表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
物語の切れ端。  作者: 空月


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/72

それは幕引きの合図





 ――ああ、どうして。


 それに最初に気づいたとき、ただ呆然した。

 どうしてこうなってしまったのか、と。


 そんな自分に彼は当たり前のように気付いて、「どうしたの?」と甘やかすように柔らかな声音で訊ねるものだから。

 私はただ、何でもないと首を振るしかできなかった。



 私と彼の関係は、恐らく傍目からは『仲睦まじい恋人同士』というものになるのだろう。

 なるのだろう、と表したとおり、実際にはそうでないことを私は知っている。

 けれど彼は私に「好きだよ」と日に一度は囁くし、過度にならない程度のスキンシップもする。愛していると言葉でなく伝わるような、そんな触れ方。

 そうして私も、そんな彼に日に一度とはいかずとも、好きだと言葉にするし、同じように触れることもある。



 だけれど、それは全てまやかしなのだ。


 どうしてこんなことになったんだろう、と彼の居ない部屋の中で私は頭を抱える。

 こんなはずじゃなかった。私と彼は、まやかしの恋人同士であるはずだった。


 忘れたいと泣いた私に、じゃあ忘れさせてあげるよと微笑んだ、あの日の彼を覚えている。忘れることなどなく、鮮明に。


 どうしてこうなったんだろう、ともう一度ひとりごちた。

 脳裏に浮かぶのは優しい笑顔。甘やかな彼の声。期限付きの、愛。


 忘れるための恋だった。


 忘れたいなら忘れさせてあげると囁いた。

 忘れて恋をすればいいと囁いた。


 最初から、忘れるための恋だった。


 忘れたらおしまいの、恋だった。


 それだからこそ愛してくれた人に、この気持ちを気づかれたら、とじわじわと動揺が這い上がってくる。

 それでもきっと、敏い彼は、近いうちに気付くだろう。

 私が、彼を好きになってしまったことを気付くだろう。


 どうすればいいの、と呟いて、私は強く頭を抱え込んだ。





お題:緩やかな動揺 制限時間:15分 で挑戦したもの。

ついでに「確かに恋だった(お題bot)」さんの『忘れるための恋だったのに』というお題の消化でもあったり。

尻切れトンボは仕様です。……仕様です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

Wavebox


↑反応があると軽率に続きを書いたりするかも
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