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暁弔の末路  作者: 暁雪
【片羽の天使】
12/34

【飛べない翼−6】



「ーーーえ~っと、翼を出すコツは、血の流れを意識して······」

「其れが背中に集まっていくイメージよ!!」

「ちょ、僕の台詞·······」

台詞の最後をヘレナさんに強奪される須賀さん。

前から思っていたが、2人共須賀さんの扱いが少々雑な気がする。

······別にいいか。

「まぁ、モノは試しだからちょっとやってみてよ。」

「·······はい」

本当に翼何て、出せるのだろうか?

いきなり言われても困るのだが。

しかし、「No」とも言えないので、目を閉じて言われた通りにしてみる。

まず、血の流れを意識して···

其れからーーー


          ❅ 



目を開けると、『静寂』の中に居た。

其処はくらく、煌めく硝子わたしの破片以外は何も無い、静かな世界。

チカリッ…

「········?」

其の中に、突如現れた新しい破片。

此れはーーー?

          ❅

思考の海に潜っでいた意識が、徐々に浮上してくる。

目に映る世界は、灰色ながらも『静寂』の世界に比べれば眩しく、少しだけ目に痛かった。

「おー·····」

「··········?」

何だろうか?

翼を出す事に成功したのかと右に振り返ると、其処には『暁』が在った。

藍から青紫へと徐々に薄くなってゆくグラデーションの翼は、幾何学的で形は鳥と同じでも、まるで虫の様。

「······上物ね。捗るわ!」

「あはは、御愁傷様。」

翼の数は、背中から腰上にかけて3枚。

上は空色から藍色、中間は紫から緑、下は淡い金色から赤と、暁の空を其のまま写したようだ。

大きさは上のモノで2m程で、さほど大きいワケではない。

········もう少し、丈夫そうなのが良かったな。

醜いのは余り嬉しくないが、美しさには興味が無い。必要なのは実用性だ。

其の点において此の翼には、少々···いやかなりの不安がある。

大丈夫だろうか·····




欠けた湯呑み

鳴かないホトトギス

破れたカーテンに綿の出たぬいぐるみ。

ーーーそして、『飛べない翼』。

みな何かが欠けていて、全てが欠陥品。

有っても本来の義務を果たせない『翼』には、一体何の価値があるのだろうか。














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