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暁弔の末路  作者: 暁雪
【片羽の天使】
23/34

【死穢−9】


『静寂』の中に居た。


相変わらず身体からだが動かず、散らばる破片だけが、虚ろに輝いている。

「·····?」

しかし、今回は何かが違う。


「ーーーーーーッ」

「ーーー………」


音が、聴こえるのだ。

何かが軋む様な、あるいは誰かが呻いている様な。

そんな、音が。

其の音は、酷く疲れているようで、まるであの鉄人形ゴーレムの様。


あぁ、そうか。

追いかけられていた時は、逃げるのに必死で気付けなかったが、あの人形ゴーレムは別に、私をどうにかしたかったワケじゃなかったんだ。

唯、『疲れて』いたのだろう。

生前、身体からだ千切ちぎれる程働いて、死してなお、今にも千切れそうな歪んだ鉄の中に囚われている彼等かれらは、唯、終わりたかったのだ。

楽に、なりたかったのだ。

「楽にしてくれ」と追い縋っているうちに、自分が何をしているのかもわからなくなって。

それで·····


ーーーあぁ、早く楽にしてあげなければ。

普段誰かを助けようと思う事など殆どないのに、錆びついた悲鳴を聴き続けているうちに不思議とそう思った。


くらい廃工場で果て、果ててなおその場に縛られている彼らに·····


ーーーどうか、『静寂』を。


          ❅


ーーーパキンッ

何かが割れる様な音と共に、暗転した意識は浮上した。

「ーーー?」

目を開けると、其処には私の光輪に似た薄紫の破片が、いくつも散らばっていて、人形ゴーレムの姿は消えていた。

助かった、のか·····?

しかし、2人の姿は無いのに、いったい誰が人形ゴーレムを倒したんだ?

「·······!」

まさか·····

まだ痛む腕を伸ばし、散らばる破片を手に取る。

間違いない、私の光輪だ。

つまり、無意識に?

先程まで見ていた『静寂』の夢。

其の中で、何かが軋む様な音が聴こえた。

つまり、私が其の夢を見ている間に、光輪に何らかの変化があって、人形ゴーレムを倒した····?

分からない。

まぁ、其れは後で須賀さんにでもくとして。

兎に角、今はーーー

「········疲れた。」

身体中痛い。

筋肉痛になりそうだし、外傷的な面においても痛い。

そして、眠い。

此処で2人が来るまで寝て、後の事は其れから考えよう······













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