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暁弔の末路  作者: 暁雪
【花笑みの教会】
33/34

【残桜−5】


須賀さんと火葬台へ行った次の日。

昨日黒瀬さんは夜になっても帰ってこなかったが、大丈夫なのだろうか?

「·······お早う御座います。」

「ふぁ、おはよー」

「···あぁ」

大丈夫だろうかと思って元オフィスに入ると、其処には黒瀬さんの姿が在った。

黒瀬さんはいつの間にか帰って来ており、いつもの場所で紫煙をくゆらせていた。

····いつ帰って来たんだろう?

昨日寝たのが11時だから、其れ以降だろうか。

普通そんな時間に帰って来て早く起きたら、疲労が顔に滲む筈なのに、彼は平然としている。

不思議だ。

もしかしたら、回復の早いⅡ型故かもしれない。

其れに対して····

「ふぁ、ぁ···zzzzzz」

「···おい」

須賀さんはまだまだ完全に目覚める気配はない。

朝に弱いのだろうか。

其れにしても····

「Zzz····」

彼の眠そうな表情かおは、地味に殺意が湧く。

「ぐふっ」

何故だろう。


             ❅ 


2時間後。

私と黒瀬さんは、訓練の為に近くの公園に来ていた。

服装は、死んだ時の服装···つまり、黒いセーラー服だ。

此れから激しく動くのに、スカートとはどうなんだと思うが、死んだ時の服は身体の一部なのでそのままの方がいいのだとか。

まぁ、中に短パンを穿いているし、問題ないだろう。

今日から訓練の内容を厳しくするらしいと須賀さんは言っていたが、本当なのだろうか?

「·····今日から、訓練の内容を変える。」

「はい」

どうやら、本当のようだ。

どんな内容なのだろう。

今迄は、対人的な回避術や受け身などを教わっていたが、結構しんどかった。

此の上をいく厳しい訓練とは、いったいどんなモノなのだろうか?

·····吐いたりしないといい。

「····今日から、より実践的な訓練を行う。内容は、制限時間15分内に···」

より実践的な訓練、か。

どんなモノだろう?

また現世むこうに行ったりするのだろうか。

「此の人形を、取る事だ。」

「····?」

人形?

黒瀬さんにしては、随分と可愛いセレクトだな。

黒瀬さんがベンチに置いたのは、可愛らしい熊の縫いぐるみ。

····何所から取ってきたんだろう?

真逆、趣味という事はあるまい。

「···そこら辺で拾った。」

拾ったのか。

しかし、拾ったにしても、何故縫いぐるみにしたのだろうか。

まぁ、なんとなくだろう。

·····もし此れが須賀さんだった場合、多少は趣味の方をあやぶむが。

「内容は、15分以内に此の人形を取る事。俺が妨害するから、其れを避けたりしながら人形を取れ。手段は問わない。」

·····何か、地味に嫌な予感がしなくもない。

黒瀬さんがうっすら笑っている。

可愛いとか言ってる場合じゃないな。


          ❅


ーー15分後。

結果は、惨敗。

人形に近付く事すら出来なかった。

まぁ、そうなるだろうとは思っていたのだが。

「······」

「···動きが短絡的だな。」

「····はい」

黒瀬さんの「妨害」とは、Ⅱ型の特徴である『翼との同化』を利用したモノの事であった。

もう、何というか···勝ち目がない。

黒煙の球による妨害はとても手強く、当分攻略出来そうにない。

まぁ、私の身体能力が低いだけか。

·····頑張ろう。

もう、其れしか言えない。







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