拾われました
ちょっと疲れた
ほとんど人影のない森の中を、4人の男女が馬に跨って歩いている。
男の一人は黒い外套を羽織っており、二人の女ともう一人の男は護衛のようで、それぞれが別の武器を背負っている。
野盗などでは見ることさえ叶わなそうな見事な鎧と大剣を持った男が意外そうに喋る。
「しかし、こんな辺境にお嬢がいるなんてな。もっと大きな都市にいるものだと思ってたんだけどな」
それに対して、大きな弓を持った目つきの鋭い少女と、杖を手にした柔和な雰囲気の女性が口を開く。
「そんなことしたら直ぐに見つかるでしょうが、このハゲ」
「何のために逃避行するのか。その意味が分かってるのですか?このハゲ」
「お、おう。そうだよな---ってハゲじゃねぇし!」
魔物が出る森の中で騒いでる以上、それなりの実力者で心に余裕があるのだろうが、それにもまして浮かれているように見える。
まるで何か楽しみなことを目前に控えている子供の様だ。
それを微笑ましそうに眺めて、マントの男が赤い髪を揺らす。
「そうだな。そうでもしないと15年間も国の目を誤魔化すなんてできないだろうしな。
元気でいればいいんだが・・・彼がついてるんだから無事か」
「そうでもないと俺が認めなかったしな!」
「当然私もね!」
微笑みながら杖の女性も2人に続く。
「そうですね。イルナス様にアルベルト様。早くお会いしたいです」
すると突然、一行の前方で蒼い光が弾けた。
弛緩した雰囲気は一瞬で消え、感覚が研ぎ澄まされる。
「蒼い光?見たことねぇな。知ってるか?」
「全然。町でもそんな噂聞いてないし」
「でも、大きな魔力を感じます。・・・どうしますか?」
3人の護衛は主のマントの男に判断を委ねた。
「---行こう。もし異常事態があったとしてもこのメンバーなら対処できる」
かくして一行は異変の元へ向かう。
---------
「もうすぐ魔力発生源です」
「現場はどうだ?」
「確認するわ」
少女が木の影から開けた場所を覗き込む。
「へし折れた大木に、武装した男が3人。あと沢山の子供に獣人のメイド。あれは・・・潰れたなんらかの魔物かしらね?」
獣人のメイドという言葉に女性が反応する。
「メイド?もしかしたら・・・。少し確認してきますね」
彼女は木の影から出て、獣人の元へ歩いていった。
そしてその顔を確認し、表情を驚愕で染めた。
「やっぱり!ナルシア!ナルシアですね!」
「その声は・・・マルラ様ですか!どうしてここに!?」
獣人は驚いて、その腕に少年を抱えながら女性に駆け寄った。
それと同時に女性も自分の仲間を呼ぶ。
「それはこっちの台詞です。どうしてこんな森の中に大勢でいるんですか?それにこの子は?」
彼女の腕で眠る少年に、怪我らしい怪我は見受けられない。が、その服はまるで大質量の物体に引っ掻けたようにズタズタにされ、もはや服として機能していなかった。
ナルシアと呼ばれた彼女は表情を暗くして答える。
「私達は避難のためにここまでやって来ました。といっても未だその最中なのですが」
彼女の言葉に意外なことを知り、思わず聞き直す。
「避難?アルベルトがいてもどうにもならないほどの魔物がいた?それに2人は?」
アルベルトはかつて国に名を轟かせた戦士だった。そんな彼が敵わない敵など早々いない。
同時に、そのアルベルトとイルナスがいないことに気付き狼狽する。
「いえ、個々の強さとしてはそれほどのではありませんでした。
しかし500以上もいればいかに旦那様であれど、村人を全て救うなどできません。
旦那様方は山の方で魔物と交戦中だと思われます。奥様は最近体調を崩されていて、かなり危ういです」
「そうですか・・・2人は山へ向かってください。私はナルシアを護衛していきます」
「おう」
「了解」
そうして彼らが山の方に消えていくと、マントの男も影から出てくる。
「久しいな。ナルシア」
最初はマントのせいで男の正体も判らず怪訝そうに見ていたが、その声を聞いて慌てて膝を地面につく。
「お久し振りです。なぜあなた様がこちらに?」
「妹夫婦に挨拶をしにいくのは当たり前だろう?」
少しだけ懐かしさに笑いながらおどけた返事を返す。
そしてその視線は彼女の腕の中に移る。
「その子は・・・」
「旦那様と奥様の愛し子です」
一片の迷いも無しに帰ってきた返事に、また彼は小さく笑う。
「分かった。それなら手厚く保護をしなければ。叔父の役割ぐらい果たして見せよう」
その確かな優しさのこもった言葉にメイドは目をふせ頭を垂れる。
そして彼らは避難民達と合流し、もと来た道を歩んでいった。
Pv増えると嬉しいけどプレッシャーもクるものがありますね。
ブックマークは50超えてユニークも1000超えた・・・休めんなぁ。




