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其の十二

ブックマークがまた一つ増えました!

こういうのって嬉しく感じますね^_^



一つの組を潰してから数ヶ月。由貴と千都世は義彦達を狙っていたヤクザを片っ端から退けたりと忙しい毎日を送っていた。そして漸く不自然に起こる事故に怯えたのか、ヤクザ達は本家にバレないように、形だけ義彦を探すフリだけをするようになり、由貴と千都世は監視の任務から解放されて、ホテルのベッドに寝転んでいた。


「怒涛の数ヶ月でしたね」


『流石の私も疲れたわ』


暫くベットの上でジッとしていたが首を動かして机に置かれたアタッシュケースに見る。

義彦から送られてきた物で中身にはケース一杯の札束だった。義彦の弁護士事務所が僅か数ヶ月で大成功してからは、(+他にも組に納める筈の上納金)こうやって上納金だと送られてきたのだが、別にヤクザでもないし、金を稼ぐ為に義彦達を雇った訳ではないので必要ないと言ってのたが。


「守ってもらった上に真っ当な仕事に就けたのはお嬢のおかげです」


と言って聞かず結局お金は置いていかれた。

由貴としてはスマホを契約してもらっただけでも十分だったのだがと呟く。

取り敢えず、貰ったからには使うか、とアタッシュケースから200万程取り出し、部屋で待機しているメイドを呼び寄せると無造作に渡した。


「はい」


「ファ!?」


「貴方達にはいつもお世話になっているし、少ないと思うけど皆んなで何か美味しいモノでも食べて」


メイドは最初は断っていたけど、最近になってメイドの扱いが慣れてきたのか、由貴が上目遣いで頼むとメイドが折れて支配人に持っていき事の報告をすると、今度は支配人と副支配人が部屋にやってきた。

最初はメイド同様に返そうとしていたが、最終的に此処を出て次の場所に行かなければならないのと、今までの感謝を込めたチップだと言い、支配人達は深く頭を下げて受け取ってくれた。


この事でスタッフの間では由貴を崇める謎の信仰宗教が作られ、由貴様からの我々へ労いと感謝の意を示して下された!と、知らない間に神格化されていた。


「何か寒気が…」


『由貴。何だか、少し神々しくなってない?』


数年後。由貴教と言う謎の信仰宗教が日本に誕生し、由貴が気づく頃には既に手遅れな程に広まっていたのはまた別の話。





ホテルを退去する日。ホテルの支配人と全スタッフが由貴の見送りに来ていた。中には休みなのにわざわざ顔を出しに来た者までいた。


「由貴様。当ホテルはいつまでお帰りをお待ちしおります」


「あ、ありがとう。今度は友達とかと一緒に来るわ」


タクシーが到着し、車に乗るとスタッフ一同、何故か手を合わせて見送るという異様な光景が広がり、有名な仏教徒の人でも来ているのかと勘違いした年寄りまでもが由貴向かって手を合わせだした。


『その内、現人神にでもなるんじゃないかしら?』


「…もうやだ」


こうしてタクシーに揺られながら漸くして、目的地に到着すると、今度は義彦とその部下が外で整列していた。


「おかりなさいやせ!お嬢!」


「「「おかりなさいやせ!」」」


その光景を見たタクシーの運転手はお金を貰うと猛スピードで去っていった。


「ありがとう。でもわざわざ出迎えなくてもいいのよ」


「そうはいきません。何せウチの事務所の会長なんですから」


「なった覚えはないわよ」


「もう決めた事です。さあ、お前らお嬢の荷物をお待ちして部屋に案内しろ!」


「「「ヘイ!」」」


案内されたのは義彦達の弁護士事務所横に建てられた一回建の屋敷だった。

かつて御子神家にも劣らない広さで、かなりお金が掛かった筈だと思い、いくらか聞いてみた。


「いえ、それ程金は掛かってません。悪どい商売している不動産屋がいたので、誠心誠意、頭を下げてお願いしました」


「…程々にしときなさいよ」


「心得てます」


と言うわけで結局いくら掛かったのかは分からず豪邸に住む事となった。しかしながら一人で住むには余りにも広すぎら為、どうしようかと思っていたが、ふと明暗が思い浮かんだ。


