【死穢−7】
コンテナの隙間を縫う様に走り、出来得る限りの全速力で、扉へと走る。
ガシャンッ
ギリギリギリ…
其の後を、鉄の異形が追う。
「····速ッ」
人形はゾンビの様にフラフラと歩くのではなく完全に走っており、しかも油断すれば追いつかれてしまいそうな程速い。
少しだけそんな予感はしていたが、真逆此処までとは·····
困ったモノだ。
私は別に足が遅いワケでもないが、速いワケでもない。
平均より少し上な程度だ。
身体が軽くなって其の分足も速くなっている筈なのに、人形は其れを超えそうな勢いで此方へと迫ってくる。
「······ッ!」
此れでは扉に近付くどころではない。
2人が来るまで、命懸けの鬼ごっこを続けるしかないのか·····
人形の体からは、動く度に金属の擦れる音が発せられ、其れが酷く疲れているようだ。
追い付かれそうになったところで翼を出し、上へと逃げる。
其のまま空中に留まる事は出来ないが、此れで距離をおけるだろう。
天井が近付いたところで縦に一回転し、軽く身体を捻りながら着地。
よし、此れで距離が取れーーー
ガッ
「!!」
距離が取れた。
そう思って体勢を立て直そうとした瞬間、左手首に鈍い痛みが走った。
何····?
理解するよりも早く、後方に軽くふっ飛ばされる。
マズい。
無意識に腕でガードしていた為、胴体は免れたが、もし喰らっていたら立ち上がれなくなるだろう。
生身(?)の私に、鉄の相手。
圧倒的に不利だ。
2人の到着まで、逃げ切れるだろうか。