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暁弔の末路  作者: 暁雪
【片羽の天使】
11/34

【飛べない翼−5】


『此の世界の決まり事』

其れは、人が死を迎える際に溢れるけがれーーー『死穢しえ』の除去。

方法はシンプルで、生前の世界へ渡り、『コフィン』という透明なプレートに『死穢しえ』を吸収させ、駅前の広場に有る『火葬台』で灰にする。

正直、死んでまで誰かの為に動く何でまっぴらだが、半強制的らしく、仕方がない事なのだとか。


        ーーー『静寂』にはまだ遠い。


         ❅


黒瀬さんを先頭に階段を登り、屋上への扉を開ける。

ギィ…

「やー屋上なんて久しぶりだねぇ!」

扉を開けるやいなや、須賀さんが手に持っていたスケッチブックを放り出して屋上に飛び出す。

「わわっ、すっごい灰の量!!」

うるせぇ······」

確かに凄い灰の量だ。

····ゴミ袋5つ分といったところだろう。

「·····灰が凄いのは分かったから、とっとと済ませやがれ。」

「そんなぁ〜」

余り黒瀬さんに構って貰えず、少しつまらなそうな声を上げながら、須賀さんはスケッチブックを拾う。

「·····えっとぉ、どこまで教えたっけ?」

「····光輪ついて少々と、翼が片方しか無い所迄」

ーーー『飛べない翼』。

私達が『死穢しえ』を除去する為に与えられたモノ。

形は翼を模しているが、片方しかない為、飛ぶことが出来ない。せいぜい、落下速度を落とすのが関の山·····らしい。

其のかわり、空を飛ぶ事と引き換えに特殊な力があるのだとか。

「そっかぁ···」

私の返事を聞いた須賀さんは、おもむろにスケッチブックをめくり、其の中の1ページを両手で掲げる。

「まず、『翼』の種類についてなんだけど、ざっくり分けるとこんな感じかな!」

‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡

[Ⅰ型]

翼其のものに何らかの能力があるタイプ。

[Ⅱ型]

体質が変化するタイプ。

[Ⅲ型]

何らかの物体を具現化するタイプ。光輪に力が備わる場合もある。

‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡

「僕とヘレナさんが『Ⅰ型』で、貴仁君が『Ⅱ型』。翼は基本、利き手と同じ方にする事が多いよ!」

なるほど。

ならば私は右になるのか。

「だけど、貴仁君は捻くれ者だから左なんだ!」

「·····誰が捻くれ者だボケ。」

「ぐふっ」

須賀さんが説明の最後に余計な事を口走り、黒瀬さんから肘鉄を喰らう。

かなり強烈な。

······まぁ、自業自得だと思う。

もっと言うとざまぁ。

「痛た····んで、『光輪』についてのまとめ〜!」

‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡

[光輪]

核的な存在。破壊されると、身体機能及び回復低下や翼をが出せなくなるなど、様々な機能が低下する。Ⅲ型にとっては命取り(死なないけど)。

‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡

「·····こんな感じかな?」

光輪····天使の頭上に浮かんでるアレか。

死んでる感丸出しだな。

そもそも、『翼』だの『光輪』だのとまるでファンタジーでよく見る天使だ。

此れが現実なのかを疑いたくなる。

まぁ、此の世界そのものが非現実的故、今更いまさらだ。

「どうどう?解りやすいかった〜?」

「····普通。」

「そんなぁ!」

真実なのだから仕方あるまい。

其れにしても、『翼』か。

私は右利きだ。

故に、右の方が良いのだろうか?

其れとも、黒瀬さんの様に逆にしてみるべきか····

どうなのだろう。







 






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