「そうだ、今一人暮らししてる人は何人居るの?」


「部下のヤスを除いて全員です」


ヤスとはスキンヘッドで義彦の部下の1人。

最近別れた女房が戻ってきたので、ボロいアパートでは有るが、今は仲良く2人で暮らしていた。


「だったらこの家で住まない?家賃はタダになるし、事務所からは近いし言う事ないでしょう?」


「それは大変有り難い申し出ですが、よろしいので?」


「1人で住むには広すぎるから良いわよ。ヤスもどう?此処に住んでお金を貯める手もあるわよ?」


「た、確かに有り難いですが、兄貴どうします?」


義彦は少し考えた後、由貴の提案を受け入れ、代わりに家事も皆んなで手伝いますと言い、全員が屋敷に住むことが決定した。

数日後。義彦達は屋敷に引っ越して、荷解きの作業が済んでから、由貴はスマホでとある人達に電話をかけた。


「はいもしもし〜」


「お久しぶりです。由貴ですが覚えていますか?」


「ええ!?由貴ちゃん!?メッチャ久しぶりやん!元気しとったん?」


電話に出たのは心霊民宿で出会った茜だった。

あれから数ヶ月経っているのでもしかしたら忘れているのかもと思ったが杞憂だったようだ。


「はい。漸く仕事が落ち着いたので、良ければ家に招待したいと思って電話したのですが、どうでしょうか?」


「え、ホンマに!?行く行く!奈美や沙織も誘て良い?」


「勿論です。では住所はーーー」


「分かった。ちょうど今日が休みやし今からでも、ええ?」


「はい。それじゃお待ちしてますね」


「うん、ほなバイバ〜イ」


由貴は初めて友達を家に呼ぶ事に少し気分が良くなっていた。

義彦達には友達が今から来ると伝えると、義彦は15畳の広い客間にお通ししますと言い、ヤスにはお菓子を買って来るよう指示した。

残りは頼んでもいないのに門前に立ち、由貴の友達を迎え入れる準備をしていた。


「お嬢。ご友人様がお見えになられやした」


「ありがとう。通して頂戴」


暫くすると、強面の男達に案内され、緊張している茜達が客間に到着した。

机を挟んで座布団に座ると男達は頭を下げて部屋を出ていく。

そこで漸く緊張が解けたのか、3人は女らしくなく、ブハーッと息を吐き出し倒れ込んだ。


「いやもう…全然連絡してけぇへん思たら。色々とツッコミどころが有り過ぎて頭が追いつかん」


「また新たな属性が…由貴ちゃん、恐ろしい子」


「やっぱお嬢様やん。こんな屋敷、初めて入ったわ」


最初、茜達は由貴に教えてもらった住所に向かうと見るからに高そうな屋敷しか無く、3人揃って間違えたかな?とスマホのマップで検索しても屋敷に表示される。それから有り得ないだろとミニ会議をしていると後ろから2人の強面の男達が近づいてきたのに気づいた。


「すいやせん」


声をかけられ茜を先頭にして奈美と沙織は背中に隠れ、顔だけ出して様子を伺っていた。すると


「茜様と奈美様、それから沙織様でしょうか?」


「は、はいそうですけど」


「おお!そうですかい。由貴のお嬢がお持ちです。ささ、お荷物を運びますんで、どうぞどうぞ」


そして現在に至る。


「いやもう、あん時はメッチャ怖かったわ」


「うん…薄い本の展開になるかと思ったよ」


「なってたまるか」


「怖がらせて、すいやせん。顔に似合わず根は良い人達ですから」


「由貴ちゃん。ちょっとだけ口調が影響受けてるで」


「…あっ」


それから最近の事や、この数ヶ月間何をしていたのか?と茜達から質問責めにあったり、スキンヘッドのヤスがお菓子を持ってくると目にも留まらぬ速さで姿勢を正したりと、この日は一日中、由貴達の笑い声が響いた。


