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暁弔の末路  作者: 暁雪
【片羽の天使】
20/34

【死穢−6】


ギギギッ……


錆びた金属の擦れる音が、背筋を伝う様に響く。

先程まで這いずる様に動いていた鉄屑の異形ゴーレムは、ものの数分で二足歩行をするようになっていた。

彷徨う様に歩く其の様は何処かホラーじみていて、僅かな緊張感を私に与えている。

目線は安定せず、唯虚空を彷徨うだけで、何者も捉えない。

「·········」

つまり、まだ私の存在に気付いていない。

ということは、まだ逃走の余地が残っているということだ。

ならば気付かれる前に指示通り逃走し、電話ボックスに戻るのが最善。

上手くいくだろうか·····

他に策は····無いな。

退避が1番だ。

翼や光輪は出さない方がいいだろう。

目立ってしまう。

万が一に備えて出しておいた方が安全かもしれないが、気付かれない事を優先するべきだと思う。

「········」

息を殺して体勢を低くし、そっと黒瀬さん達が消えていった扉へと向う。

扉を開けた時に音が立ち、もしかしたら此方に向かって来るかもしれないけれど、素早く閉めれば大丈夫だろう。

·····多分。

扉まであと数m。

大丈夫だ。

上手くれる。


ギギッ…ギッ……


「!!」

不快な金属音に、心臓が小さく跳ねる。

どうやら、僅かに気を許した瞬間、異形ゴーレムは此方に気付いたようだ。

まぁ、十分に有り得るし、今更激しくは驚かない。

先程まで這っていたのに立ち上がり、虚空を漂っていた目線は標的を捉える。

つまり、確実に進化しているという事だ。

非常に宜しくない進化のペースだ。

首を捻って割れた電球の目を此方へ向け、「見つけた」とでも言わんばかりにどす黒い死穢を毛羽立たせている。

·····マズい。

背筋を冷たい汗が伝う。

異形ゴーレムは置いてけぼりになった胴体を此方に向けており、今にも襲い掛かってきそうだ。

お願いだから止めて欲しい。

私は、体勢を低くしてコソコソするのを止め、立ち上がって走り出す。

「·······逃げ、きれるか」

気付かれてしまったなら、もうコソコソする必要は無い。

全速力で走って扉へと向い、逃走を図ろう。

しかし、異形ゴーレムがどんな動きをするのかが把握しきれていない以上、下手な行動はとるべきではないが、モタモタしていて逃げられなくなったら元も子もない。

細かいことは考えずに、兎に角走ろう。


ギギッ……


「!!」

ゴーレムが一歩前に踏み出す。

真逆まさか、走れたりするのだろうか?

非常によろしくない。

······無事に逃げきれますように。






 

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