【拝啓君へ−4】
ーーー君が消えて4日後、君の死が高校の生徒達に伝えられた。
「······宵月さんって、何で死んじゃったんだろう?」
「自殺らしいよ。」
「マジ?まぁ、しそうな顔してたけど。」
「それなー」
「ちょっと、止めなよ男子!!そういう事言うの!」
「そ、そうだよ····グスッ···クラスメイトなんだよ?」
「はいはい、悪かったって!」
クラスメイトの反応は、噂話のネタにしたり、他人事として余り気にしなかったりと、皆それぞれだ。
涙を流す人も居たが、皆共通に彼女の死を心から悼んではいなかった。
「·····葬儀は、親戚のみで行うそうです。」
其れは、担任ですらも。
其れどころか、何処か面倒臭そうな雰囲気すら感じた。
クラスはいつもより浮ついており、其の原因が宵月の死なのだと思うと、ゾッとする。
そして同時に、競り上がって来るような憤りを覚えた。
仮にもクラスメイトが死んだのに、どうして此んなにも、此んなにも·····?
俺は机の下で、密かに拳を握り締めた。
今にも溢れそうな、怒りを逃がす様に。
強く。
「······」
·····落ち着け、俺。
確かに、彼等の反応はある意味当然なのだ。
大して親しくもない人物が死んだところで、他人事なのだろう。
そう、当然なのだ。
彼等にとって彼女は、そういう存在なのだ。
そう、そうなんだ。
そういう事に、しておこう。
でないと、俺がどうにかなってしまいそうだ。
「····では、時間になりましたので授業を始めます。」
「起立!」
君が消えて5日。
今日も、多くの人にとって平穏な1日が始まる。
君の居ない、平穏な1日が。
ーーー俺だけは、君を悼っていたい。
此の想いは、君に、届くのだろうか?