表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/24

其の一

初投稿です。暇つぶしならぬ時間潰しのつもりで、少しでも読んで頂けたら嬉しいです。



今から約1000年前。京に1人の天才と呼ばれた陰陽師がいた。

その名は安倍晴明。星読み、占い、陰陽道と、どれも優れた才を見せ、天皇に気に入られた。

そして、その力に興味を持った貴族に


「そなたの式神は大変素晴らしい物と聞く。今そこに居る蛙をそなたの式神で殺せるか?」


人から見れば突然の無理難題。しかし安倍晴明は庭に作られた池に目を向けながら答えた。


「生き返らせる方法を知らぬゆえ、無益な殺生はできませぬ」


と言うが、安倍晴明の力をどうしても見てみたい貴族は、庭の池にいるカエルを殺してみよと我が儘を言った。

仕方なしに近くの木から葉を一枚取り、葉に法力を込め、葉をカエルに投げると、カエルは潰れて死んでしまい、それを見た貴族達は情けない声を上げて逃げる様に帰った。


噂が噂を呼び、当時の天皇から山で悪さをする天狗の封印を依頼され、これを成功させ京一番の陰陽師として名を馳せた。

だがそれを良しとしない者がいた。

後に安倍晴明のライバルと呼ばれた男、蘆屋道満。

道満は自分は安倍晴明より優れた陰陽師だと言い、法力による試合を申し出た。天皇は面白そうだと思い。

三つの箱を用意し、二つは空、もう一つは鼠が中に入っており、鼠が入っている箱を当てるという試合を開き、2人ともそれを承諾。


「法力を用いて箱の中身を当てよ」


最初に天皇が道満に問うた。

道満は口先だけの陰陽師では無かった。箱の中身を法力を使い、鼠が入った箱を指差した。

続いて安倍晴明に天皇が問うた。

安倍晴明も道満と同じ箱を指差し、勝負は引き分けかと思われた。

しかし指を差した安倍晴明はこう言った。


「天皇様、箱に入っているのは鼠では無く蛇で御座いまする」


天皇のお付きが箱を開けると安倍晴明の言う通り、鼠では無く蛇がとぐろを巻いて箱の中にいた。

これには天皇を始め貴族達も驚きに声を上げた。


「馬鹿な!?」


道満は確かに鼠が入った箱を当てていた。しかし安倍晴明は箱の中身を法力で入れ替え、あたかも自身と道満のとの格の差はこれ程有ると、天皇と貴族に見せつけた。

道満は安倍晴明の罠に気付かず、まんまと引っ掛かり、貴族達から


「あれ程大層な口を叩いておきながら…所詮は二流よな」


「ほほほ、そう言ゆでない。晴明殿と比べれば誰も彼もが赤子よ」


罠に嵌められた道満は見返してやろうと様々な勝負をするが罠など無くとも安倍晴明の法力は凄まじく、唯の一度も勝利する事は無かった。

次第に貴族からの陰口が増え、晴明からも


「お前では私には勝てぬ」


と言われ、いつしか見返すという志は嫉妬に変わり、やがて恨みに変わっていった。


「見ておれ、俺の本当の力はこんなものではない!」


そしてある夜の日。蘆屋道満はとある禁術に手を出した。

古来、中国の少数民族に伝わる呪術。


蠱毒(こどく)


本来は、ヘビ・ムカデ・ゲジ・カエルなどの毒虫等を同じ容器で飼育し、互いに共食いさせ、勝ち残ったものが強い毒を持った生きた悪霊となる。悪霊を使役し、人に害を加えたり、人がこの霊障に当たると、症状はさまざまであるが、一定期間のうちにその人は大抵死ぬ。

このままでも強力な呪術だが、復讐に取り憑かれた道満は自分なりにアレンジした身の毛もよだつ禁術を行うつもりだった。

そして材料である人の調達は裏の仕事を専門にした人攫いに金を見せつけると男は下卑た笑い顔を浮かべる。


「成功すれば金はくれてやる。ぬかるなよ」


「へへへ、お任せ下さい旦那」


男はそう言って夜の都に姿を消した。





そこは深さ10m程で、広さは体育館並みの大きな穴だった。

そこには数百人の老若男女の生きた人間が入れられていた。

そこに呪物や生きた身重の女から取り出した赤子の死体。抵抗した者の首を穴に放り投げた。

道満は蠱毒の呪術を人でやろうとしていた。道満は穴に居る人達に向かって言った。


「最後に生き残った者を此処から出してやる」


それだけを言い残し、分け与える事など不可能な程少ない食料を投げると何処かに行ってしまった。

最初の内は村人同士、協力して穴から逃げ出そうとしたが高い壁を登れず、次に土を掘り、壁を崩そうとしたが土は固く指の皮が捲れ、血を流すだけだった。

徐々に逃げ出す事が出来ないと分かると穴の中心にある食料に目がいく。

最初の2日は皆、理性を保っていたが1人の男が食料に向かって走り出した。


「俺んのだー!」


そこからはまるで地獄の有様だった。

男同士で殴り合い、老人や女子供が食料を取ろうと近寄ると殴り殺された。


「オラァ!」


「ギャアー!」


「おっ母!」


一度始まった殺戮に終わりは無く、土が血を吸って泥の様になり、倒れた子供は大人にぐちゃぐちゃに踏まれ、泥との区別が付かなくなっていた。

そして日が落ちる前に1人を残して皆んな死んでいた。

穴に入れられてから僅か3日で数百人が食料を奪い合って死に、道満が来たのはそれから一週間後の事だった。


「フフ、まさかお前の様な子供が生き残ろうとはな」


穴の中は白くなった大小様々な死体と、その血肉を啄ばみに来た無数の烏がいた。

無念・怨念と様々な邪気の気が漂う穴の中心には、泥で汚れたのか、血で汚れたのかは分からない程の薄汚い少女が、およそ子供がしないであろう恨みのと絶望の篭った目で道満は見ていた。


