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物語の切れ端。  作者: 空月


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うつくしく清らかな君




「凶器に意思はあると思う?」

「さあ」

「随分と気のない返事ね」

「唐突にわけのわからない質問をされればそんな返事もしたくなるさ」


 不満そうに唇を尖らせた彼女に、溜息を吐きながら言う。


「冷たいのね」

「返事をしているだけ優しいと思ってもらえないかな」

「私にとっては冷たいわ。もっと誠意のある回答が欲しかったのに」

「無茶を言わないで欲しいね」


 白く滑らかな肌を、月光が照らしていた。銀色が闇に煌く。


「そんなに無茶な質問だったかしら」

「脈絡はないとかそういう以前に、人選を間違えているという意味では」

「あなたってそんなに融通のきかない人だった?」

「少なくとも柔軟な人間ではないな」

「ふうん。……それで、凶器に意思はあると思う?」


 僕はもう一度溜息を吐いた。


「君も懲りないね」

「そうかしら」

「一度、君の言葉を借りれば『気のない返事』をした人間に同じ質問を向けるのは、懲りないと評するのがふさわしいと思うよ」

「あなたがいうのならそうなんでしょうね。それで?」


 言外の催促に、僕は仕方なく口を開く。


「あるんじゃないかい」

「意外ね。あなたは逆のことを言うと思ったわ」

「それはどうして?」

「だってあなた、そんな夢のあることは言いそうにないもの」

「凶器に意思があるというのは、夢があることかな」

「私は夢のある考え方だと思うわ」

「主観の問題だね」

「そうかもしれないわね」


 そうだね、主観の問題だ。僕はそっと心中で呟く。

 清らかで美しい――そんな印象を抱かせる彼女を眺めながら。


 自分にとっての『悪』を許せず、その身を以て屠ってきた君も、僕からしたら『凶器』以外の何物でもない――とは、口にしないでおいた。




お題:潔白な凶器 制限時間:15分 で挑戦したもの。微妙に加筆修正済み。

擬人化か暗喩で迷ってたら中途半端になったのが若干の心残りだったりします。

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↑反応があると軽率に続きを書いたりするかも
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