08.Moment.
朝起きたら『絆』とガッコウに赴き、彼女を預けたら自分の学校に登校。
倉田と取り留めのない会話を交わして、眠たくてたまらなく詰まらない授業を受けて。
下校したらガッコウに預けた絆と家路に着き、ご飯を食べたり、時折ゲームをして盛り上がったり。
『絆』は視認しない分、僕が使用人と話したりして……「絆」の元へ向かう。
その日起きた出来事と、外へ再び出て来てくれることを祈って世情の報告。
ほんの数ミクロンでも良い、また絆が世界に興味を持ってくれるなら。
何を犠牲にしたって構わない。
「『陸上最強』」
絆「『前回に引き続き』『今回も倉田さんをお迎えしてやって行くよ!』」
繋「倉田は無所属の僕と違って、陸上部に居るよね。どの競技を専門にしてるの?」
景子「私は主に短距離だよー、出場してるのは一〇〇mと二〇〇mだね」
絆「『ん』『短距離って確か四〇〇mもあるって聞いたことあるけど』『そっちはやってないの?』」
景子「四〇〇mは短距離選手にとって真の花形とさえ言われる競技なんだけど、残念ながら私には合わなかったんだよねー。見る分には楽しいだけに、そこは正直に悔しいかな」
繋「へぇ。でも確かに一〇〇m何かも純粋なスピード勝負って感じするけど、四〇〇mは見てて燃えるよな、距離のおかげかな」
景子「トラックを一周してる最中、色んな技術の鬩ぎ合いやドラマがあって凄くワクワクするよね!」
絆「『ボクも昔は走るの好きだったから』『いつか倉田さんの試合見に行きたいなー』」
繋「そう言えば、僕も倉田が陸上やってるの知ってただけで走ってるところ見たことなかったし、機会があれば行きたいよ」
景子「わー! ありがとね二人共!」
絆「『ところで陸上って』『イメージとしてはひたすら走るってのがあるけど』『やっぱり毎日走ってるの?』」
景子「実は陸上選手って、一日に走る距離は決められてるんだ。だから走るだけでなく、体幹運動とか筋力トレーニングをメインに練習することもあるよ!」
繋「あっ、それ知ってる。確かウェイトトレーニングとかもやってたよね。倉田はどれだけの重量を持ち上げられるの?」
景子「一五〇kgだよ!」
繋「えっ」
絆「『えっ』」
景子「えっ? あっ!? ち、違うよ!? 持ち上げてるわけじゃなくて、スクワット! スクワットだからね! 走る時って足に自分の体重の五倍の力が及ぶから、そのための練習で椅子のある位置までスクワットをやる機会があるからさ! 別に藍原たちが思ってるようなことじゃないからね!」
繋「陸上最強……」
絆「『スーパーサイヤ人って線も……』」
景子「誤解だってばー!」