの様に外にお出し下さい。それでは」
食事を運んでくれた中居は由貴に一度も目を合わせず部屋を出て行った。
「頂きます」
正座をして手を合わせて食事をする。
由貴は代々続く御子神家の中でも初代御子神を超える程の霊力を持って産まれた。
悪霊などに苦しめられ、その力を頼って来る人達に松を筆頭に老人達は多額の金を要求し、祓いは由貴に任せていた。
一度味を占めた老人達は由貴の霊力を下げない様に殺生をしたモノを食べさせず、物心つく頃には精進料理をずっと食べていた。
「ご馳走様」
手を合わせて廊下に食べ終えた食器を出し、風呂に入った後は歯を磨き、体を清めてから仏間に座ってお経を唱えて布団に入った。
♢
翌朝。酒を呑んで床に転がる老人を見て、何故こんな者達に尽くしてるのか何時も頭に過るが、それを頭の奥に押し込み、家を出て学校に向かった。
朝、子供達は元気に友達と話しながら通学していた。
すると1人の男の子が曲がり角から飛び出し、由貴とぶつかった。
「いてっ!」
「大丈夫?」
転んだ男の子に由貴は手を伸ばし立たせようとした。
男の子は由貴の顔を見てこう言った。
「うげ!呪い女だ!」
「うわーたっちゃん呪いが移るよ!」
「俺、バリヤー!」
男の子達は由貴に謝らずに走って行ってしまった。
由貴にとっては何時もの事なので何も言わず学校に向かって歩き始めた。
教室のドアを開けると喋っていた生徒が静かになりヒソヒソと由貴目を向けながら喋り出した。
「………」
机を見ると何時もの様に悪意のこもった落書きがされていた『インチキ宗教』『キモい』『死ね』等よくも飽きず毎日書くものだと少し感心して消しゴムで消せるだけ消し始めた。
「あれれ?御子神さんいつ来てたの?存在感薄過ぎて気付かなかったよ」
1人の女生徒が取巻きを連れて由貴の前に歩いて来た。女生徒が言った面白くもない洒落に周りはウケると笑っていた。
「はい、今さっき教室に入ってきました」
「ふ〜ん。そう。てかどうしたの?その机」
「コレは…誰かに落書きされたと思います」
「え〜!?そんな酷い奴居るんだ!誰〜こんな酷い事する人〜」
女生徒は態とらしい演技の入った同情を由貴に向け、周りを見渡す。無論、自分が落書きしましたと言い出す人は誰もおらず。
「御子神さん、良かったね!このクラスには犯人居ないみたいだよ〜」
「…そうですね」
こんな茶番、一回や二回ではない。反抗したら、反論すれば余計に付け上がるだけと分かっているので由貴の返事は淡白なモノだった。
そんな由貴の態度が面白くなかったのか、少しでもと嫌がらせに由貴の机にゴミを置いた。
「御子神さん、悪いけどこのゴミ捨ててくれる〜それじゃあね」
「あ、私も」
「俺も」
皆んな由貴に向かって丸めた紙や消しゴムの消しカスを投げ始めた。
だが担任が来ると一斉に投げるのをやめて椅子に座った。
担任は由貴の机を見るとゴミが散乱していて由貴に聞こうと口を開いた。
「御子神さん。そのゴミはどうしたんだ?」
「あ〜先生〜。御子神が朝から何か散らかしてました〜。ね〜皆んな」
「私も見ました〜」
「俺も〜」
「…御子神さん。後で片付ける様に」
「…はい」
コレも何時も事。ロッカーからホウキを取り出し掃除を始めた。生徒はクスクスと声を殺して笑い、担任は淡々と朝の出席を取り出した。
♢
授業が終わり、学校から家に帰ると宿題を済ませ、水風呂に入り身を清めた後に巫女服に着替え、薄暗くなった山に1人向かった。
洞窟に続く長い階段を上り終えると松明に火を付け、洞窟に入っていく。
暫く歩くと重厚な扉の前に1畳ほどの大きさの台座に座り祝詞を唱え始める。
『…ブツ…ブツ…』
祝詞を唱え始めると扉の向こうで何かが独り言を言っている。コレも聴き慣れたものだ。
祝詞を唱え終わり、何時もの様に山を降りようとした。しかし何を思ったのか由貴は台座に座ったまま扉を見ていた。
