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物語の切れ端。  作者: 空月


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始まりのはじまり。



「――いいですよ」

「本当に?」

「くどいですね。そちらから言ってきたんでしょう」

「ちょっと反応が予想と違ったからね」

「予想と違ったら、取り消しますか?」

「いいや。君みたいな人のほうがいいのかもしれないと思っているところだよ」


 上下左右も曖昧な、真っ白い空間。

 その空間に不似合いどころか違和感しか抱かせないティーテーブルで向かい合ってお茶を飲みながら、そんな言葉を交わす。


「じゃあ、契約成立ですか?」

「そうだね。そういうことになる」

「説明はさっきので終わりですか。さすがに知識不足甚だしい状態で知らない場所に放り捨てられたくないんですけど」

「そんな薄情なことはしないさ。必要な知識はきちんと君の頭におさめておくよ」

「それ、その知識を認識した瞬間に私の頭イカレたりしません?」

「しないように君自体を作り変えるから問題ない」

「さらっと問題発言しましたね。作り変えられるんですか、私」

「その脆弱な体のまま放り出すほど鬼畜なつもりはないんだ」

「それは、お礼を言うか否か迷いますね」

「その体に未練がある?」

「そりゃあ、生まれてこの方この体だったもので」

「性能以外は寸分たがわずその体と同じにするよ。君も、他の人達みたいに、外見を変えてほしいとかっていうつもりはないだろう?」

「その通りですけど。扱い方のわからない外見にして、余計なトラブル招きたくないですし」

「懸命な判断だ」


 にこり、とその人は笑う。ヒト、という括りで表してよいものか迷うけれど、他に形容も思いつかないのでそれでいいだろう。どうせ、この空間から出たら関わりのない相手だ。


「それにしても、本当にいいのかい?」

「しつこいですね本当に。いいですよ、二択しかないなら、私はこちらを選びます」

「つらい目に遭うかも知れないよ?」

「どこでだって同じですよ。つらくたって、私は生きていたいです」

「面倒を背負いながらでも?」

「生きる意味なんて探しちゃうよりは、最初から決まってる方が楽です」

「君も、探してた?」

「人並みに、アイデンティティとか考えちゃう人間だったので」

「君の生きる意味が、あれでもいいというんだね」

「いいですよ。――誰かのために生きられるなら、私はそれがいいんです」

「――うん、やっぱり、君みたいな人がいいのかもしれないね」

「それは結果が出てから言ってください」

「それもそうだね。――君の『結果』楽しみにしているよ」

「ご期待に添えるかはわかりませんが、出来るだけのことはしますよ」

「それでいいよ。それがいい」


 それは契約。始まりの前のこと。

 生まれ育った世界で死ぬ運命にあった私が、別世界で生きることを決めた会話の断片。

 私が『誰かのため』に生きられる世界での、始まりのはじまり。




お題:私と始まり 制限時間:15分 で挑戦したもの。

よくある異世界トリップまたは異世界転生における前日譚、もしくは超越存在との会話のようなもの。

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↑反応があると軽率に続きを書いたりするかも
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