「あ、もうこんな時間か」


「そろそろ帰らんとな」


「せやな」


「良ければ夕飯も食べていって下さい。今日は蟹だそうですよ」


「「「マジか!?」」」


茜達はすぐさまに親に電話して夕食を由貴と食べる事に決めた。

食べ終わった後に、外に出ると、ヤスが車を出してくれて、送りますとドアを開けて待っていた。

茜達はこの家に来るとお嬢様気分が味わえると言い、調子に乗った奈美は、ヤスに苦しゅうないと言って2人から頭を叩かれていた。


「ありがとう、今日はメッチャ楽しかったわ」


「うん。ヤスも思ったより優しくて頭の触り心地も良い」


「ヤスさんの頭を触んな!」


「またいつでも来て下さいね」


「「「うんっ!」」」


3人が口を揃えて返事をすると、ふとある事を思い出した茜が手を叩き、由貴に聞いた。


「なぁ?そう言えば由貴ちゃんの守護霊はどないしたん?」


「千都世ですか?それならーーー」


『貴方達の後ろにいるわよ』


「「「…」」」


千都世のちょっとした悪戯に3人は固まって動かなくなった。


「千都世、可哀想よ」


『ふふふ。ごめんなさいね』


そう言って千都世の気配が消えると3人は冷や汗を拭って深呼吸をして。


「…やっぱ慣れんな」


「…ちょっと漏れた」


「奇遇やな」


そんな3人に苦笑しながらも、謝り、無事に家まで帰ってもらった。

3人を見送った後、家に入ろうとした時、千都世から声がかかる。


『由貴、誰か監視してるわよ』


「どんな人?」


『私服で一般人に紛れ込んでいるけど、何か用があるようね。少なくとも義彦達を狙うヤクザでは無いわね』


「そう、それじゃあ来てもらいましょうか」





由貴の住む屋敷から約50メートル付近で、車を停めて双眼鏡で由貴を監視している男がいた。

友人らしき人が帰るのを確認した後、車に付けられた無線機を持って報告を始める。


「こちら安藤です。ターゲットの友人は今帰りました。引き続き監視を続けます。どうぞ」


【了解。引き続き注意されたし】


無線機を置いて双眼鏡を覗くと、屋敷に入る由貴の姿を確認して、家に入ったと判断し、一度、屋敷の前を通るかとエンジンをかけるが、空回りする音だけが響き、エンジンがかからない。

おかしいな?と思っていると、急に何か違和感を感じ、助手席を見るとターゲットの由貴が何時の間にか座っていた。


「ッ!?」


「何かご用ですか?」


男は確かに由貴が屋敷入る所を確認した筈だったが、そのターゲットが今、自分の横に、しかも気配すら感じる事もなくいた。

しかし、上からの命令でターゲットとの接触は禁じられている。だからこそ早鐘を打つ心臓を何とか落ち着け、この場を乗り切る算段を考える。


「何の事かな?それより勝手に人の車に乗っては駄目だろ?」


「…後、もう2回だけ聞きます。何かご用ですか?」


由貴が言い終わるとフロントガラスが急にヒビ割れ、中心には人の手の形がクッキリと残っていた。

その光景に男は思わず唾を飲み込む。


「何かご用ですか?」


次に鉄が軋む音が聞こえ、ボンネットが開き、捻じ曲げられた。


「後一回、言わせますか?」


「ま、待ってくれ」


男は無線機を取り、報告を始めた。


「こちら安藤。ターゲットと接触。本部の返答次第では私の命は有りません。プランCの指示を」


【…許可する】


無線の先の人物から許可の言葉を貰い、心底ホッとしたのか、男からは深い溜息が聞こえた。


「話は終わりましたか?」


千都世の問いに姿勢を正して返答した。


「我々は御子神家に支援を出していた政府の者です」





安藤「よしゃ!バレてへんな!」


千都世「すーぱーいりゅーじょん!」シュン


安藤「ファ!?」


由貴「いつから座っていないと錯覚していた?」



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