養子になりました
ユニーク2000超えたな・・・ますます引けない。
話は変わるが、この世界には6つの国がある。それらの国は、それぞれが崇める神の使徒であることを意識してか、それぞれの属性に位置する精霊の名を冠している。
水の神を崇める国、ウンディーネ。
土の神を崇める国、ノーム。
風の神を崇める国、シルフ。
闇の神を崇める国、タナトス。
光の神を崇める国、ジーニャ。
最後に、僕のようなヒューマンが主に生まれ、暮らしている国。火の神を崇める国、サラマンダーだ。
その国の長達である王族は、その高貴な血筋でしか名乗ることが許されない、特別な苗字を持っている。
そして、サラマンダーの王族が持つそれは『イフリート』だ。
つまり、僕の叔父であるこの男。ガルロス・イフリートは---
「王族・・・というより、王様ですか?」
その予想を聞き、男は赤い髪を揺らして笑う。
「正解だ。というより王様って立場まで分かるとは思わなかったぞ」
「まあ5つほど予想が入っていますが・・・」
「その予想とは?」
試すように訪ねてくるガルロス。
特に誤魔化す意味もないので、『確証はありませんが』と前置きしてから続ける。
人差し指を立てる。
「1つ、名にイフリートと入っている以上王族である」
中指を立てる。
「2つ、その割には見える範囲にいる護衛が少なすぎる」
薬指を立てる。
「3つ、王族の護衛の戦力が低いわけがない」
小指を立てる。
「4つ、つまり護衛としてつれてこられた個々の能力が高い」
最後に親指を立てる。
「5つ、そんな優秀な人物を連れ出すなら国王レベルの権威が必要になる。
あと怪しいマントなんて着てお忍びしてるんだったら、顔も知れてるんだろうかと、ってこれじゃ6つですかね」
そこまで言い切ってたははと空笑いする僕に反して、ガルロスは興味深そうに目を細めた。
「なるほど。筋の通った予想だな。確かにお前はアルベルトの息子だな。知識が少なくても頭が冴えている」
「父さんをご存じで?」
我が父は思ったより大活躍していたようだ。王様まで知ってるとは思わなかった。
一体若かりしときは何をしていたんだろうか?
「まあその話はおいおいな。・・・今はもっと大事な話がある」
恐らく真面目な話なのだろう。これまで以上に姿勢を正して、続く言葉を聞く。
「お前たちの状況はナルシアから聞いている。それを聞いて俺たちは直ぐに、山へハドルとルナリスを向かわせた。だが---」
ガルロスは一度大きく深呼吸すると続けた。
「---消えていたんだ。現場に残されていたのは、魔物と自警団の武器や手押し車のみ。血痕は一切残っていないにも関わらず人影は何処にも見当たらなかった。お前の両親もだ」
それを聞き、僕は静かに考えを巡らせる。
(父さん達が襲われたのはあくまであの断崖絶壁だ。そこで戦闘があったからには必ず血は流れているはず。・・・交戦せずに逃げ出した?いや、それでは武器が放置された理由が分からない。それに手押し車から人を運び出すにも時間が足りなかったはずだ)
「すみません。転移の魔法なんてありますか?」
その問いに対し、王様は我が意を得たりと答えを返す。
「ああ、ある。というよりイルナスが使えたはずだ。もっとも練度はそこまで高くなく、物資を運べなかったりと制限はあったようだがな」
「なら、安心しました」
それを聞いて希望が沸いた。決して母の体調は万全とは言いがたかったが、それならなんとか手は打てたのだろう。
「待て。話はこれからだ」
「え?」
「お前はこれからどうするんだ」
今度は新しい問題が・・・。
確かに、今回の件で一時的に僕の身寄りはなくなった。だからといってお世話になれる場所はない。
こうなればもう住み込みで働くしかないが、こんなガキを雇うところなんか無いに決まっている。
詰みだ・・・完璧に詰みだ。
「どうしようも・・・無いですね」
「そうか」
王様が笑顔で頷く。なんだよ!そんなに見ていて楽しいか!
そして王様はそのまま---とんでもないことを言い放った。
「なら---うちの養子になれば良い」
「・・・はい?」
一瞬幻聴が聞こえた気が・・・。
「あの、えっとぉ、今なんか養子って聞こえたんですけど」
「ああ、そう言った。というよりイルナスは私の妹で、その子供何だから、私と同じ血をほぼ2分の1受け継いでいるだろう?十分に王族になれるだけの条件にかなっている」
なんか急に変な汗が出てきた。これは面倒くさい展開だ・・・!
いつの間にか起き上がっていた男の敵はルナリスさんたちと集まって『聞いてないぞ!』って相談してるし!ナルシアはキラキラした目で僕を見るし!リズニアはちょっとしょんぼりしてまたうるうるしてるし!・・・あれ?一部肯定的?
「え、いやちょっと」
「因みに拒否権はない。なに、2人が見つかるまでの短い間だ。悪いことは何もない」
「だから待ってぇぇぇっ!!?」
こうして僕は王族の権威と押しの強さに負け。
『アイン・メルディウス・イフリート第2王子』が誕生しました。
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