『ブツ…ブツ…』
聞こえるのは何を言っているのか分からない程小さな声で呟いている何かだった。
由貴はほんの少しの好奇心で扉に向かって喋りかけた。
「ねぇ、あなた。何時も何を呟いているの?」
『ブツ…ブツ…』
喋りかけても中に居る何かは言葉を返してくれなかった。しかし由貴はそのまま喋り続けた。
「私ね学校…あなたに分かりやすく言えば寺子屋って言うのかしら?そこでは何時も私に嫌がらせをしてくる人達がいっぱい居るの。子供達にも私は呪い女と呼ばれていてね、家ではお婆様を含め、両親でさえ私の事を道具としてしか見てないわ。ねぇ酷いと思わない?」
普段から腹に溜まっていた愚痴を一気に封印されていた悪霊に言った。その事に由貴は普段笑わないのだが、何だか面白くなり小さく笑ってしまった。
勿論、悪霊からの返事は無く台座から立ち上がり去ろうとした時の事だった。
『…下らない』
「!?」
確かに聞こえた。透き通る様な綺麗な声が。
此処には一族の決められた者しか入れない。そして今此処に居るのは由貴と悪霊だけだった。
「…もしかして返事してくれたのかしら?」
『…』
由貴は台座から降りて扉に向かって言った。
「気まぐれでも返事してくれて、ありがとう。明日もまた話すから…良かったら返事してちょうだい。それじゃあ、おやすみなさい」
扉に向かって頭を下げて由貴は山降りて行った。
洞窟の中にある重厚な扉から今は何も聞こえなかった。怨嗟の声すら。
『……』
♢
家に戻ると何時も様に報告が終わると味気ない精進料理。その後は身体清めて仏間に座ってお経。
その後は眠るだけだったのだが、今日は何故か眠れなかった。今日の封印されている悪霊のせいだ。
(そう言えば私、悪霊の事は殆ど知らないのよね)
物心つく前からあの場所に封印されている者を管理し、守る事が御子神家代々に続く使命だと教えられ育ってきた。
だが封印されている者が何者で、何をして封印されたのかすら知らない。
ずっと今の今まで言われた通りにお婆様やお母様達に従って生き、扉の前で祝詞を唱えているだけだった。
(今度聞いてみようかしら。お婆様に聞くと面倒そうだし…やっぱり本人に聞くのが一番よね)
そうと決まれば明日は早く向かおうと決めると、嘘の様に直ぐに眠り、何時もの様に学校に向かうのだった。
学校に着くと何時もの恒例行事が終わり、家に帰って直ぐに山に向かった。
何時も通り祝詞を唱えるが、今日は扉から何時もの呟きが聞こえない。
おかしいなと思いつつも、それでも昨日の様にまた扉向かって喋りかけた。
「こんばんは」
『…』
「昨日の話した者よ。今日はね、貴女に聞きたい事があってね、少し楽しみして今日は来たのよ」
『…』
扉に向かって今日学校であったこと、家であったことを最初に話した。
やはり普段からストレスが溜まっているのか、スラスラと愚痴が次から次へと止まらずに出てくる。
次に悪霊について聞くが、どれだけ喋りかけても悪霊からは返事がなかった。
由貴の方も喋る事が無くなり何時の間にか結構な時間が過ぎており帰る支度を始めた。
「あら?もうこんな時間ね。あまり遅くなるとお婆様から余計な叱責を受けるかも。それじゃあ帰るわね。また明日」
台座を降りて出口に向かって歩き出すと
『…次はもっとマシな話をしなさい』
「!?。え、ええそうね。…また明日」
後ろ振り返るとやはりこの洞窟には自分と悪霊しか居ない。また悪霊が返事を返してくれたのを嬉しく思いながら別れの挨拶をして山を降りていった。
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拙い文章なので良ければ「こうしたら面白い」「こうしたらもっと良い」というアドバイスもお待ちしてますm(_ _)m
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