ひとりきりの夜明け
目が覚めたら、全部終わってた。
それはとどのつまり、俺は役立たずで終わったってことで。
アイツらみんな、もういないってことで。
……もう誰も、いないってことで。
「……ふざけんなよ……」
呟いた。誰にも届くはずのない文句。
何でだよ。なんで俺が生きてるんだよ。おかしいだろ、間違ってるだろ。
だってアイツらには、『幸せな未来』が約束されてるはずで。
そのためなら、まあいいかって思ったから、俺は――。
こんな風な結末を、望んだわけじゃなかったのに。
ふざけんな、ともう一度呟いた。
声にすら、ならなかった。
生きることに希望なんてなかった。
どうせ死ぬんだからって、適当に生きてて。
今更、『運命』とやらに逆らう気もなくて。
能天気に生きてる奴らに、色々思い知らせるのも面倒で。
そういう風に、流されるままに過ごしてた。
なのに、アイツらが。
俺のこと、『仲間』だとか言うから。
……『大切』だとか、言うから。
俺の人生も――最初から生贄じみた終わりが決まってた人生も、捨てたもんじゃなかったなって、そう思ったのに。
どうして。
どうして、こんな。
俺だけが残ったって、嬉しくもなんともない。
馬鹿じゃねぇの。
ほんと、馬鹿だろアイツら。
俺のことバカだのアホだの言ってたけど、アイツらのほうがよっぽど馬鹿だろ。大馬鹿だろ。
本当なら俺一人で充分だったのに、それを覆すためにみんなしてンな馬鹿なことして。
記憶にある暗い空も霧に包まれた地上も、もうどこにもなくて。
『太陽』がゆっくりと昇って世界を照らす。
本の中でしか存在しなかった『朝日』が、世界を照らす。
この景色を見たがってたヤツも、望んでたヤツも、『一緒に見よう』って言ってくれたヤツも、――
誰も、いない、のに。
誰か。
誰か、だれか、……誰でもいいから。
時間を戻してくれ。
あの日、あの時、俺が意識を失わなければ、アイツらはきっと今も、生きてたはずなんだ。
こんなふうに俺ひとり、こうして残されることなんて、なかったはずなんだ。
俺一人の犠牲で済むなら、それでよかった。最初から、そういう宿命だったんだから。
それなのに、なんで、アイツらは。
「生きろよ」なんて、笑ったんだ。
俺、一人で。
生きたって、何の意味もないのに。
世界が、再生に沸き立ったその日。
俺はひとり、朝日の中、――泣くことすらできずに、立ち尽くした。
悪夢みたいな、夜明けだった。
お題:苦しみの朝日 制限時間:15分 で挑戦したもの。
あんまりお題がぴったりだったので、だいぶ昔の書きかけを引っ張ってきて書いた代物。即興小説とは呼べないかもしれない。
世界中で祝われる希望の朝に、ひとりだけ絶望したひとの話。