「急急如律令」


道満が印を結び穴の中に漂う怨念を全て少女にぶつけ、纏わせた。


「嫌ああああああああっっ!!」


少女の頭の中には怨嗟の声が鳴り響き、あまりの怨念に蹲り、頭を搔きむしり、吐き出し、気絶した。

次に道満は少女を生仏にする為の儀式を行った。

勿論、正規の方法では無く、あくまで怨霊に成る為の儀式だった。

3m四方の木箱に鎖で縛った少女を入れ、次に少女の周りに呪物を入れ、木箱の中身を穴で腐りかけた死体の血で満たし、蓋を閉じた。そして印を結び呪言を唱えた。


「ゴボッ!ゴボッ!」


箱の中は血で満たされ、少女は腐った血で肺を満たし、溺れ死んでいく。

数分後、内側から箱を叩く音も聞こえなくなり、道満の呪言のみが聞こえるだけだった。

呪言が唱え終わると木箱は内側から弾け飛び、赤髪、赤目の少女が血の涙を流していた。


「フフ、ハハハ!ハーハッハッハッハ!出来た!出来たぞ!儂が!儂こそが安倍晴明を超えし陰陽師だ!」


道満は笑った。これで安倍晴明と自分を見下した貴族に目にもの見せてやれると確信した。


「…ブツ…ブツ…」


箱から出てきた少女は変わらず血の涙を流しがら痴呆の様に何かを呟くだけだった。

しかし少女を縛っていた鎖だけがギシギシと悲鳴を上げていた。


「な、なんと!儂の縛に抗うか!?」


少女から感じる圧に道満は焦って印を結び、縛りの呪言を唱えるが、圧は収まる気配はなく、むしろどんどん強くなっていき鎖に亀裂が入る。


「馬鹿な、馬鹿な!ありえぬ!これではまるで…神の域ではないか!」


道満の言葉の終わりと同時に鎖が弾け飛んだ。


「ひ、ひゃああ!」


道満は少女の放つ邪悪な気に当てられ、自身の隠れ家を出て京に逃げた。

幸いな事に道満は無事、京にまで逃げ切れたのだが髪は真っ白になり布団に入り怯えて家を出なくなっていた。


しばらくすると京にこんな噂が回るようになった。


「聞いたか?最近小さな村々で流行病が続いとるそうじゃ」


「聞いた聞いた。どの村も全滅だそうだ。怖や怖や」


「儂はこう聞いたぞ。美しい鬼が出ると見るだけで死ぬそうじゃ」


そうした噂が京に知れ渡ってから数日後。

安倍晴明は遠くからゆっくりと京に向かってくる邪悪な気を感じ、その圧倒的な邪気は今まで感じたことの無い程のモノだった。

すぐさま天皇に報告し、京中の陰陽師を集め迎え討つ準備を整えた。

夜の帳が下り、松明の音がパチパチと鳴り響く。

今まで呪言を唱えていた晴明から呪言が聞こえなくなった。


「来たか」


その一言で吹いていた風が止んだ。すると松明の音以外に足跡が聞こえてきた。皆が息を飲み、暗闇を見ると赤髪赤目の少女が歩いて来ていた。


「…ブツ…ブツ…」


「気を引き締めよ!」


晴明の激が飛び、陰陽師達は気を引き締めた。

そして晴明が使役する式神【十二神将】を使役し、少女との戦いが始まった。





戦いは想像を絶し、多くの陰陽師は呪い殺され、晴明の式神【十二神将】も半分以上を喰い殺された。

しかし少女も安倍晴明相手に無事ではいかず、ボロボロの姿になっていた。

それでも晴明には打つ手がなく、このままでは皆殺しにされる運命しか無かった。

だが晴明は少女が呟いていた言葉聞いて勝機を見出した。

少女が呟いた言葉は晴明が知る人物だった。


「憎い…道満…ブツ…ブツ…」


晴明は少女の邪気に混じった道満の気を感じており、少女の言葉で確信を持った。

晴明は天皇に今回の件は道満の責任と言い、道満を屋敷から兵が連れ出し、少女に見せてから天狗を封印した山まで道満を囮として少女を誘き寄せた。


「己が蒔いた種。その責任を取れ」


晴明は天狗を封印した洞窟の奥深くに作られた巨大で重厚な檻に道満を入れ、それに続く様に少女も檻に入って行った。

檻を閉めると洞窟に鳴り響く大きな音を立てて閉まり、二度と開かぬように山の清浄な気と合わせて数百枚の封印の札を貼り付け、封印に成功した。

封印の際には天狗と蘆屋道満の悲鳴がいつまでも洞窟に鳴り響いたという。


その後、怨霊の力を恐れた天皇は、その山を守護する者を晴明に任せ、怨霊については一切の記述を禁じ、自身の親族には家を継ぐ者には口伝のみで伝え、それ以外は何一つ教えてはならないと言った。


これには道満のような輩が今後、怨霊を狙い、解き放つ事が無いようにと考えた末に、少しでも情報が漏れないようにと手を打ったものだった。


一方で晴明は、怨霊との戦いで生き残った右腕に山周辺の土地を与え、以降は代々その山を守る役目を授けた。


それから約1000年。封印は解かれる事なく代々役目は受け継がれ、時代は現代へと至った。






面白い、続きが気になる。という方は良ければ評価お願いしますm(__)m


拙い文章なので良ければ「こうしたら面白い」「こうしたらもっと良い」というアドバイスもお待ちしてますm(_ _)m


返信等は遅れる事がありますのでご了承ください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