【鬼籍に入る−4】
砂糖によって少しだけ甘くなった珈琲が、全身に染み渡るのを感じる。
今迄飲み物含む食事には、特に興味無かったけど、此の瞬間だけはそうでない気がした。
紅茶の方が好きだったけど、珈琲も悪くはないな。
たまには。
「いやー、吃驚したよ!此の街に新しい人が来るなんて。」
意外にも、喫茶店などの店では注文すれば出てくる事が判明。
慌てた私は何だったのだろう。
再度珈琲を口に運びながら、改めて目の前の2人を見遣る。
長さの揃わぬ黒髪に、鋭いダークグレーの目をした男が、『黒瀬 貴仁』。
細い目に、ヘラりとした態度が特徴の男が、『須賀 英司』。
2人は腐れ縁らしく、黒瀬さん(仮)も何だかんだ言いながら須賀さん(?)嫌ってはいないように見える。
そして、彼らから聞いた私達の共通事項。
其れは、『暁の刻に自殺している』という事。
10年程前から此の街に居る2人も分からない事が多く、論理立てて説明するのは無理らしい。
まぁ、仕方ないだろう。
私は運良く彼らに出会い、情報を得る事が出来たが、そういった教えてくれる人が居なかった2人は、相当苦労したのだろう。
普通は「凄い人だー」と感心し、敬うところだが、私はそういった「敬い」などには無関心だ。
私は、必要な情報を淡々と訊いてゆく。
「····因みに、私達以外に人は?」
他にも人が居るなら、其の人に接触する事でまた新たな情報を得る事が出来るかもしれない。
「んー····居る事は居るけど、紹介は出来ないかなぁ。残念ながら。」
「····そう、ですか。」
出来ないのか。
·····もしかして、周りと余り仲が良くない?
「あ、此の街には、僕らを抜かしてあと1人居るんだけど、其の人は出来ると思うよ!」
考え込む私を見兼ねて、須賀さん(仮)は少し慌てた様に言う。
別に、ガッカリして落ち込んでるとか、そういうワケじゃないのだが。
「····此の街には、お前も含めて『4人』しか居ねぇ。『居る』のが判るのは、『見た事がある』からだ。」
其れに、黒瀬さん(仮)が付け足す。
「わぁ、貴仁君無愛想!」
「煩ぇ。」
ふと疑問に思ったのだが、何故須賀さん(仮)はいちいち黒瀬さん(仮)をおちょくるのだろうか。
止めておけばいいのに。
『見た事がある』だけ、か。
見掛けたなら、何故今迄接触しなかったのだろうか?
少しでも情報が必要だったであろうに。
「何故、接触しなかったのですか?」
私だったら、したくはないが絶対に接触したと思う。
嫌だけれども、必要だから。
「あぁ、其れが今から話す最重要事項なんだけどね?其れはーーーーーー……」