状況を把握しよう
オーケーオーケー。今自分が置かれている状況は理解した。
僕をリアルタイムで抱えて歩いているのは僕の今生の母だ。今は家の中を歩いているようだ。結構歩いているはずなのだが、まだ歩いているところからし相当広い家らしい。両親の身分は貴族かな?
「どうしたんですか~アインちゃん?」
・・・むにぃ
・・・そして後頭部に触れているのはその胸だ。このボリューム感は下手すればFぐらいは普通にあるかもしれない。今から授乳が待ち遠しいな。
・・・違った。確認するのはそこじゃない。
急に天国みたいな状況になったから少し錯乱したようだ。
まぁなんで言葉を認識出来たかはともかく、最初の言葉からしてこの美女が母親なのは間違いないだろう。
整った顔立ちに、優しく青い瞳。どれも前世では拝むことさえ出来なかったものだ。時々顔にかかってくる白髪からも花の香りが漂ってくる。
にしてもこんな美人を捕まえた親父殿はどんな男なんだろう?
そんなことを考えていると前方から裾の短めのメイド服を着た少女が駆けてきた。その頭には---ネコミミ!?
「奥様!出歩いて大丈夫なのですか!?ちゃんと部屋で寝ていてください!!」
「だいじょーぶですよ。今日は調子がいいですから。それにアインちゃんのお散歩もありますし」
お母さまは病弱なのか。でもんなことぁどうでもいい!僕は前世じゃ重度なケモナーだったのだ!目の前の夢の結晶に!ネコミミに触れさせろ!
「そういう訳にもいきません!坊ちゃまのお散歩は私がしておきますから、奥様はお部屋で休んでいてください!」
「ああ!返してナルシア!」
おお?急にネコミミさんに抱かれたよ?かわりに母の胸からも引き離される。
ちょっとというかかなり残念だが、これでネコミミが近づいたぞ!さわれさわれー!
「全く奥様はいつもいつも---って坊ちゃま!?急によじ登ってどうしたんです!?んぁ、耳は触らないでください!敏感なんですぅ!」
「ずるいわナルシア!私も甘えてもらいたいのに!」
暫くふにふにしていると、メイドさん、いやナルシアが崩れ落ち、母に再び回収されてしまった。無念・・・。
「アインちゃんは私よりナルシアの方が好きなの?お母さんじゃダメなんですかー!」
何故か知らんが母が涙目になっているので頭を撫でておく。
とたんに蕩ける母の顔。眼福といっていいのかどうなのか。ちょっと残念な子を見る目になっても仕方ないと思ってもらいたい。
「今帰ったぞって何だこの状況は?」
後ろから大人の男の声が聞こえた。
よし。恐らく今生での父との対面だな。首はまだすわってないので自分で振り返るのは諦めてじっと待つ。早く僕の顔を胸に押し付けてないで前に向けて欲しい。
「あら。お帰りなさいあなた。ご挨拶は済ませたの?」
「ああ。ワイバーンの肉も配って来たぞ」
おおやっと前向けた---ってそこじゃない!ワイバーン!?あの空飛ぶドラゴンの一種のあれか!?
ようやく父の金髪金眼な20代のイケメンフェイスを拝めたというのにそれどころじゃ無いほどのビックニュースだよ!まさかファンタジーな世界に転生したわけ!?
それにワイバーンって一応空飛ぶんだからそれなりに強いんじゃないの?まさかそんな生物のお肉さえ買えるほど大きな貴族なのか?
「ええ?ワイバーンなんかで喜んでくれるのかしら?もっといいのがあったんじゃないの?」
「あのなぁ?いくら俺らにとって弱いといっても、一般家庭じゃ普通一生お目にかかれないようなものなんだぞ?」
違いました。私の親はどうやら化け物や英雄がわにカテゴライズされる類の人間のようです。
「よーしよしアイン。お父さんが帰って来たぞー!」
こんな風に髭でアタックしてくる様子を見ると、そのように見えないけどね。
その後、5分間もじょりじょりされ続けたので、泣いて強制的に離れさせた。
そろそろアップする周期を下げます。